50代で「小麦アレルギー」と診断…これからの食事は?専門医に聞いてみた
KKTで月曜から金曜の午前放送「DayDay.」MC、武田真一!熊本出身の武田が元同僚で後輩の東島大デスクとニュースを深掘り!!
「DayDay.」MCで熊本出身の武田真一さんとリモートで結んでお伝えします。番組生放送の後駆けつけて下さいました。
(KKT東島大デスク)
今回の大人の食物アレルギーです。実は私、2か月程前に小麦アレルギーの診断を受けました。
その診断書です、ほんとに驚きましたね。
(武田真一さん)
小麦粉、食べられない?
(東島デスク)
食べてないです。とりあえず様子を見てみるという医師の勧めもあって、この2か月小麦粉断ちしています。
私の好物、というか毎日よく食べていたもの。パン、ラーメン、カップ麺、パスタ、焼きそば、揚げ物、ピザ、ケーキ、などなど全部この2ヶ月食べてません。特に外食はハードル高いです。
(武田さん)
東島デスクは酒好きだけど、ビールやウイスキーはいいの?小麦が入っているものもあるし、大麦などの麦も使っているから。
(東島デスク)
ウイスキーのような蒸留酒は造る過程でタンパク質がなくなるそうなので大丈夫という話を聞いたりもしましたが、とにかくこの2か月はいったんすべて小麦粉を遮断するということでビールもウイスキーも全面的に断ちました。ただ、そういうふうに、いいのか悪いのかよくわからない不確かな情報が多いんです。この際大人の食物アレルギーをきちんと取材しようと決意。すると意外な事実がわかってきました。
【VTR】
東島デスクが訪ねたのは熊本市の地域医療センターです。津村真介医師は県内でも数少ないアレルギーの専門医です。
■東島デスク
「もうラーメンとか2度と食べられないのかって本当にショックを受けたんですけどもう食べられないんですか私」
■地域医療センター・津村真介医師
「いえ、そんなことはなくて基本はですね、検査で採血で陽性だからそれを食べちゃダメということにはならないです」
いきなりまさかのひと言。これはどういうことでしょうか。
■津村医師
「例えばアレルギーのいちばん重い症状っていうのはアナフィラキシーがありますが、アナフィラキシーを起こすようだとしばらく避けていただかないといけない。ちょっとお腹を壊す程度だと、それはやっぱり体調が良い時で、例えば次の仕事がない日なんかは、僕らは食べてもいいと言うわけなんですよね」
全てがダメというわけではないと語る津村医師。患者から食べることの楽しみを奪わないことも大切にしているといいます。
■津村医師
「成人のアレルギーってそもそも研究が全然進んでなくて、ちゃんとした信頼できる研究結果ってのはとても少ないんですよ。それで食事療法なんかもそうですけどまことしやかにいつの間にか作り上げられた、こうするべきではない、こうした方がいいっていうのがとても多くて、中にはそれをそのまま受け取っていただきたくない情報もある」
アレルギーの症状や程度は患者ごとにまったく違うため、血液検査でアレルギーの疑いがわかったら専門家の診察を受けて自分にあった治療を行うことが大切です。ただ問題が…
■東島デスク
アレルギーになってもすぐに専門の先生にアドバイスを受けられるという体制でもないということですか?
■津村医師
「そうですね。専門医ということに区切ると、 かなり数が少ない。これでも、 九州の中では熊本はかなりマシな方だと言われていまが患者さんにとっては、どこに相談していいかわからないというのが実情ではないでしょうかね」
【スタジオ】
(武田さん)
私の義理の母も一時、原因不明の腸の不調が続き、うどんやパンなどの小麦製品を止めたら具合がよくなったことがありました。ただそれまでは普通に食べていましたし、回復した今はまた食べられるようになっているようです。
(東島デスク)
ひとくちに小麦アレルギーといっても、私やお義母さんのようにいろんな症状の出方があるので、やはり医師の診察が必要になってくるわけです。
(武田さん)
とはいえ専門医は足りないということで、まず私たちはどんな診療科に相談すればいいのでしょうか。
(東島デスク)
津村医師に聞きました。
「アレルギーかと思った場合、皮膚に症状があれば皮膚科、鼻炎なら耳鼻科、喘息などの症状があれば内科を受診していただきたい。専門医による診察が必要と思われれば、それぞれのクリニックの先生に紹介していただく形が良いと思います。大事なことは「血液検査」陽性=食べられないということではないということ。信頼できる医師に相談しましょう」ということでした。
(緒方太郎キャスター)
東島さんがもう二度とラーメンが食べられないと悲嘆することはないということはわかりましたが、でもまた食べられるようになっても、以前のようには食べられない?
