【独自解説】アメリカ大統領選挙 バイデン大統領撤退はトランプ氏側は想定内か 民主党巻き返しなるか?カギは”副大統領”と”ダブル・ヘイター”
世界が注目するアメリカ大統領選挙で、バイデン大統領の撤退が報道されました。撤退の理由は「名誉ある撤退」であり、神との対話や家族との時間を経て、決断されたといわれています。そして、次の民主党の候補として有力視されているのが、カマラ・ハリス副大統領です。これからのアメリカ大統領選挙の行方はどうなるのか?民主党の巻き返しの見本となるのはオバマ元大統領?「読売テレビ」特別解説委員・高岡達之が徹底解説します。
長いこと生きてますと人間びっくりするニュースが結構あるんですが、今日は私どころか、世界中がびっくりするニュースで、日本は朝でしたので、飛び起きました。バイデン大統領、予測はされてましたけれども、なぜこのタイミングでということになります。この第一報、アメリカでは、SNSで文書で発表されました。ちょっとこれ見づらいですが現物です。
こちらが英文で、今回断念をしますという声明。後継者にカマラ・ハリス副大統領を、私としては応援をしたいというのが出てるんですが、文書としても結構な量があります。それから大統領を撮った写真というのは、本当に数え切れないぐらいあるんですが、これおそらくホワイトハウスのお庭ですね。そこで2人で微笑み合ってるという、この写真をわざわざ選んでるということから、げんちでは、決めたのはこの1日2日かもわかりませんけれども、覚悟は前からお持ちだったんではないかということになっております。
やっぱり撤退するんじゃないかということは言われてましたけど、この方が決定的に何か失敗したかということなんです。トランプ陣営からすれば失敗だらけなんですよ。しかし世界から見てそうなのかということもあるので、やはり年齢批判だけで、私辞めますというのはなかなかおっしゃりづらかっただろうというのはわかります。そうなると数週間前から言われてたのは、やはり引くにしても名誉ある決断だという評価を、家族も与えてもらいたいという話になっていたわけであります。そうすると、ちょっと話が違うじゃないと思ったのが、こちらなんです。
クリントン元大統領夫妻が、20日に、バイデン氏の選挙継続を支持すると、だからこれを受けて続けるんだろうと思ってたんですが、今日のように撤退をするということがあると、これもちょっと伏線だったんじゃないか。つまりお二人は、一番今のバイデンさんの苦しみを知っている立場です。ホワイトハウスにもいた。元大統領も、支持をしている人なんだけれども、裏返せば、あなた自分で決断をしてくださいということですから、名誉を高めたということがあるかもしれません。ちなみにお二人は、早速日本時間の今朝から、ハリス副大統領の支持を表明しておられます。だからその速さからも、分かってて言ったんじゃないの、というふうに言われてます。
もう一つはですね、現地では日曜日の午後でした。アメリカの方々が、やっぱりなるほどね、そうだよねと、納得する人間的な物語が、事実かどうかは別として、必要だと思うんですね。日曜日の午後というのは、家族と神様との時間を過ごした後です。日本ではなかなかこういう理屈は通りませんが、そもそもバイデン大統領はこう言ってました。「やめるのはいいのだけども、それは全能の神様が降臨して、お前やめろと言った時だけだよ」と。日曜日の午前中というのは、バイデンさんも敬虔なクリスチャンですが、神様と対話をするんですね。そこで、やはり自分は今回は身を引くべきだろう、と言ったというのは、アメリカの皆さんが、日曜の午後ってのはわかるよね、というタイミングになるわけであります。そんなことは知らないよと言うのが、実物大でご用意いたしましたこちらでございます。
早くも「想定内」だよこんなことは。スタッフが一生懸命作ってくれましたので、私が真ん中に挟まっておりますが、この二人が対決すると、両方が実物大でございますので、真ん中に私入ると、こうなります。私は立候補いたしません。そして「想定内」だというのは、先日のその共和党大会で、トランプ前大統領が選んだ副大統領。これを見れば、そのつもりだったんだなということも見えてまいります。というのは、言い換えれば、ハリス副大統領が、これから大統領候補になるんだったら、”副大統領勝負”だということです。はいこちらご覧いただきますと
だからこの人を選んだのかというのは、ハリス副大統領ですが、例えば年齢、60歳一歩手前です。トランプ前大統領よりはお若い。そしてよく言われますが、利点にもなりマイナスにもなりますが、移民の2世です。お父さんはジャマイカ出身、お母さんはインド出身です。そして苦労をして、検事になった。その後、女性初・黒人初の副大統領になった。このことを分かってるよと思うからこの人を選んだのです。
