サッカーに関心がない人をいかに惹きつけるか?愛媛FCとFC今治、それぞれの戦略
開幕戦の直前、それぞれのホームで取材したのは、CH.4のレギュラー出演が決まった日本テレビnewszeroの藤井貴彦キャスター!愛媛県内にプロサッカーチームが2クラブあることで愛媛の未来はどうなるのか?2つのクラブのサッカー“じゃない”取り組みに注目しました。
株式会社愛媛FCの取締役、村上茉利江さん(39)です。
藤井キャスター:
「愛媛FCが、愛媛県の皆さんに対してどんなことができると思ってる?」
村上さん:
「スポーツが持つ人の感動を作るところとか、やっぱりどんなコンテンツにも負けないくらいエネルギーを生むものだと思う。感動が増えるほどスタジアムに生まれるエネルギーは凄まじいので、このスポーツが持つエネルギーっていうのが、街を元気づけるのに必ず必要なものだと思っている」
東京の大学で経営学を学び、IT企業に入社後、企業の新規事業創出や新市場参入など、事業戦略のコンサルティングに従事してきました。愛媛FCの取締役に就任したのは、4年前。いまは東京と愛媛の2拠点生活を送りながら、ビジネス本部の責任者として組織風土改革と営業力強化に奔走する日々を送っています。
Q.就任した時は?
「全くサッカーのルールがわからず、全く興味もなく。どうやったら自分みたいなサッカーに関心がない人、90分間長くて耐えられない人をどう引き付けるのかもその入口をどう作っていくのかと。きっかけは何でもいいと思ってるので」
更なるファン獲得やチームの魅力度アップに向けて茉利江さんがまず取り組んだのは、ホームスタジアムのある県総合運動公園の変革です。
去年4月からは、スタジアムがある県総合運動公園の指定管理者の代表も担いながら、様々なアプローチで実現に向けた取り組みを進めています。
村上さん:
「今、私達が普及していこうとしているのはピックルボールというニュースポーツ。テニスと卓球の間にあるぐらいのスポーツで、今全米で。大流行しているニュースポーツ」
藤井キャスター:
「意外と(ボール)弾まないですね。面白い!」
目指すのは、公園やその周辺の地域一帯を人と人がつながり、ワクワクする場所にすること。自らを“サッカード素人”と語る茉利江さんが仕掛けるのは、サッカーを通した“サッカーじゃない”取り組みです。
公園内では、芋掘りや自然の中でのお絵描きなど…地域の協力を得ながら月に4回のペースで公園の自然を生かした親子向け教室「えんの森」を開催しています。
“じゃない”でつながる活動は、高齢者福祉施設でも。
スタッフ:
「お孫さんの顔と似とるな~とかでも大丈夫ですよ」
おばあさん:
「うちこの人が好きじゃわ」
スタッフ:
「いいですね~素敵なお顔されてます。25番の方ですかね」
皆さんが手にしていたのは、選手が試合や練習で使うタオル。タグに応援メッセージや背番号を書いてタオルに縫い付けていきます。
おばあさん:
「使ってもらったら楽しいよね」
Q.どなたへ?
