【線状降水帯】従来より細かい「県単位」で予測を発表 的中率は“4回に1回” ただ大雨は高い確率で予測可能 発表されたらどう行動? 福岡
ひとたび発生すると大災害をもたらす危険のある線状降水帯。その発生予測の発表方法が27日から変わりました。これまでよりも予測範囲を狭めての発表となり、気象庁はより危機意識を高められると期待しています。
29日午前、北九州市小倉北区では。
■奥村三枝記者
「電光掲示板に通行止めの文字が出ました。通行止めゲートを閉める点検が行われます。」
午前10時から行われたのは、アンダーパスの点検です。
2018年の西日本豪雨では、北九州市内25か所のアンダーパスのうち15か所が冠水し、車4台が水没しました。
短時間に降る大雨。災害をもたらす雨の原因の一つとして、ここ数年よく耳にするようになったのが線状降水帯です。
線状降水帯とは、発達した積乱雲が文字通り線状に連なったものです。その発生の予測が新しくなりました。
気象庁では2022年から、線状降水帯の発生を半日前に予測し、発表してきました。
これまでは全国を11の地区に分けて、九州であれば北部と南部に分けての発表でしたが、2024年5月27日からは県単位で、より範囲を絞っての予測ができるようになりました。
その効果について、福岡管区気象台の担当者に聞きました。
■福岡管区気象台 予報課 防災気象官・渡邉剛さん
「福岡県、佐賀県など、各県名で呼びかけることになる。県名を読み上げられることで『自分の県だ』と危機意識をより一段と高く持ってもらうことを期待している。」
気になるのは的中率です。これまでの予測では4回に1回程度とされていました。
■渡邉さん
「発表の範囲を絞り込むことで通常だと的中率が下がるが、新たな予測手法を使い、これまでと同程度の的中率になると見込んでいる。」
さらに、この予測情報は、線状降水帯の危険性のみを伝えるものではないといいます。
■渡邉さん
「線状降水帯の発生予測の当たる確率は4回に1回程度だが、3時間に100ミリ以上雨が降る可能性が3回に2回程度はある。大雨が降る可能性がかなり高い。」
27日、宮崎県と鹿児島県に線状降水帯の発生予測が出されました。実際には線状降水帯は発生しなかったものの、宮崎と鹿児島では5月の観測史上最も多い雨量を観測する地域もあるなど、大雨となりました。
気象台は「線状降水帯発生の“半日前予測”が出された際には、早めの避難や対策を心がけてほしい」としています。
線状降水帯の発生予測は、半日ほど前に発表されます。つまり比較的時間の余裕がある状況ということです。
福岡県の防災ハンドブックでは、大雨の危険が迫っている際には気象情報や周辺の状況の変化に注意し、避難に関する情報が出たら直ちに避難できる準備をするよう求めています。
また気象庁は、土砂災害や洪水の危険度を確認できる「キキクル」を活用するなど、防災気象情報を確認して避難の判断をしてほしいとしています。