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東海地区初の“壱番福”は誰の手に!? 氷点下の西宮神社分社で「福男選び」が初開催!コースの難所は直角カーブ、200mの上り坂…過酷な雪道を挑戦者たちが激走

2025年1月17日 20:00
東海地区初の“壱番福”は誰の手に!? 氷点下の西宮神社分社で「福男選び」が初開催!コースの難所は直角カーブ、200mの上り坂…過酷な雪道を挑戦者たちが激走

兵庫県『西宮神社』の分社、『中津川西宮神社』で“参拝一番乗り”を競う神事「福男選び」が行われました。めったに雪が積もらない中津川市ですが、神事当日は異例の積雪。スタート前の気温は氷点下を記録しました。果たして福男の座を獲得するのは、一体誰なのか…!? 東海地方では初めてとなる闘いに密着しました。

分社130周年を記念して「福男選び」を開催

毎年1月10日の午前6時、兵庫県の『西宮神社』で開催されている「福男選び」。いち早く本殿に入った参拝者を“福男”と認定する歴史ある神事で、参加者らが壱番福を目指していっせいに境内を走り抜けます。

そんな「福男選び」が、岐阜県中津川市で開催。ただ、一口に「福男選び」といってもその様子は本家とは大違い!? 東海地方では、初めてとなるその闘いに密着しました。

2025年1月10日午前3時すぎ、岐阜県中津川市。道路は規制され、安全を祈願する宮司が道路を練り歩いていました。

岐阜県中津川市にある『中津川西宮神社』が、戦いの舞台となる「福男選び」。厳しい寒さのなか、スタート地点には県内外から集結した69人の挑戦者が集まっていました。

しかし、なぜ中津川市で福男選びを開催することになったのでしょうか。

実は『中津川西宮神社』は、兵庫県の西宮神社の“分社”。同神社の宮司・馬島伸治さん曰く、「今は(分社)130周年」であることを記念して、中津川市でも福男選びを開催することになったといいます。

“中津川を盛り上げたい”、“十日市を盛り上げたい”という思いが詰まった『中津川西宮神社』の福男選び。しかし、本家とはさまざまな違いがあるようで…。

『中津川西宮神社』宮司・馬島伸治さん:
「本社は開門神事で、門を開いたと同時にばーっと境内を走って行くんですけど、うちは境内が狭いものですから…」

西宮神社と違い、門もなく、境内も狭いという『中津川西宮神社』。その結果、同神社の「福男選び」では、公道を走るコースになったのです。

陸上部も驚き「やばい、この坂はやばいっす」

スタート地点は、江戸時代につくられた歴史ある「旧中山道」。この直線を抜けると、最初の難所、“90度の直角カーブ"が見えてきます。さらにその先にあるのは、挑戦者を苦しめる約200メートルにもおよぶ“上り坂”。登れど登れど、終わりが見えません…!

坂で疲れ切った挑戦者たちを待ち受けるのが、転倒要注意の最終コーナー。そのまま直線を走り抜け、神社の前がゴールです。

この壮絶な戦いに挑む若き挑戦者が。地元の学校に通う、高校3年生の今井春くん(18歳)です。陸上部で400メートルの選手だった春くん。走りには自信があります。

実際にコースを見てもらうと、「そんなきつくないかな。陸上部からしたら、この坂はまだ序の口、全然大丈夫です」と、余裕の春くん。しかし、坂の上まで登ってみると、「やばい、この坂はやばいっす」とやや焦りの色が。続けて、「この坂で誰が福男かが決まる。だから"福ロード"」と話しました。

春くんの挑戦に、家族も期待を寄せています。

春くんの母・夕香さんは、「常に高いところを目指すって感じで頑張る努力家なので。できれば福男に選ばれて、中津川に福を呼び込める男になってほしいなと」と息子を応援。春くんは、「人と競争するのは、これが高校最後かな。勝負は勝ちたいから、優勝して、福男になって、みんなに福を届けられたらなって思います」と、本番への意気込みを語りました。

異例の積雪!氷点下のコースを激走

福男選び当日。めったに雪が積もらない中津川市は、異例の積雪で最悪のコンディション。白い息を吐きながら、春くんも「寒いっすね。思った100倍寒い」と話します。

福男選びで最も重要なのが、スタートの順番を決めるくじ。福男になるためには、一番最初にスタートできるAブロックに入ることが必須条件です。

見事、Aブロックを引き当てた春くん。お母さんも、お手製のうちわをもって応援に駆けつけました。

ついに福男選びがスタート!太鼓の音を合図に、参加者たちが一斉に走り出します。

最初の難所、急カーブ。春くんも懸命に先頭集団に食らいつきます。なかには、急カーブでバランスを崩す人も…。

一方先頭集団は、上り坂へ!約200メートルにもおよぶ上り坂に、参加者たちも苦しそうです。

春くんは先頭集団から少し遅れた様子。母・夕香さんは、「春、がんばれ~!」と大きな声で応援します。

そして、ついに“壱番福”となる参加者がゴールイン。春くんは惜しくも、4着という結果となりました。

「惜しかった~4番だった」と悔しそうな表情を浮かべる春くん。母・夕香さんは「惜しい~あと一歩やったのに」と、息子の健闘を称えました。

お母さんからの声援に、「ちょっと元気になりました」という春くん。続けて、「来年は福男になって楽しく過ごしたいですね」と話しました。

“福男”の副賞は?意外な参加賞にも注目

取材した福本義久アナウンサーによると、午前2時頃には雪が降っていたという当日。路面も若干凍結しており、「中止まであるかな」と考えた環境だったといいます。そんななか、会場周辺には地元の人々が集結。「地元のみなさんが協力して、融雪剤をまくなどして、開催にこぎつけていました」と、会場の様子を明かしました。

“壱番福”になったのは、岐阜県恵那市の会社員、鈴木悠右さん(30歳)。岐阜の陸上チームに所属する鈴木さんは、なんと会社員として働く傍ら、100メートルを主戦に走っているスプリンターでした。

鈴木さんには、“壱番福”の副賞として、兵庫県『西宮神社』の福男と同じ「木彫りのえびす様」のほか、お米20㎏やお酒などが贈られました。

また、中津川西宮神社は参加賞として、全長約2センチの「折り鶴」を用意。なんとこの小さな折り鶴、同神社の宮司・馬島さんの97歳になるお母さんが、毎朝ピンセットで折っているものだといいます。

来年以降の、中津川西宮神社「福男祭り」開催は未定。しかし、馬島さんは開催を前向きに検討しているといいます。

最終更新日:2025年1月17日 20:00
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