「この方です。40番。私はこういう感じが好きですので。会えるものなら会ってみたい」
愛媛FC 事業部 柳澤圭さん:
「まず顔を覚えて頂いて、シニアの皆さまからも応援をしてもらってパワーをもらうと。スタジアムには行けないけれども、心の中で応援してもらえるような、全世代に応援してもらえるようなクラブになりたいと思っています」
愛媛FCと今治タオル取り扱い専門店の伊織、そして県内の福祉事業者の3者が2年前に始めたプロジェクトです。
伊織 村上雄二社長:
「よく見ないと分からないぐらいのレベルなんですけど、 例えばここ…」
品質に問題はないけど、ほつれや傷があり商品にできないタオルに、福祉施設の利用者が選手の名前などを手作業で刺繍しチームに届けるという取り組みです。
村上社長:
「地方からその地域の経済を活性化したいという同志だと思ってますので、できることを続けていくという、そこを一緒にやっていきたいなと思っています」
普段は接点がなさそうなサッカー選手と高齢者がタオルを介してつながる、このプロジェクト。
おじいさん:
「応援シャツよ、これ着て応援するんよ」
ウェルケア重信 生活相談員 岩田豊さん:
「実はここに選手の方も来られて、風船バレーを入居者様と選手2人でやって、その時の思い出、選手が優しくてかっこよかったので皆さんファンになられて。つながってますね」
愛媛FC 村上茉利江さん:
「愛媛で初めてのプロスポーツチームであるっていう事実は塗り替えられることはないので、これを最大限この歴史をしっかり生かしていきながらも、我々だからこそできることっていうもので戦っていきたいと思います」
一方、初めてJ2リーグで戦うFC今治。
藤井キャスター:
「あ!ありましたね、FC今治ののぼりが。ここは商店街だからいろんなところにこっちにもありますよ」
「何か変化があったり効果があったりということはありますか?」
大館正照さん:
「やっぱり若い人がいい感じになっているじゃないですか?」
弟・正明さん:
「応援で来られた方が帰りにお土産買うのに寄ってくれたりということもあります」
藤井キャスター:
「お父さん、こんにちは。FC今治のJ2昇格は良いニュース?」
今治市市民活動推進委員会長 近藤健太郎さん:
「当然あさっての日曜日も行くんですけどね」
藤井キャスター:
「えー!行くんですか」
近藤さん:
「行きますよ」
藤井キャスター::
「FC今治に期待することは?」
近藤さん:
「それはJ1ですね。上の方に行って3位とか4位ぐらいの。来年はいきなりJ1に行く土台を作ってほしい」
藤井キャスター:
「力強い!」
FC今治に魅せられているのは、今治市民だけじゃないんです。応援団の太鼓担当、真田健一郎さん。選手の応援歌をピアノで演奏する、妻の美和さん。そして限定グッズを収集する長男・朋樹くん!それぞれのスタイルでチームを応援する、西条市在住のFC今治大好き一家です!
真田健一郎さん:
「ぶつかった時の音、シュートを打った時の音、ゴールポストにボールが当たった時の音が本当に迫力がすごくて、うわーこれすごいもの見に来たなと」
ホームゲームは毎試合生観戦。チームを運営する今治.夢スポーツが主催するキャンプや田植えといった自然体験プログラム、つまりサッカーじゃない取り組みにも参加するハマりよう。
真田朋樹くん:
「知らない人と触れ合ったりもできるし、サッカーを見てみたら楽しくて新しい経験をつくってくれたのかなと思っています」
残念ながら開幕勝利とはならなかったFC今治。
健一郎さん:
「むちゃくちゃ悔しいですね。応援もしっかり後押ししていってチームとサポーターとみんなで上がっていこうと思います」
美和さん:
「後半選手も良くなってきて、結果は負けましたけど、私の中では負けた気してなくて、 やれるぞ!って次回こそってみんなで笑おうと思ってます」
FC今治の“じゃない”取り組み。藤井さん、先週金曜の中継でもお届けしました。去年4月に開校したFC今治高校 里山校。生徒たちの発案で、地域の人と一緒に開幕に向けた応援ポスターを作っていました!
スタジアムの別の部屋では…
FC今治 パートナーシップグループ 栁原洋祐さん:
「アシックスさんと一緒に取り組んでいるアシさとクラブという活動で、皆さんウォーキングとかランニングとか健康増進のために集まってくれてます。中にはまだまだサッカーには興味はないけど我々の活動こういう活動を通してファンになってくれている方も増えている感じです」
藤井キャスター:
「愛媛県にJリーグのチームが2チームあるというのは素晴らしいことで、何が素晴らしいかというと、ライバルが身近にいるということ。相手がどういう戦いをするのか、どういうスタジアムをつくるのか、どういうイベントを開催するのかを見ることによって、お互いが切磋琢磨していって、なぜかそれがJ1につながっていくんじゃないか?という効果も見込めるので、この2チームが元気に試合をすること、地域を元気にすることが大切なんだなということが取材を通して分かりました」