キーウ攻撃のドローンは「イラン製」なぜ?……背景にロシアの“懐事情” 経済制裁で部品不足、ミサイル「3分の2」使用済みか
有働由美子キャスター
「ウクライナの首都キーウでは、住宅などが連日攻撃を受けて死者も出ています。警察が空に向かって発砲している映像を見ると、ドローンが急降下しています。ウクライナ政府は、今キーウの街がドローンで無差別に攻撃されていると訴えています」
「それも、ドローンの大半はイラン製だといいます。ウクライナの市民からすると恐怖しかないと思いますが、これはどういうことでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「ウクライナへの攻撃に使われている多くが、イラン製のドローン『シャヘド136』だとみられています。自爆型で、最長2500キロの距離を飛び、目標に体当たりします」
有働キャスター
「不気味ですが、なぜイラン製を使うのでしょうか?」
小野委員
「ロシアの懐事情がありそうです。ミサイルの在庫が減ってきているようで、ウクライナ側の分析によると『ロシア軍は保有していた精密誘導ミサイルの3分の2を既に使用した』(ウクライナ国防相)状態です。だとすると、不足を補う必要があります」
「さらにロシアは厳しい経済制裁で兵器に使う電子部品を入手できず、自前のミサイル生産が難しくなっているとも指摘されています。そこでドローンを開発・生産しているイランと手を結んだ可能性があります」
有働キャスター
「そこまでイランとは関係がいいのでしょうか?」
小野委員
「ロシアとイランは共通の敵がアメリカで、持ちつ持たれつの関係です。これまでもロシアとイランはシリア内戦でも連携しています」
「今回、イランは『ロシアにいかなる武器も提供していない』と反論していますが、現代軍事戦略に詳しい防衛省・防衛研究所の高橋杉雄室長は『ロシアとイランは軍事的な協力を維持してきた。ドローン提供もその表れだろう』とみています」
「高橋室長はまた『今後の戦況によっては、イランからミサイルなどの供給もあり得る』とも指摘しています。実際、アメリカのワシントンポストは、イランがロシアに短距離弾道ミサイルを初めて供給することで秘密合意したと報じています」
有働キャスター
「ロシアにイランが加担している状況をどう見ますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「当初戦争が始まった時も、イランが入ってくることは言われていたことで、兵器としてのドローンは相当低コストなので、今後多用されるのは間違いないのかなと思います」
「数百万円で作れるドローンというのは、今よりも大分楽ですし、軽いし、供給も楽になってくるので、非常に(両国の)結びつきが強くなるのではないでしょうか」
有働キャスター
「戦場にいろいろな国が関与している現実に不気味さを感じます。追い詰められたロシアが、どの国でもいいから手を組んで、それで市民が犠牲になり続けるのは許されませんし、イランを止めるためにできること、国際社会に総力を挙げてほしいと思います」
(10月18日『news zero』より)