【全文】日韓局長協議「懸案を解決して健全な関係に」官房長官会見(1/16午後)
松野官房長官は16日午後の会見で、きょう行われた日韓局長協議で、「日韓関係全般について双方率直な意見を交わした」とした上で、「双方は懸案を解決して、日韓関係を健全な関係に戻し、意思疎通を継続していくことで一致した」と述べました。
<会見トピックス>
▽日本国債の長期金利
▽子ども関連予算
▽日韓局長協議
▽台湾与党の新たな党主席選出
▽水道橋博士議員の辞職に伴うれいわ新選組の対応
▽防衛力強化と少子化対策の財源
▽中国の新たな国家規格の導入
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――日本国債の長期金利について伺う。先週に続き、日銀が変動幅の上限とする0.5%を上回る水準まで上昇した。受け止めをお聞きする。また今回の上昇は、日銀が先月に続いて金融緩和策の修正に動くのではないかといった市場の見方が背景とされる中、明日から金融政策決定会合も開かれる。どのようなことを期待するか。
○松野官房長官
国債金利の動向についてコメントすることは、非常に無用の混乱を生じさせかねないことから、お答えするのは差し控えさせていただきます。また、明日から開催予定の日銀の金融政策定会合について、政府としての立場からあらかじめ何か申し上げることも控えたいと思います。
今後とも日銀には経済物価金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策運営を行われることを期待します。
――話題変わります。政府の子ども関連予算について伺います。岸田総理は、子ども関連予算の将来的な倍増を掲げていますが、その倍増のベースとなっている予算額がいくらなのか、現段階で示すことは可能でしょうか。可能な場合はいくらなのか教えてください。もし現段階で提示できない場合、その理由もあわせて伺います。
○松野官房長官
総理は先々週、子ども政策の強化について本年4月のこども家庭庁の発足を待たず3月末を目途に具体的なたたき台を取りまとめるよう小倉大臣に指示したところであります。子ども政策に関する予算としては様々な整理の仕方がありますが、まずは、政策の中身についてしっかりと検討を進めていく必要があると考えています。小倉大臣が取りまとめるたたき台の内容を踏まえ、4月以降、さらに検討を深め、6月の骨太方針までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えています。
――本日午前、日韓の局長協議が行われた。元徴用工問題などを巡りどのような協議がされたのか?協議の内容と政府の受け止めを伺う。また、この問題を巡り、岸田総理は先日の会見で、外交当局が努力している、この努力を続けてもらいたい、と述べているが、日本側にも努力すべきことがあるという認識なのか?
○松野官房長官
1月16日に船越外務省アジア大洋州局長は訪日中の徐旻廷韓国外交部アジア太平洋局長との間で、日韓局長協議を実施しました。
先般の日韓首脳会談において、両首脳が日韓間の懸案の早期解決を図ることで改めて一致したことを受け、昨年 12 月の協議に続き、双方は旧朝鮮半島出身労働者問題を含め、日韓関係全般について率直な意見交換を行いました。その上で、双方は懸案を解決して日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させるべく外交当局間の意思疎通を継続していくことで改めて一致しました。
これ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、差し控えたいと思います。
――台湾与党の民進党は15日、新たな党主席に頼清徳氏を選出した。内政行政委員長在任中に「私は台湾独立を主張する政治家だ」と述べ、独立派の立場を声明した経緯がある。今回の選出が日本、台湾への関係や、緊張が続く台湾情勢に与える影響について所見を。
○松野官房長官
1月15日、台湾民進党の党主席を決める選挙が行われ、頼清徳氏が選出されたと承知していますが、政府としては海外の選挙結果について、コメントすることは差し控えたいと思います。その上で申し上げれば台湾は日本にとって自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。この立場を踏まえ、日台間の協力と、交流のさらなる深化を図っていきます。台湾との関係は、1972年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持しているとの日本政府の立場に変更はありません。
――れいわ新選組の山本代表が先の参院選挙で、比例代表で選出された水道橋博士議員の辞職に伴い、今後について、1年ごとに議員を交代するローテーション制度をやっていくという考えを示した。この対応についての受け止めをお聞かせください。
○松野官房長官
本日国会法の規定により水道橋博士参議院議員の辞職が許可され欠員が生じることになったと承知しております。このため、公職選挙法の規定により議員の欠員が生じた場合、当該政党の参議院名簿の搭載者で当選人とならなかったもののうち当選人となるべき順位に従い、繰り上げ補充が行われるものになるものと認識をしています。その上でご質問の件については個別の国会議員の辞職に関することであり、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
――防衛力強化と少子化対策の財源について伺います。弊社の週末の世論調査で防衛力強化や少子化対策拡充の実現のための増税などの負担増について、それぞれ反対と答えた人が6割前後となりました。政府として今後財源の課題についてどのように取り組んでいく考えなのか伺います。
○松野官房長官
防衛力強化については、安定的な財源を確保する上で、国民のご負担をできるだけ抑えるため、必要な財源の約4分の3については歳出改革など、あらゆる工夫を行い、その上で、残りの約4分の1について、税制上の措置をお願いすることとしたものです。国民の皆様の平和で豊かな暮らしを守るために、また私達の世代が未来の世代に責任を果たすためにご協力をお願いしたいと考えており、引き続き国民の皆様に丁寧にご説明するよう努めてまいりたいと考えております。少子化対策については、こども政策の強化について3月末を目途に具体的なたたき台を取りまとめるよう、先日、総理から、小倉大臣に指示を行ったところであり、まずは必要な政策の中身について検討を進めてまいりたいと考えております。
――中国政府が導入しようとしている新たな国家規格について伺います。中国政府は複合機などのオフィス機器について、新たに導入を検討している国家規格を巡り、昨年10月のWTOの会合で導入しないと説明したにもかかわらず、約10日後に中国国内で導入方針を打ち出していくことが弊社の取材でわかりました。政府としても受けとめを伺います。また中国がオフィス機器の全面国産化規制をかけることは、日系メーカーにも大きな影響が出ますが、政府として中国側にどのように働きかけていく方針でしょうか。
○松野官房長官
中国において政府重要情報インフラ部門による複合機、プリンター等の事務機器の調達に当たって適用される国家標準の改定が正式にプロジェクト化されたと聞いています。現時点でその標準案は、公式に発表されていませんが、一般論として申し上げれば、製品や部品の開発、設計、製造等の工程を国内で行うことを求める基準等の導入は、国際ルールとの整合性が求められるものと認識をしています。政府としては、国内企業に不当な不利益が生じないよう、今後の動向を注視し、産業界と連携しつつ、必要な対応をしていきたいと考えています。