シリーズ「こどものミライ」芦屋町が無料の「放課後塾」をスタート「町内に大手の塾がない」進学塾の講師が中学校にやって来た 福岡
基礎学力の向上や学習習慣の定着につなげようと、福岡県芦屋町が9月から新たに“放課後塾”を始めました。
芦屋町の芦屋中学校です。9月4日の放課後、生徒の待つ教室に、大きな段ボールを抱えた男性がやって来ました。
■英進館 浅川校・湯川数馬 教室長
「英進館という塾から来ました。湯川と言います。この芦屋中学校で授業をすることになりました。」
湯川さんは、九州を中心に60以上の教室を展開する進学塾大手の「英進館」の講師です。芦屋町では9月から、学校で放課後に「学習する時間」を提供する取り組み、“放課後塾”を始めました。対象は小学5年生と中学2年生で、希望者は全員無料で受講できます。中学2年生は、全体の半数にあたる54人が参加しています。
初回のこの日は学力を確かめるため、英進館が用意したテストと、その解説授業が行われました。
■湯川 教室長
「通分をしているんだけど、その後にミスをしている人が結構多いのね。おそらく、この途中式を書けた人はもう間違わないんですよ。ここでちょっと雑にしちゃう人が、ここで符号を間違っちゃうのね。」
毎週水曜日の放課後に、60分の数学の授業を行います。英進館が用意した教材を使用して、習熟度に合わせたクラスに分かれて、授業は2025年3月まで続きます。
■湯川 教室長
「東筑高校の合格ラインは今回のテストで68点です。1から3(基礎問題)だけで何と65点分あるんです。計算ミスをしているよりも、ここをきちんと取って、あと何問か取ったら東筑ラインを超えます。」
■生徒
「いつもの授業とは違う緊張感が味わえました。」
「最後の説明の時にポイントをおさえて教えてくれる所と、解説が分かりやすかった。」
「町内に大手の学習塾がない」
芦屋町が放課後塾を開設した背景には、学校以外での家庭での学習時間の短さがあります。
全国と、芦屋町の家庭での学習状況の比較です。小学生で1日1時間以上、家庭で学習しているのは、全国平均より10.6ポイント少なく、中学生で2時間以上、家庭で勉強しているのは、7.6ポイント少なくなっています。
■生徒
「(家での学習時間は)1日30分くらい。」
「いつも疲れて帰ってきた時もすぐ寝てしまうので、勉強する時間があまりないです。」
芦屋町の担当者は、学校以外での学習時間の短さの背景に“地域の問題”もあるといいます。
■芦屋町教育委員会・木本拓也 学校教育課長
「芦屋町の中には、いわゆる(大手の)学習塾がありません。学校が終わると自分で勉強するしか方法がないのが現状です。学習塾に行きたくてもないので、そうであれば、町として少しでも家庭学習の時間を作る場を作っていこうということで、今回考えました。」
芦屋町は、宮若市や那珂川市で実績がある英進館に委託し「放課後塾」を開設し、今年度の予算に380万円を計上しました。学習習慣の定着や都市部との「教育格差」解消を目指します。
■木本 学校教育課長
「学力がつくということは、将来に向かって自分自身の武器にもなると思います。子どもたちには将来の夢を考える時に、選択肢は広く多く持ってほしい。」
福岡県によりますと、自治体と民間の塾が連携した取り組みは8年ほど前から行われていて、現在は県内の20を超える町で“公設塾”が開かれるなど、広がりを見せているということです。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年9月19日午後5時すぎ放送