韓国で教師歴10年 日本人女性の思い 3年ぶりの“対面”日韓文化交流イベントに参加
日本と韓国の文化交流を目的としたイベントが3年ぶりに“対面”で開催されました。イベントに参加した韓国での教師歴10年になる日本人女性の思いを取材しました
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先週、韓国・ソウル。開かれていたのは日韓の文化交流を目的とした毎年恒例のイベントです。
新型コロナウイルスの影響でオンライン開催が続いていて、本来の形で開かれるのは3年ぶりです。
藤本己子さん「すごいですね、思っていた以上に来てくださって」
ボランティアとして参加するのは韓国在住の藤本己子さん(34)。ある「思い」を持って参加していました。
ソウル近郊の高校で日本語教師として働く藤本さん。10年にわたり韓国で教壇に立ってきましたが、当初はつらい経験もあったといいます。
藤本さん「目の前で教科書をバンって捨てられたりとか、何を聞いてもずっと無視してくる生徒がいたからどうしたのって言ったら、日本嫌いみたいな、日本人嫌いみたいなことを言われて」
日韓関係の冷え込みに影響を受けたのか、日本に拒否感を示す生徒。しかし、関係が変化するきっかけがありました。
藤本さん「雪合戦をその子がちょうどしていたので、 今だ、今がチャンスだと思って雪を投げて。向こうも『なんだよ』とか言いなが投げて、それですごく仲良くなれて」
その生徒とはその後、10年たった今でも交流が続いています。こうした経験から藤本さんが大切にしているのは生徒との触れ合いです。
藤本さん「日本に行ったことは?」
生徒「北海道と沖縄、みんな親切だった。 親切で『助けましょうか?』と聞いてくれる人もいた」
直接触れ合うことで、必ず打ち解けられる、韓国の若者から藤本さんが学んだことです。先入観が少ない若者が日韓関係を変えるきっかけになるのではと考えるようになりました。
藤本さん「実際に日本に住んでいる子と(SNSで)メッセージをやり取りする生徒たちも結構いる。リアルな交流を通して、若者たちが分かり合える時代になってきているなって」
日韓の若者の交流を後押ししたいと考えています。
そして、イベント当日。
藤本さん「きょう頑張りましょう!ファイト!」
かつての教え子の姿もありました。
元教え子「先生が好きで日本語を勉強して、己子先生と話してみたいと思って」
藤本さんがきっかけで日本が好きになり、現在は韓国の大学で日本文化などを学んでいます。
イベントで最も注目を集めていたのが――
「Together Together(ともに ともに)」
日韓の子どもたちが合同で合唱を披露しました。
藤本さん「肌で触れあって、交流している子たちは偏見とかもなくお互いのことを理解できる気もするから。たくさん交流していくのがやっぱり大切だと思う」
日韓関係の改善に向け、若い力が大きな原動力となっていくのでしょうか。