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【独自解説】都知事選の石丸伸二氏躍進から見る“維新の危機”「このままの状況を続けていたら維新は消滅してしまう」 “維新離れ”の理由とは?そして、今後の関西の選挙はどうなるのか?

2024年7月17日 6:00
【独自解説】都知事選の石丸伸二氏躍進から見る“維新の危機”「このままの状況を続けていたら維新は消滅してしまう」 “維新離れ”の理由とは?そして、今後の関西の選挙はどうなるのか?
東京都知事選挙から見えるのは“維新の危機”

 東京都知事選挙は、主に、現職の小池知事とその「小池都政」に異議を唱える蓮舫氏、石丸伸二氏の争いになると思われていましたが、蓋を開けると、小池知事の圧勝となりました。そして、蓮舫氏を抑えて2位となったのが石丸氏でした。実はこの石丸氏の健闘が関西を地元とする「日本維新の会」に影響を及ぼしたといいます。一体どういうことなのか?そして今後の関西の選挙にどのような影響を及ぼしてくるのか、取材を続ける記者が徹底解説します。

都知事選・石丸伸二氏が大きく躍進するも、小池知事とは大きな得票差。背景にあったのは「小池氏の“組織票”」と「石丸氏の“見えない政策”」

(読売テレビ・黒木千晶アナウンサー)
「東京都知事選は、小池百合子氏が圧勝で3選目となりましたね」

(読売テレビ・平田博一記者)
「今回の都知事選は、現職の小池都知事、そしてこの『小池都政』に異議を唱えていた蓮舫氏、さらにSNSを積極的に活用して、ある意味“台風の目”となったと言われている石丸伸二氏。主にこの3人の候補の戦いとなったわけなんですが、蓋を開けてみますと小池氏の圧勝という結果になりました。そんな中、石丸氏が蓮舫氏を抑えて得票数2位という躍進を遂げたのですが、実はこの石丸氏の躍進というのが、関西を拠点とする“あの政党”に大きな影響を及ぼしていると言われています。それがどういうことかと言いますと、こちらです」

「“維新離れ”です。東京都のトップを決める選挙で、維新がどういった関わりがあるのか説明していきます」

「まずは、今回の選挙戦の振り返りをしたいのですが、現職の小池知事が290万票余りを獲得して当選をしました。注目されたのがこの石丸氏です。蓮舫氏を抑えて165万票を取って2位につけたということで、現在の既成政党による政治にちょっと不信感を抱いている人たちの受け皿になったのではないか、と言われています。ただ一方で、結果を見てみますと石丸氏と小池氏の間には100万票以上の差が空いています。これは何が大きなポイントになったかと言いますと、“組織票”です」

「今回、小池氏は自民党の色を消して戦った選挙戦だったと言われておりますけれども、7月2日に“ある会合”(注:画像内の写真)が行われていたんです。こちらが、自民党を支援する団体の人たちが集まっている会合で、実は選挙戦への支援を呼びかけるというようなことがありました。自民党の色を消しながらも、うまく組織票を取り込んで手堅く選挙戦を戦っており、結果として、石丸氏とは100万票近くの差が開いたのではと思います。さらに、選挙を取材していて聞こえてきたのが『石丸氏の具体的な政策って何なんですか』という声です」

「どういうことかと言いますと、こちらが実際に配られていたビラなんですが、『政治再建』さらに『都市開発』・『産業創出』。“東京を動かす3本柱”、という非常にわかりやすいキャッチーなフレーズが並んでいるんですが、『じゃあ具体的にどういうことをしていくのか、というところはなかなか見えなかった』というような声が聞こえてきていました」

「有名企業の幹部」や「選挙の神様」らが石丸氏支持に…進む「維新離れ」の背景とは?

