【独自解説】中国の国立大学で“恋人の作り方”授業が大人気!さらに、政府主催の「合同結婚式」には約1万人が参加!?成長著しい大国で一体何が…「一人っ子政策」の影響で生まれた“若者たちの悲劇”
2013~2023年の10年で、半分近くにまで減少した中国の婚姻数。背景には、深刻な少子化問題と“悪しき習慣”が…。そんな中、政府主催の『合同結婚式』が行われ、約1万人が参加したとの報道も。中国で一体何が起きているのか?ジャーナリスト・中島恵氏の解説です。
■参加費無料・結婚指輪贈呈、政府主催の『合同結婚式』 実は「逆効果のイベントだった」?
2024年9月22日、中国政府の女性団体が主催した『合同結婚式』に、中国各地(香港・マカオなどを含む)のカップル5105組・1万210人が参加。メイン会場は首都・北京ですが、その他49の会場とオンラインで繋いで行われたという過去最大級のものでした。式の中では、指輪の交換・金婚式の夫婦に花束贈呈・『愛国歌』の大合唱などがあったということです。
結婚証明書を取得していて、結婚式を挙げていなければ参加可能で、申し込みはSNSから。参加費は無料でしたが、結婚指輪・キャンディーの詰め合わせ・合同結婚式で撮影した写真のアルバムなどの贈呈がありました。
参加した人からは、「会場・メーク・写真撮影などの心配をする必要がなく、手間もお金もかからず気が楽だった」「シンプルだが格式高く、ロマンチックで忘れられない結婚式になった」といった声があがっています。
Q.中国のマスコミ・テレビ局などは、大々的に報道していたんですか?
(ジャーナリスト・中島恵氏)
「この日、ちょうどニュースを見ていたんですが、ウェイボーのトップ20には入っていなかったです。“政府がやったパフォーマンスだ”ということで、一応ニュースとしては報道されましたが、ウェイボーの上位には入っておらず、呆れている人も多かったです。逆効果のイベントだったと思います」
■「結納金を払う金がなく強盗した」“悪しき習慣”が若者のネックに
『合同結婚式』は参加費無料だった一方で、一般的な結婚式は非常に高額です。
2022年に結婚式を挙げた中国・上海在住の夫婦の場合、約200人を招待して、披露宴に140万円以上。指輪・ネックレスなど金のアクセサリー60万円分や、新郎から新婦に現金240万円が贈られたといいます。
中国のサラリーマンの平均年収が約170万円といわれる中、すでに平均年収の約2.5倍の出費に。結婚費用のため、両親や親戚が借金してまで工面することもあるということです。
また、中国の結婚話で避けられないのは、『車子(チャーズ)=車』『房子(ファンズ)=家』『票子(ピャオズ)=お金』という3つの言葉で、これらは男性から女性に贈る結納品です。
2015年には、大富豪が巨額の結納金を贈ったと話題になりました。中国大手ネット企業のCEOが19歳年下の女性と結婚しましたが、その結納金が日本円で約20億円。他にも、オーストラリアに妻名義の豪邸を約15億円で建設、妻の母校に約40億円を寄付、妻の地元の高齢者650人に一人約20万円を配ったということです。
中島氏は、「平均300~400万円といわれる結納金が若者のネックになっている」と話しています。
結納金制度について、ネット上では賛否両論。女性からは、「高額な結納金に文句を言う人が、なぜいるのでしょうか。400万円を払わないのに、どうしてあなたの家で苦労して子どもを産む必要があるのか?」という声が。「結納金はあってもいいが、高額すぎるのは避けるべきだ」というマイルドな意見もありました。
一方で、男性からは「今は男女平等が重視されているので、結婚の際の『結納金』も廃止されるべきではないか」「結婚一回で高利貸しに借金をすることもあり、様々な家庭で悲劇が起こっている」といった声がありました。
SNS上では、結納金の「賛成派には女性」が多く、「反対派には男性」が多いという結果に。
結納金を巡っては、事件も起きています。2020年、広東省で男が480万円相当のアクセサリー21点を強盗。逮捕された男は、「交際中の彼女と結婚する予定だったが、結納金を払う金がなく強盗した」と話しました。
また、中島氏によると、「中国には結婚願望が強い男性が多く、結納金目当ての結婚詐欺事件が多発している。過去には、結納金の返還を巡って殺人事件に発展したケースも」ということです。
Q.習近平国家主席が法律を作って、「結納金制度禁止」とは言えないんですか?
(中島氏)
「年末ぐらいに法案が決まって、『結納金をやめましょう』と決まるらしいです。でも、学習塾もやめますと言って、結局は闇で再開しているので、恐らくこれも、やめると決まっても完全になくなるのは難しく、名前を変えて違う形で…というのは、あり得ると思います」
■国立大学で“恋人の作り方”授業も…『一人っ子政策』が現在の婚姻件数・出生数に影響か
2013年をピークに減っている中国の婚姻件数は、2023年はコロナ禍の反動もあり10年ぶりに増加しましたが、2023年・上半期と比べて2024年・上半期は約50万組減少。出生数も、2023年は902万人で統計史上過去最低となり、30年で半分以下になっています。
婚姻件数・出生数が増えない大きな理由は、若者の失業率の悪化です。2024年8月の若者の失業率は18.8%で、将来への不安から恋愛に消極的になっているとみられます。
Q.良い会社に就職するには「学歴とコネ」といわれますが、依然として、そういうものはあるんですか?
(中島氏)
「そうです。あと、大卒が増え過ぎたのでマッチングもうまくいかないし、“大学を出たからには良いところに就職しなければ”というすごいプレッシャーもあって、若者が仕事を選んでいるというのもあります」
そして、2016年まで続いた『一人っ子政策』の影響もあります。終わったからといって出生率がすぐに回復するわけではなく、2023年末には男性が女性よりも約3090万人も多くなっていて、男女比率に偏りも出ています。
Q.出生率は、そう簡単に戻るものではないんですね?
(中島氏)
「この間に経済発展して、価値観やライフスタイルが変化したのもあります」
Q.国立大学で“恋人の作り方”の授業を行い、多くの学生が集まったとの報道もありましたが、これは少し異常ですよね?
(中島氏)
「そうですね。皆さん一人っ子で、ずっと家族に大切にされてきて、自分中心の生活をしてきたので」
Q.子どもの結婚相手を探すため、公園で“お見合いの条件”を出して並んでいる人もいるようですが、あれで決まるものですか?
(中島氏)
「決まらないです。あれは、“親のストレス発散の場”です。半分は真面目に探している人、半分は自分のストレスや不満を、同じような子どもを抱えた人たちと愚痴を言い合いたいという場なので、ここでは決まらないと半分は思っています」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年10月2日放送)