(東島デスク)
そうですね。私の場合は、たとえばうどんやラーメンならレンゲで一杯分から始めようということでした。それはそれで大変なので、やっぱり小麦の代わりになるものを探したい。実は熊本には強い味方がいるんです。
熊本市の製粉メーカー熊本製粉です。日本の製粉会社としてはいち早く米粉に力を入れ、小麦アレルギーの人も口にできる米粉の商品を開発しています。しかし開発には大きな課題がありました。
小麦粉も米粉も一見、同じような白い粉に見えます。しかし実はその粒子の形はまったく違います。
顕微鏡写真でみると、右側の小麦粉に比べて左の米粉は、硬い米を砕いて作るため全体に粒子が大きく、角張っています。
さらに細かくしようとすると今度は表面に傷が付きやすくなります。ところがデンプンは角張っていたり傷が付いているともっちりと膨らまないのです。
デンプンを傷つけずに丸く細かくするという大きな難問。開発部門のヒントとなったのが…
■熊本製粉・牛島さん
「ヒントになったのは、従来和菓子用に使われてる米粉とかの中に(デンプンを)傷つけずにいいお団子や餅ができる粉を引く方法っていうのがあったんです。そういった伝統的な方向の中から参考になるものを拾っていって」
そうして開発されたのが右側の米粉です。粒子が細かく、かつ表面がなめらかなのがわかります。熊本が世界に誇る米粉の誕生です。
こうして生まれたのがアレルギー対応の米粉商品の数々。はたしてその味は…?
実際に作ってみるのがいちばん!熊本製粉さん立ち会いのもと、我が家で試食会を開くことに。
東島デスクが小麦アレルギーの診断を受けて以来、妻は日々の食事作りに頭を悩ましていました。
■東島デスクの妻
「ビールのつまみに揚げ物ができなくて…」
まず試したのが米粉の天ぷら。
「(米粉は)グルテンがないので、どれだけまぜても大丈夫です」
「あ、そうか。ふつうかき混ぜるなっていいますよね」
天ぷらの衣は氷で冷やす、かき混ぜすぎないなどコツが必要ですが米粉だと気にする必要がなくむしろ小麦粉より簡単です。完成したてんぷらは…
■東島デスク
「ふつうに天ぷらですね」
「うんおいしい。天ぷらです」
「あえていうとコロモの甘みがより軽い感じかなというのはありますけど、十分美味しいです」
■東島デスク
Q油の吸収量とか小麦粉と変わらない?
「小麦粉と混ぜて使う場合、米粉の方が油が減ると言われています」
次はホットケーキ。作り方はほぼ同じで少し生地が重めかなというくらいの違いです。
調子に乗ってお好み焼き粉を使ったたこ焼きにも挑戦しました。実は熊本製粉の方たちもたこ焼きは初めてです。これが予想外に大苦戦。小麦粉のタコ焼きとかなり感触が違います。でもお味は。
■東島デスク
「見た目はともかくタコ焼きとしてはおいしい」
コツさえつかめばキレイに焼けるようになりました。
今回の試食を通して感じたのは、小麦の代わりとしてはもちろん米粉そのものに新しい食材としての魅力でした。
【スタジオ】
(武田さん)
実は私も最近米粉に興味があって調べていたんですが、熊本製粉さんはパイオニアのようですね。
(緒方太郎キャスター)
なぜ米粉に興味を?
(武田さん)
円安で小麦の価格が上昇している中で、米粉に期待が高まっているそうなんです。
(東島デスク)
以前は米粉は小麦粉より価格が高かったんですが、農林水産省によるとかなり値段も接近しているそうですし、なんといってもお米ですから食料を自前で確保する食料安全保障という面でも頼りになりそうです。29日に成立した改正農業基本法でも小麦に変わる米粉の利用拡大が盛り込まれました。
(武田さん)
国産の米粉を使ったパンをひとり一か月に5枚食べると、日本の食料自給率が1%上昇するという試算もあるそうです。東島さんと同じように小麦が食べられないという体質の人は欧米に実はたくさんいて、日本の米粉は海外への輸出品としても期待されているんです。
(東島デスク)
私も小麦アレルギーと言われて正直参りましたが、その分体調がとても良くなったというメリットもありました。体調不良が続く人はそういう点からも食生活を見直してみるのも一手かも。ただその場合は、必ず専門の医師の指示に従うこと、これが大切です。
(緒方太郎キャスター)
ここまで大人の食物アレルギー最前線を武田真一さんとお伝えしました。