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【独自解説】北朝鮮に“新星女将軍”誕生⁉娘・ジュエ氏が最高指導者“象徴ペアルック”で軍視察 一方、1万人の前で涙した金正恩総書記は「健康状態があまり良くない」?

2023年12月6日 14:30
【独自解説】北朝鮮に“新星女将軍”誕生⁉娘・ジュエ氏が最高指導者“象徴ペアルック”で軍視察 一方、1万人の前で涙した金正恩総書記は「健康状態があまり良くない」?
金正恩総書記、母想い“涙”

 北朝鮮・金正恩総書記が、1万人の面前で涙を流す場面が放送されました。一体、何が?また、ジュエ氏とみられる娘の呼称が格上げされ、韓国側が「後継者か検証する段階に入った」と言及。北朝鮮の意図は?龍谷大学・李相哲教授の解説です。

「母親に対する郷愁は強い」金総書記が見せた涙

 12月3日、11年ぶりの「全国母親大会」が開催され、子を持つ母親など約1万人が参加しました。その中で金正恩総書記は、「誰もが困難で大変な時期には、自分を産んで食べさせ着させ、第一歩を踏み出せるように育ててくれた母親のことを思います。私も党と国家事業を担当して苦労するたびに、母親たちのことを思います」と話しました。そして、幹部が母親の苦労について話していると、それを聞きながら涙する場面もありました。

Q.金総書記は結構、泣いている場面がありますよね?
(龍谷大学・李相哲教授)
「結構、涙もろいです。これまでテレビで映し出された場面だけでも、5~6回ありました」

Q.演出ではなく、本当に涙もろいのですか?
(李氏)
「テレビに映しているということは、演出的な側面はもちろんありますが、泣いているのは本当の感情かもしれません」

Q.11年ぶりに「全国母親大会」を開催した意味は?
(李氏)
「やはり、女性の役割がとても大事なのだと。社会主義国家では、昔から『女性は天の半分を支えている』というスローガンがありました。しばらく何もしなかったのが、最近このような大会を開いたということは、女性の役割をもう一度強調する意味合いが、一番大きかったと思います」

Q.韓国を中心とした資本主義の“空気”が北朝鮮に入ってきているので、「お母さん、家庭をちゃんとしてください」という意味合いもありますか?
(李氏)
「その側面も強いと思います。いろんな法律を作って、韓国の文化が浸透するのを防ごうとしていますが、うまくいっていません。ですから、『家庭から強化しなければならない』という思いもあったのかもしれません」

Q. 「誰もが困難で大変な時期には、自分を産んで食べさせ着させ、第一歩を踏み出せるように育ててくれた母親のことを思います」とありましたが、幼少の頃の金総書記と母親の関係は、どうだったんですか?
(李氏)
「とても絆は強かったと思います。生まれたときは金日成主席に隠れて育てられたので、最初は母親がほとんど面倒を見たと思いますし、母親が授業をしているような写真もありました。また、金総書記が20歳のときに亡くなっていますので、母親に対する郷愁は強く感じていると思います」

 「全国母親大会」で金総書記は、「母親たちが愛国の心で大切に培った家庭が礎となって、国をしっかり支えているため、“社会主義大家庭”が強固である」としました。そして、母親の力が求められることとして「最近増えている非社会主義的な問題を一掃すること」「出生率の低下を防ぐこと」などを挙げました。

 韓国統計局によると、北朝鮮の2023年の出生率は1.8。ちなみに、2022年の日本の出生率は過去最低の1.26、韓国は0.78でした。

Q.「1.8」とありますが、わからないですよね?
(李氏)
「わからないです。地方で亡くなっている方たちの数はなかなか統計に表れませんから、正確ではないと思います。ですが、2014年は2.1ぐらいあったので、年々低下傾向にあるのは間違いないです。ただ、出生率を上げるより食料問題を解決するほうが大事だと思いますので、優先順位が間違っていると思います」

ジュエ氏「新星女将軍」に格上げ?「考えられるのは、金総書記の健康状態があまり良くないということ」

 11月30日、金総書記と娘とみられるジュエ氏が、“ペアルック”で飛行部隊を視察しました。茶色いファーがついた革のコートにサングラスという姿で、金総書記よりも前を歩くジュエ氏。韓国メディアは「革のコートは『金総書記特有のファッション』で、幹部もなかなか着ることが許されない北朝鮮の“最高指導者”を象徴するアイテム。北朝鮮の最高指導者をイメージした演出だ」と報じました。

Q.ジュエ氏が写っている写真は、軍関係が多いですよね?
(李氏)
「将来的に、軍との関係を意識しているのかもしれません。もしも女性の誰かが指導者になったとき、ネックになるのは軍です。軍を統率できるのか、軍がそれに従うのか、それが一番大切ですから」

 また、「ジュエ氏の呼称が格上げされた」と報じられました。2022年11月19日は「愛するお子さま」、その1週間後は「尊いお子さま」、2023年2月8日には「尊敬するお子さま」として紹介されていましたが、今回新たに「朝鮮の新星女将軍」と呼ばれたといいます。李氏は、「北朝鮮において白頭(ペクトゥ)山三大将軍と呼ばれるのは、金日成主席・金正日総書記・金正淑氏(金正日氏の生母)。金正恩総書記を差し置いて、ジュエ氏が将軍と呼ばれるのは興味深い」としています。

Q.父である金正恩総書記が「将軍」と呼ばれていないのに、ジュエ氏には「将軍」と付いているということですか?
(李氏)
「将軍と呼ばれることもありますが、北朝鮮で教科書に載せるような三大将軍には、金正恩総書記は入っていません。それなのにジュエ氏を『女将軍』と呼ぶのは、『4代目も金一族で北朝鮮を統治していく』というメッセージが、一番強いと思います。ただ、金総書記はまだ40歳にもなっていないので、この段階で後継者を決めていると、いろんなリスクがあります。内部で権力の軋轢が生じ、ジュエ氏に群がる人たちが多くなる可能性もありますし、金総書記の健康状態に関して疑心暗鬼になる人が増える可能性もあります。裏事情はハッキリとはわかりませんが、一番考えられるのは、金総書記の健康状態があまり良くないということです」

 韓国大統領室国家安全保障室・趙太庸(チョテヨン)氏は「後継者と見なし検証する必要があるだろう」、韓国情報機関の幹部OBは「金総書記に息子は生まれなかったようだ。幼いころから娘を前面に出すことで、住民の拒否反応を和らげ、自然に受け入れる効果を狙った」、しかし国家情報院のOBは「ジュエ氏の度重なる登場は、娘を愛する金総書記に幹部らがへつらう以上の意味はない」など、韓国ではさまざまな見解が出ています。

Q.「後継者とみなして検証する」という見解もあれば、「実は他に息子がいて、娘が可愛いから連れて出ているのでは」という見解もあるのですね?
(李氏)
「今の北朝鮮の演出からすると、後継者待遇ではあります。ただ、息子がいるということは韓国情報院が国会に2回ほど報告したことがあるので、いるとみたほうが良いかもしれません」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年12月5日放送)

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