(黒木アナ)
「この石丸氏の躍進にはまた別の側面もあるのでしょうか?」
(平田記者)
「石丸氏の躍進が今回、結果として出たと思うんですけれども、それが『維新離れ』につながっていると言えます。これはどういうことかと言いますと、今回石丸氏の側には、ある有名企業の幹部や、“選挙の神様”と言われたような人が選挙戦略の担当を務めるなど支援をしていました。さらに関西からも滋賀の首長らが応援をしていました。この中で注目したいのが、『有名企業の幹部』と『選挙の神様・藤川晋之助氏』です。実はこの二人は、もともとは維新を支援していたのですが、最近、維新の内部のゴタゴタなどもありまして、少し距離を置いて、今回石丸氏を支援したということなんです。さらに、この都知事選をめぐって維新にもう一つ動きがありました」

「実は維新が石丸氏を今回の都知事選で推薦しようとするような動きがあったんですが、石丸氏は『政党のカラーがつくのは嫌だ』と最終的には維新の推薦を断ったということがあったんです」

(黒木アナ)
「他にも取材をすめる中で、ちょっと気になる“維新離れ”の動きがあったということなんですが」

(平田記者)
「先ほど申し上げたように、維新は石丸氏の推薦を今回付けなかったわけなんですが、そういったところから、いずれの候補者の支援もしないということで、ある意味今回の都知事選は静観をしていたんです。ただ、6月に維新のある区議が、『自分の心情に基づいて石丸氏を支援したい』と、離党届を出しています。さらに、7月7日の開票日に石丸氏の選挙本部に、実は複数、維新の東京都区議と言われている人物の姿があったということで、維新から少し距離を置いて石丸氏の方に近寄ろうとする動きがかなり見えていたのかな、と思います」

共同代表の地元でも“不戦敗”関西で進む“維新離れ” 復活のポイントは「原点復帰」

(黒木アナ)
「維新といえば、今のところ関西が主な基盤である政党ですが、その関西における維新の現状はどうなんでしょうか?」

(平田記者)
「維新の関係者を様々取材したんですけれど、実は、『関西でもちょっと危ないのではないか』というような声が聞こえてきているんです」

「どういうことかと言いますと、7月7日に関西では門真市長選と羽曳野市長選があったのですが、こちらは維新の候補者が当選をしています。一方で、同じ日に京都の市議会議員の補選が行われました。こちらは元々維新が議席を持っていたんですが、維新の候補が敗れ議席を失うという結果になりました。さらに遡りますと、今年4月、藤田幹事長のお膝元とも言われる大東市長選で維新の候補者が敗北。さらに6月ですが、吉村共同代表の地元の河内長野市長選には候補者を立てることができなかった、いわゆる不戦敗という状況になったんです。関西でも少し厳しい結果が最近出ていると言えると思います」

(読売テレビ・高岡達之特別解説委員)
「ここ何年かの維新は、大阪は盤石だから全国に広げていくっていうことになっていましたけれど、やっぱり本丸の首長って大事なんですよ。国政選挙で支えてくれますから。7月7日は(門真市と羽曳野市)2つ勝ちましたけれども、じゃあ不安が払拭されたかというとそうでもないでしょう。少し“大阪回帰”の動きが出るんじゃないかと思います」

(黒木アナ)
「なぜこのように“維新離れ”が今進んでいるとみていますか?」

(平田記者)
「維新の議員の間でも、大阪以外が非常に危機的な状況だ、という声が聞こえています。ある大阪選出の国会議員は、これまで政治を改革すると訴えてきた維新が、特に今回の国会の終盤であった“政治と金”の問題で、『自民党に少しすり寄る動きがあり、既成政党のようなイメージがついてしまった。このままの状況を続けていたら維新は消滅してしまう』という非常に強い危機感を覚えていました。今回の都知事選を通しても、石丸氏は『今の政治では駄目だ』と訴え、政治不信というところの受け皿となったわけなんですが、やはり今の維新に言えるのはこちらなんだと思います」

「もともと、やはり政治改革を訴えていた政党だということで、その原点に立ち戻れるかどうかというのが、今後維新が再び浮上してくるのか、それともこのまま少し厳しい状態が続くのかというところの大きなポイントになると思います」

(「かんさい情報ネットten.」2024年7月8日放送)

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