11月でも稲が成長中!一度の田植えで2回収穫、アイデア農家が米作りに取り入れた“秘策”とは?「温暖化に対して強力な武器になる」
地球温暖化の問題に直面している「お米」。暑さに弱いことから、収穫前に高温障害を多発してしまうことも。そんな状況を打破するべく、アイデア農家が米作りに取り入れた秘策とは…?
静岡県浜松市にある農家『じゅんちゃんファーム』。ビニールハウス内のスピーカーから流れていたのは、モーツァルトの「ピアノ協奏曲」。しかし、音楽を聴いていたのは人ではなく“小松菜”!これは一体、何をしているのでしょうか。
『じゅんちゃんファーム』の宮本 純さんによると、これは野菜に音楽を聴かせる“音響栽培”。楽器産業が盛んな浜松市の土地柄を生かした農業をやろうと5年前から開始しました。
「音楽をかけることによって生育がよくなり、栄養価も増えるという効果も確認されています」と話す宮本さん。続けて、「(音楽を)聞かせた小松菜と聞かせてない小松菜では、生育が約20%くらいよくなっています」と、音響栽培の効果を明かしました。
ユニークな栽培方法で農業に取り組む『じゅんちゃんファーム』。小松菜以外にも、“あるアイデア”が導入されていました。
そのアイデアによって育てられているのが、「お米」。「去年もろに暑さの影響受けてしまって。高温障害が多発してしまって、お米が白く濁ってしまう状況になりました」と、宮本さんは昨年の収穫時を振り返ります。
暑さに弱いお米が、深刻な温暖化問題に直面。そんな状況に対抗するため、今年からあることに取り組み始めました。
『じゅんちゃんファーム』の田んぼに行ってみると、11月でありながら、田んぼには稲がたくさん残っていました。稲の収穫期といえば、9月から10月ごろのイメージ。なぜ、まだ収穫が行われていないのでしょうか。
その理由について、宮本さんは「 『再生二期作』と言って、同じ株から8月末から9月に一回刈り取って、再生力の強い品種を利用して、もう1回刈り取ることが可能になってきた」と話します。
この『再生二期作』こそ、米作りに導入されたアイデア。「再生二期作」とは、収穫の際に根元まで稲を刈り込むところを、20㎝以上残すことで再び稲が成長し、同じ苗から1年に2回の収穫ができるというもの。
コストを抑えつつ、収穫高は2倍ほどに。地球温暖化の影響により、秋でも気温が高いことを逆手にとったこの取り組み。来年初旬に予定する2回目の収穫も、1回目と変わらない味や品質が期待できるそう。
温暖化対策として、農家が新たに始めた取り組み。宮本さんは、「田んぼなんて、逃げ場がないもんですから。暑いのは暑いんですけど、『再生二期作』が一つの強力な武器になるんじゃないかなと思って、非常に大きな期待を込めて取り組んでます」と語りました。