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【九州初】「こどもホスピス」福岡に14日開設 家族で安心して過ごせる場所を 我が子への思いを胸に奔走

2024年12月14日 7:30
【九州初】「こどもホスピス」福岡に14日開設 家族で安心して過ごせる場所を 我が子への思いを胸に奔走

重い病気や障害がある子どもと、その家族が思い思いに過ごせる施設「こどもホスピス」が14日、福岡県古賀市にオープンします。九州では初めて開設されるこどもホスピスの実現には、愛する我が子を亡くした女性の思いがありました。

■福岡子どもホスピスプロジェクト 理事・内藤真澄さん
「よろしくお願いします。」

「こどもホスピス」のオープンを3日後に控えた11日、福岡子どもホスピスプロジェクトの理事を務める内藤真澄さん(30)は、慌ただしく準備に追われていました。

■内藤さん
「やっとですよね。私でも『やっと』って、うれしいと思っているから。」

内藤さんが実現を目指す「こどもホスピス」は、重い病気や障害がある子どもが、看護師や介護士から医療やケアを受けながら、家族と安心して過ごすことができる施設です。終末期の患者の緩和ケアを行う「大人のホスピス」とは違い、子どもたちが家族とくつろげる“第二の家”です。

内藤さんがこどもホスピスの開設を目指すようになったきっかけは。

■内藤さん
「いろいろ大変なこともあったのですが、息子の生きた意味を残したいという思いがずっとあったので、それが活動の原動力になっていました。」

内藤さんの長男・駿(しゅん)くんは13年前、白血病のため3歳2か月で旅立ちました。およそ2年間の闘病生活中、自宅に帰ることはほとんどできませんでした。

■内藤さん
「家に帰れなかったのが一番つらかった。個室が長かったのでお友達とさえ遊べなかったんです。遊ぶって普通じゃないですか。だけど、かなわなかった。」

多くの子どもたちにとっての「当たり前」が奪われる入院生活。実感したのは家族みんなで過ごす時間の尊さでした。

■内藤さん
「レモネードいかがですか。小児がんの子の支援をしています。」

内藤さんは同じ思いの家族の役に立ちたいと、こどもホスピスの開設を目指す取り組みを続けてきました。しかし、大きな壁となったのが、高額な建設費と運営費の調達です。福岡でこどもホスピスを開設する場合、土地代や建設費で4億円が必要と試算されています。

■三原じゅん子 こども政策相
「最近各地で、地域で協力してこどもホスピスを立ち上げる動きがあります。こうした地域の皆さんの動きを加速化し全国に拡大するために、国として支援を創設することといたします。」

12日、衆議院で可決した補正予算には「こどもホスピスへの支援」として3億円が初めて盛り込まれ、こども家庭庁が全国普及に向けて財政的な支援に乗り出します。

ただ、法的な支援制度が追いついていない現状では、運営資金は民間の助成金や寄付に頼らざるをえません。今のところ、こどもホスピスは全国に大阪・横浜・札幌の3か所しかありません。

今回、内藤さんはクラウドファンディングなどで資金を集め、福岡県古賀市にある、障害がある子どもが通う療育施設を週末だけ間借りして、オープンにこぎつけました。施設の利用は無料です。

■内藤さん
「今度お迎えする女の子の浴槽と、家族に入ってもらう浴槽。みんなでお風呂に入りたいというのがご家族の願いなので、ここは念入りにやりたいです。」

■筒井真央さん
「こんにちは。よろしくお願いします。」

14日に開設されるこどもホスピスの初めての利用者となるのが、福岡市東区に住む筒井真央さんと、こは音(ね)ちゃん(5)です。こは音ちゃんは生後まもなく、染色体に異常がある「13トリソミー」と診断されました。心臓や肺などに先天性の疾患があります。

■こは音ちゃん1歳の誕生日
「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー。」

「13トリソミー」は、1年以上生きる幼児の割合が10%に満たないと言われていますが、こは音ちゃんは現在5歳。すくすくと成長しています。

■真央さん
「体が強くなりました。入院とか2年近くしていません。」

初めてのこどもホスピス。真央さんと、こは音ちゃんが心待ちにしているのが。

■真央さん
「一緒ににぎやかに頭を洗ってもらったりしながら、お風呂に入ったりできるかなと。湯船につかるのが好きですね。チャプチャプするのが好き。」

こどもホスピスでは、こは音ちゃんのケアを専門のスタッフがサポートするため、家族にとっても安らぎの場となります。

■真央さん
「一緒に料理したりとか、なかなか時間を割くことができないから、こは音ちゃんもお泊まり楽しいと思うけど、お姉ちゃんたちにも楽しみがあって、すごくいいなと思います。」

■内藤さん
「日頃張り詰めた生活になっていると思うので、ちょっとでも安らいでもらいたい。家族で楽しい時間を過ごしてもらうことが一番の願いです。」

たくさんの笑顔があふれる場所になるように。内藤さんはこどもホスピスが当たり前にある社会を目指して、これからも活動を続けます。

※FBS福岡放送めんたいワイド2024年12月13日午後5時すぎ放送

最終更新日:2024年12月14日 7:30
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