トランプ前大統領が指名したこの副大統領ですが、白人です。まずここが対照的。それから苦労をして育ちました。そして兵隊に行ってます。そして39歳という年齢です。全てにおいてハリス氏に対抗してるという風に見るわけです。さあこれラッキーになるかどうか別ですけども、結果的にハリス副大統領がこれから大統領候補になる時には、後出しになりますから、この体制を見て、自分に足りないところを補ってくれる人を、選ぶことができます。ただこの人選を誤ると危ない。
そうなると、先にこのバンス上院議員を出されてしまいましたから。必然的にはやっぱり白人の方がいいでしょうね。ご自分がやはり黒人でしかも女性初だということを言われますから、当然男性の方がいい。そしてこの軍隊の経験ですが、実はこの軍隊の経験ですが、トランプ前大統領もないんです。だから経験がある人を選んだ。ハリス副大統領もないので、軍隊の経験がある人を選んだ方がいい。しかし、なかなか選択肢が狭まってきます。
私が言っているのではなくて、アメリカ社会の現実で、女性だとか人種だとか、2024年でもまだ言われる。そして、特に女性に対して、アメリカの人はこう言うんですね、「核保有国のトップ」だぞと。それも「世界最大クラス」の。この決断をする人で、世界最大クラスの軍隊の「最高司令官」です。これも嫌な言い方ですが、女性に務まるのかってのは、必ずねクリントンさんが出た時も言われました。
実は民主党陣営には名前も知られてない、この人は多分勝てないだろうと言われてたのに、情勢を挽回したっていう大先輩がいて、この人はですね、「経験豊富な相棒」を選んだ。年齢はそんな年配でなくても構いません。ハリスさんだったら、自分に近い年齢の人がいいでしょう。若くても行政経験が長いとか、あるいは軍隊長くいたとか、そういう人だったらですね、ご自分にないところを埋めてくれるという人を選ぶことができるわけですね。
選んで成功した人がオバマ元大統領です。オバマさんは当時は全然無名から、ものすごく光の矢のように上がっていった人ですが、やっぱり皆さん言ったんです。黒人初めてだ。心配だ。上院議員も一回しかやってない。大丈夫か?そこで選んだのがこのバイデン現大統領で、バイデンさんは外交経験豊富、この時点で国会議員も何十年もやってます。こういう人がついてるから安心だということも言われました。そして、今後の選挙戦で、一生懸命取り合いをしなきゃいけないのは、ここだと言われてます。
「ダブルヘイター」です。ヘイターは要するに「嫌い」だっていう意味です。今まではこのダブルっていうのは、バイデン大統領になっていただくのも良くない、トランプ前大統領になっていただくのも、よろしくない。言い換えれば、若い方の浮動票が多いっていうのは、この「ダブルヘイター」で、アメリカでは4人に1人だと言われてます。この人たちをこれから、年齢の問題がなくなりましたから、特に民主党の側は。そこで、堂々と応援できるのが、今まで黙ってたこの方です。
世界的歌姫のテイラースウィフトさん。もうこれからもし彼女が、ハリスさんを支持すると言ったら、大変な影響力です。それからハリウッドの芸能界も、もともとトランプ前大統領とはあまりよろしくありません。世界中からの移民、寄せ集めなんだと、自分たちで言ってるので。この人たちも大声で支援をするようになるでしょう。そして、肝心なのがねここなんです。
「オバマ夫・妻」と書きました。別に夫婦仲が悪いと言いたくて、この真ん中に点を打ったわけではなくて、どうも考え方が多少違うみたいです。オバマ元大統領の奥様はですね、今回、大統領選に出てくれ出てくれと言われたけど、拒んできたわけですね。やっぱりホワイトハウスの苦労を知ってる。この方とハリスさんは同じ女性同士です。同じ黒人で、そしてアメリカンドリームです。堂々と前に出て、応援したら、ハリスさんにとってはものすごい支援になります。心配なのはご主人の方で、バイデンさんを説得したのか、してないのか、よくわかりませんけれども、まだハリスさんを押しますとは、一言も言ってないんですね。
だから、このご夫妻が揃って、ハリスさんを押すようになると、これから1か月、大逆転が起きるとしたら、絶対に必要なのは「熱狂」です。もうこの人に賭けよう、このコンビに賭けようということを、トランプ陣営よりも熱狂を持って訴えられたら、どんでん返しはあり得るということになります。
(「かんさい情報ネットten.」2024年7月22日放送)