「アニサキス」食中毒相次ぐ 鮮魚店や飲食店は…
魚介類に寄生し、食べると激しい腹痛などに襲われるアニサキスによる食中毒が相次いでいます。刺し身や釣ったサバを食べたりしたことが原因でした。その対処法を取材しました。
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毎朝、豊洲市場から仕入れた魚が並ぶ築地の鮮魚店で、話を聞きました。
斉藤水産・統括責任者 斉藤又雄さん
「これから梅雨の時季になると、アジだったりイワシだったり」
青魚は脂がのり、今が旬だといいますが、この時期、注意をしていたのが、魚介類に寄生する「アニサキス」です。
斉藤水産・統括責任者 斉藤又雄さん
「やっぱり夏場、アニサキスの発生が多いんですよ」
中でもアジやイワシ、カツオやサバなどに寄生していることが多く、食べると激しい腹痛やおう吐など、食中毒を引き起こします。
この店では冷凍して死滅させるなどして、対策をしているといいます。
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実は今、アニサキスによる食中毒が各地で相次いでいるのです。
滋賀県の大津市では6月2日、海で釣ったサバを刺し身にして食べた2人がアニサキスの食中毒になりました。
関東では、群馬県や埼玉県のスーパーで売られていたヒラメの切り身や、アジやイワシの刺し身を食べた人が食中毒となり、鮮魚売り場が一時営業停止となりました。
確認できただけでも今年はこれまでに、27の自治体で100件以上発生しています。
中でも福島県のいわき市では、4月までに8件、鳥取県では例年、1年でも7件ほどでしたが、今年は5月までに10件も発生しているのです。
5月20日頃、イワシの刺し身を食べて食中毒になった男性に話を聞きました。
5月にアニサキスで食中毒になった埼玉県在住の男性
「痛いし苦しいし息苦しくなるし、ほんと、このみぞがギューってくるんですよ」
食べた翌日、激しい腹痛におそわれ、数日後、医師に診察してもらいました。
5月にアニサキスで食中毒になった埼玉県在住の男性
「胃カメラ撮った先生に言われたのが、取りあえず1匹」
症状は落ち着いたものの、6月も病院で検査を受けるということです。
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アニサキスによる食中毒は、9割以上が胃の付近で炎症を起こすといいます。医師は早い段階で受診することが一番大事だといいます。
中でも、食中毒と気づかず激しい痛みがある状態が続くと、体の中に抗体がつくられることがあり、再びアニサキスの成分が体に入ると激しいアレルギー反応を起こすことがあるといいます。
天王台消化器病院 渡邉和義院長
「“アニサキスアレルギー”というのがありまして、ずっとこういう刺激があると、アニサキスの体に対する抗体が人の方にできて」
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防ぐためにはどんな点に注意が必要なのでしょうか。都内の飲食店で、話を聞きました。
根室食堂 平山徳治オーナー
「天然の場合はやはり、アニサキス、すごく神経とがらせないと」
天然の魚の内臓に寄生していることが多いというアニサキス。基本的には内臓を取り除けば処理できるということですが、魚の種類により内臓から身に移ることもあり、目で見て取り除く必要があるといいます。
その上で…
根室食堂 平山徳治オーナー
「万が一いたら、(焼き魚や煮魚など)基本的には火を通す作業に入ると思います」
原因について、食中毒を防ぐ活動を行う団体、日本食中毒防止協会は、近年、温暖化の影響で海水温が高くなり、アニサキスが増えやすい環境になっているのではと指摘しています。