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北京五輪“失格判定”韓国で反中国世論が沸騰 開会式の韓服でも“文化略奪”論争

2022年2月8日 13:17
北京五輪“失格判定”韓国で反中国世論が沸騰 開会式の韓服でも“文化略奪”論争

北京冬季オリンピックの反則判定による波紋は、スケート競技でも起きている。ショートトラック男子1000メートルで韓国の選手が相次いで反則判定を受けて失格したことを受けて、8日、韓国選手団は判定を不服とし国際スポーツ仲裁裁判所に提訴する方針を明らかにした。

●韓国選手らの失格「度を越えた不正判定」選手団が提訴へ

問題の判定は、7日に北京で行われたショートトラック男子1000メートルで起きた。韓国のファン・デホン選手は準決勝を1位で通過したが、その後のビデオ判定でレーン変更の反則があったとして脱落し、中国の2選手が決勝に。

また、準決勝の別の組に出たイ・ジュンソ選手も2位で通過したものの、同じくレーン変更の反則を指摘され、中国の選手が2位に繰り上げされて、決勝に進出。結果的に、決勝に進出した中国選手2人が金メダルと銀メダルを獲得した。

この判定をめぐって、韓国では世論が沸騰。

韓国メディアは「度を越えた不正判定」、「荒唐無稽な判定」などと批判を展開した。

8日午前、韓国の選手団長は、北京で緊急の記者会見を行い、判定について、IOC(国際オリンピック委員会)とISU(国際スケート連盟)に抗議書簡を送ったと明らかにした。また、今後、CAS(国際スポーツ仲裁裁判所)に提訴する方針だ。

選手団長は「関係者から、選手団全体を即刻撤収すべきとの要請が殺到した」と明らかにしつつも、「選手たちが4年間準備した、残りの競技が多い」としてボイコットはしない考えを示した。

●開会式の“チマ・チョゴリ”でも反中国世論が沸騰

反中国世論は、4日に行われた開会式をめぐっても巻き起こっている。

中国の56の民族の代表が登場する場面で朝鮮半島の伝統衣装チマ・チョゴリ(韓服)を着た女性が登場した。中国には、北東部を中心に「朝鮮族」が多数居住し、ルーツは同じため、食文化やハングルの使用なども韓国や北朝鮮と共通する。

ただ、こうした基礎的な理解が不足したまま、韓国では「中国が韓服を自分たちの物として扱った」とSNSで世論が沸騰。

これに対して、韓国メディア各社も「中国による文化略奪」「歴史歪曲の試み」などと主張を展開した。

批判の矛先は、この問題について静観している韓国政府にも向けられ、“弱腰”との指摘も出ている。

こうした中で、約1か月後に迫った韓国大統領選の候補者たちも、即座に反応。

与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は、SNSで「文化をむさぼるな。文化略奪に反対」とメッセージを出し、世論に迎合。

尹錫悦(ユン・ソギョル)候補を擁する最大野党「国民の力」も「政府の低姿勢が招いた中国の露骨な文化略奪。断固たる対応を取るように」と主張している。

韓国と中国では、「キムチの起源」などをめぐってもネット上を中心に論争が絶えない。

韓国メディアが最近行った世論調査では、「中国に好感を持たない」と答えた19~29歳の若者は67.3%にのぼり、全年齢の平均より10ポイント以上高く、特に若年層での反中感情の高まりが指摘されている。

■写真:YONHAP NEWS/アフロ