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あなたは知ってる?「SRHR」の意味と大切さ 国連人口基金に聞く

2022年3月4日 16:07
あなたは知ってる?「SRHR」の意味と大切さ 国連人口基金に聞く
左:佐藤摩利子さん(提供:国連人口基金(UNFPA)駐日事務所)、右:小西美穂キャスター

女性の体と心に関する問題、自由で健康な生き方について考えるうえで大切なSRHR。その言葉の意味、大切さとは?

3月8日は国際女性デーです。皆さんは「SRHR」という言葉を知っていますか?これは、女性の体と心に関する問題や、健康で自由な生き方を考えるうえで大切な言葉なのです。まだあまり認知されていないSRHRの意味や大切さについて、国連人口基金(UNFPA)駐日事務所長の佐藤摩利子さんに小西美穂キャスターが聞きました。

■SRHRの意味と大切さとは?

SRHRは英語の「Sexual and Reproductive Health and Rights」の頭文字をとった呼称です。日本語で「性と生殖に関する健康と権利」と訳します。これは、誰もが年齢や性別に左右されず、自分の体のことを自分自身で自由に決めることができる権利を意味します。例えば「子供を産むかどうか」「何人産むか」などに対し、第三者が強制して決めるのではなく、女性自身が自分の体と向き合い、自由に決めることができるということです。妊娠・出産に限らず、生理や避妊など、女性の体に関するあらゆる悩みや問題を含みます。

ーーなぜSRHRは大切なのでしょうか?

SRHRは、望んだ時に妊娠をし、子供を何人産むか、妊娠・出産に関する権限を自分達で選択できるということです。体のことを(自分で)コントロールすることで、その次に教育や仕事、他の選択へとつながっていく。基本中の基本だと考えています。なので自分の体をもっと大切にし、そのサポートとして、例えば性教育を日本がもっと進めていくべきだと思っています。

■「まだ理解されていない」日本と世界の課題

ーー日本におけるSRHRの課題は?

そもそもSRHRの概念が、まだ理解されていないことです。また最近、若者が生理の貧困や緊急避妊薬の問題について、『これは困るよね』と声を出し始めていますよね。しかし、なかなかその声が政策決定者に届いていない。それが課題かなと思っています。それと、包括的性教育が日本は大きく遅れているんですね。もう少し日本も国際スタンダードに近づくような義務教育が必要だと思います。

ーー世界ではどんな課題があるのでしょうか?

すべての国において完全にSRHRを享受しているところはないと国連人口基金では理解しています。特に途上国で女の子に生まれると、「女性器切除(FGM)」という有害な慣習があり、彼女の意志とは反した形で受けさせられます。児童婚により望まない妊娠をしてしまったり、特にサハラ砂漠より南のアフリカのエリアでは、自分たちの体が他者や国にコントロールされたりしてしまう状況があります。

■自分の体を大切にするために私達ができること

ーー今後、私達はSRHRについて、どのように意識や行動を変えていく必要があるのでしょうか?

NOと言える自分を作ってください。例えばカップルの場合、パートナーに性的な関係を迫られた際、自分はあまり気が乗らないと思っているのに、パートナーに嫌われるのではないかと思って「ノー」と言えないですよね。これはやはり、自分の体に関して自己決定できないという何らかの風潮があります。パートナーがそれでも強要してくるような状況があれば、相手はおそらくあなたの体のことを大切に思っていないのではないかと客観的に見て、「ノー」と言える自分を作って頂きたいと思います。

また、友達が性暴力を受けた場合、「そうだよね、大変だったよね」と寄り添ってあげるようなサポートをすること。被害者の方は、やはり性暴力を受けると「自分が悪いんじゃないか」と責めることがよくあります。訴えに出ると、それに対してまた誹謗中傷されることがあります。それはあってはならないことで、社会全体でそういうことがないよう守っていかなければいけないと感じています。

■知識を得たり相談できたりする居場所作りが必要

ーー今後、日本はどのような公的な支援、取り組みが必要だと考えていますか?

体のことに関してはタブー・恥ずかしいことであったり、なかなか話しにくいという状況が日本でもあります。壁を少し低くするために、ユースクリニックやユースカフェなど、相談したり、避妊の知識を得られたりするような”居場所作り”がとても大切だと思っています。

コロナ後の日本がより良い復興を成し遂げるために、今、あぶり出されている課題に対して、「可哀想な女性に支援をする」というような上から目線な支援ではなく、「これは女性に対する投資である」というような観点が根本的に必要ではないかと思います。日本は、それをしなければ世界から取り残されてしまうのではと、私は危惧しています。

◆日本テレビでは、3月8日の国際女性デーに向けて「#自分のカラダだから」「#国際女性デー」を掲げて、女性の体と心に関する問題や“健康な生き方”につながる情報を広く発信します。