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世界をシフトさせるブランドで心と命を救ってくれた国に恩返しを...アフリカと日本を繋ぐファッションブランド「SHIFT 80」の取り組みとは

2024年4月23日 18:31
世界をシフトさせるブランドで心と命を救ってくれた国に恩返しを...アフリカと日本を繋ぐファッションブランド「SHIFT 80」の取り組みとは

今回のゲストは「SHIFT80」代表の坂田ミギーさん。余剰利益の80%をシェアする非営利スタートアップファッションブランドの魅力と戦略に“1分間で社会を知る動画”を掲げる「RICE MEDIA」のトムさんが迫りました。

“売り上げ”の80%を還元する「SHIFT80」のスキーム

坂田さん「SHIFT80は、2022年に立ち上げたアパレルブランドです。ケニアや日本で古着をもとにアップサイクルで作った服を売って、その利益でスラムの彼らをサポートするという活動をやってます。

SHIFT80には“株主配当金として扱われるような分配可能な8割の利益をスラムに還元して、世界を少しずつでもより良くシフトさせていきたい”という思いがこもっています。

アフリカ最大のスラムと言われている“キベラスラム”の人たちと協力してブランドを作っています。

材料になる古着の仕入れは、デザイナーの両親に育てられた現地担当者が行います。それを25人いるテイラーチームが仕立てて服にしています。

ブランドのモデルには、モデル経験の無いキベラスラムの若者達を起用しています。

出来上がった服を日本で販売することや、モデルの撮影などブランドに必要なクリエイティブは日本チームが担当してブランドを一緒に作っています。

アップサイクルの部分に関しては、キベラスラムの才能が集まって実現しています。ケニアチームのパワーがSHIFT80ブランドの原動力なんです」

世界一周の旅が私を救った...ケニアのスラムとの出会い

坂田さん「きっかけは世界一周の旅で、キベラスラムにツアーで立ち寄った時の出会いでした。

私は就職氷河期の世代で40〜50社エントリーし、内定1つをもらいそこに入社しました。ただ企業文化があわず半年で退社。

自分のやりたいことをやろうと、広告業界の仕事を“ほぼ毎日徹夜 or 終電帰り始発出社”みたいな生活を続けていました。

『仕事で成功したら幸せになれるんじゃないか』と本気で思い、頑張っていたんです。ただ、頑張りすぎた結果として心を病んでしまいました。

そのタイミングで仕事を卒業して、長年の夢だった世界一周の旅に出かけようと思いました。

旅の軸として“自分と違う価値観で生きている世界のいろんな人々に会おう”というテーマを掲げました。

これは旅に出る前『仕事で成功したら幸せになれる』とか、『お金をいっぱい持っていたら幸せになれる』とか、世間でよく言われている物差しを自分の中にたくさん持って暮らしていたが、どうやらそれが違うと思ったからです。

20カ国ほど回ったのですが、その中でケニアのキベラスラムを訪れる機会がありました。

現地で老若男女問わず話をしていくと、どう考えても日本の私よりも生活環境がめちゃくちゃ過酷です。

水道もない、電気もない、お金もない、病院行けないし、治安も悪いとかいろいろな課題がすごくあります。

そこで暮らしている彼らと話していると、

『 “朝起きて目が覚めて今日も動ける”ってことだけで幸せだし、明日ももっと良くなると思うから今日も頑張って生きられる』

みたいなことをみんながすごく言ってくれたんです。

私は朝に目が覚めて『幸せって思ったことがないな』と思って、その精神をめちゃくちゃ見習いたいと思いました。

彼らと一緒にいると、私もさらにいろいろなことが学べると思い、私を救ってくれた彼らに恩返ししたいという気持ちで、今の事業をキベラスラムのみんなと始めました」

どうしてアパレルに? スラムを観察して分かったきっかけ

坂田さん「キベラスラムの若者達をみていて、他のスラムの人たちよりも“おしゃれ”だなと思いました。

調べていくと先進国から大量の古着が届いていて、1着数十円から数百円で売られているので、スラムに住むお金があまりない彼らでもファッションを楽しめるという土壌があることがわかりました。

それと同時にケニアでは洋服を仕立てたり、お直ししたりという文化が非常に盛んであることもわかりました。

これらを踏まえてファッションブランドだったら、キベラスラムの人たちの才能を活かした事業を行えると考えたんです。

今は日本メンバーは、男女比半々くらいで30代が多いです。ケニア側のメンバーは20代が多いです」

2つの車輪でさらに支援を加速させていきたい

坂田さん「SHIFT80で出た利益の80%をアフリカに還元していますが、今はそれだけでなくNGOの立ち上げなどの話も出ていて、ケニアと日本、アメリカの3か国で立ち上げられないかと考えています。

アパレルでの成長利益と、共感を集め寄付を募ることの2つのお金を生み出す車輪を作ることで、さらにたくさんの子供たちを助けることにもなるし、社会課題を解決するという自分の目標を早く解決できると思ったためです。

今スラムで生きてて、毎日楽しいけど大変なことがいっぱいある彼らの助けになると、それが世界のためにも繋がっていくと思っています」

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本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。

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