知っていますか「手話弁士」映画上映会を四国初開催!ろう者俳優が開く新たな可能性
「手話弁士」皆さんは、この言葉、ご存知でしょうか?愛媛県松山出身の男性が来月、ふるさと松山で手話弁士として舞台に立ちます。その思いとは…
「手話弁士」とは…映画のスクリーン横で、台詞や音情報を手話で観客に伝える解説者です。かつて無声映画で活動弁士が台詞を音声で演じたように、手話弁士は手話で表現します。
日本の手話弁士の第一人者、砂田アトムさん、47歳。松山市出身で、聴覚に障害がある砂田さんはろう者俳優として、現在東京を拠点に活動しています。
来月、砂田さんが手話弁士をつとめる映画の上映会が、四国で初めて開かれることになりました。上映会を控え、砂田さんに話を聞きました。
砂田さん:
Q.今回のイベントへの意気込みは?
「出身が愛媛です。生まれ育ったところで手話弁士が出来ること本当に嬉しいです」
Q.どんな心構えで俳優活動を行っていますか?
「ろう者だからという気持ちはありません。聴こえる聴こえない関係なく皆を楽しませたいという思いでやっています」
イラストも得意という砂田さんが描いたイラストと言の葉です。
「強い方が勝つのではない弱くてもチャンスはある」
「下手で何が悪い?上手くて何がえらい?関係ないじゃん」
「もう一度言う あなたはやれるんだよ!」
「不器用でも下手でも一生懸命。それが一番!」
手話って素晴らしく、ろうの自分は素晴らしい。
全身でパワフルに「演じる」手話。それが砂田アトム流。字幕では伝えきれない、「手話弁士」だからこその役割があるといいます。
例えば、「すみません」と字幕で出ても、それが”Sorry”なのか”Excuse me”なのか分からないかもしれない。
手話で表現すると、それが分かる。今回イベントで上映されるのは、韓国映画「私の頭の中の消しゴム」の吹き替え版です。
デザイナー(ろう者)高田研吾さん:
「日本語映画の場合、字幕が無いことがあり、それでは見ることが出来ません。無いときは諦めるしかないんです。聴こえない立場としては字幕が無いとやっぱり映像だけ見てもつまらないんですね。私は字幕を見て映画を楽しむことが出来ますが、難しい言葉が出た時に分かりにくいケースがあります。もしそこに手話がついていれば、全ての内容を理解することが出来る。もっと映画を楽しむことが出来ると思います。手話弁士というものは聞いたことはありますが、今回初めて目にすることができる。とても楽しみにしています」
今回のイベントは愛媛県手話通訳問題研究会の40周年記念として企画され、研究会では、来月の本番に向け話し合いを重ねています。
スタッフ:
「弁士が立ち位置を決める時に、どの位置からどんな風に見えるかをこのスタッフ各所に散って、見え方を確認してもらいたい」
弁士が字幕入りの映像を見て、タイミングよく手話するためのモニター台は手作りです。
愛媛県手話通訳問題研究会 森川美恵子会長:
「手話弁士付きの上映会をどうですかって(アトムさんから)言って頂いて、よっしゃと乗らせてもらって今一緒にさせてもらっている。四国初ですので、たくさんの人に楽しんでもらえる内容。手話が福祉の分野ではなく、暮らしとか文化とか言葉なので、聴こえない人が使ってるとか聴こえない人大変…ということじゃなく“手話ってすごい魅力的な言葉なんだな”っていうのを知ってる方は再確認、知らない方は「おおー」って絶対思って頂ける」
ちなみに現時点では全国で愛媛県だけ、手話も言語だとする手話言語条例が制定されていません。
「(手話に触れて)素晴らしい魅力的な手話をあちこちでして下さる方が増えると、聴こえない方の暮らしがとても暮らしやすくなりますよね。八百屋のおっちゃんが手話をしてくれると、聴こえない方にとって暮らしやすい街や県になると思うんです」
砂田アトムさんが手話弁士を務めるイベントは来月15日に開かれます。あなたも手話に、触れてみませんか?手話って言葉で、カッコイイ!