【全文】福島第一原発の処理水「今年の春から夏ごろに海洋放出」官房長官会見(1/13午前)
福島第一原発で溜まり続ける「処理水」をめぐり、松野官房長官は13日午前の会見で、海への放出を始める時期について「ことし春から夏頃と見込んでいる」と述べました。
<会見トピックス>
▽鳥インフルエンザ関係閣僚会議
▽ALPS処理水の処分に関する関係閣僚会議
▽日米首脳会談
▽中国のコロナ状況
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。政令人事が決定されました。大臣発言として、総務大臣から多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する地方制度調査会の答申について、後藤大臣から令和5年度に日本学術会議が共同主催する国際会議についてそれぞれご発言があり、内閣総理大臣臨時代理たる私から海外出張不在中の臨時代理等について申し上げました。
次に先程、今年度第3回の鳥インフルエンザ関係閣僚会議を開催し、全国で発生が続いている鳥インフルエンザへの対応について議論をおこないました。鳥インフルエンザの発生を防ぐためには衛生管理を徹底するのが基本であり、飼養衛生管理基準の遵守や、緊急消毒の実施などの発生予防対策、感染例が発生した場合の迅速な防疫措置、鶏卵の安定的な生産の確保と家庭消費向けの優先供給の要請など安定供給に向けた三点について私から指示したところであります。鳥インフルエンザのシーズンは春まで続きます。政府としては引き続き監視警戒態勢を強化し、関係各省の緊密な連携の下、対応に万全を期して参ります。
次に本日、私が議長を務めるアルプス処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議を開催し、これまでの対策の進捗と今後の取り組みについて取りまとめました。今後アルプス処理水の海洋放出前には、IAEAの包括的報告書の発出、放出直後のモニタリング強化、被災地水産物の消費拡大、水産物の流通維持にかかる環境整備等に取り組んでいきます。具体的な海洋放出の時期については放出設備工事の完了、工事後の原子力規制委員会による使用前検査やIAEAの包括的報告書等を経て、今年春から夏ごろと見込んでおり、政府全体で全力を挙げて、安全性の確保と風評被害対策の徹底に取り組んで参ります。私からは以上です。
――日米首脳会談について伺う。岸田総理は明日未明からバイデン大統領と会談する予定です。ウクライナ情勢や食料エネルギー問題などに世界が直面すると共に、地域の安全保障環境も一層厳しさを増し日米同盟の深化の重要性が指摘される中ですけれども、どのような成果を期待するか伺う。
○松野官房長官
米国のバイデン大統領との会談は新たな国家安全保障戦略を含む三文書の策定、そしてそれを形ある物にする防衛力の抜本的強化の具体策を示してから間を置かずに実施するものであり、G7の議長としての腹合わせ以外にも大変重要な意味を持つものになると考えています。日本の外交安全保障の基軸である日米同盟の一層の強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けさらに踏み込んだ緊密な連携を改めて確認しインド太平洋地域を含む国際社会に対して平和と繁栄にコミットする日米の意思をしっかりと示して行く考えであります。
――中国のコロナの状況について伺います。中国がコロナの感染状況の日時データを8日分を最後に更新せず、国際的にも懸念が出ていますが、その受け止めをお願いします。また、日本政府は中国の情報開示のあり方を理由の一つに臨時の水際措置を実施し、その後に中国側のビザ発給手続きを停止したという経緯がありますけれども、中国のこうした情報開示の姿勢が続く場合、現状が長期化するのではとの恐れが強まっていますが、今後の見通しについての政府のご見解をお願いします。
○松野官房長官
中国における新型コロナのを感染状況については政府としても鋭意情報収集をしており、在留邦人を含む市民生活や日系企業の活動や中国経済に与える影響について注視しています。WHOは11日の会見で、依然としてデータが不足している部分がある旨指摘しており、中国側に対して感染状況について、透明性を持って適切に情報を示すよう引き続き働きかけていく考えであります。また、政府としては、在日中国大使館および総領事館を通じて、在留邦人や日本企業と緊密に連絡を取り合い、実態の把握に取り組みつつ、個別の相談に応じるなど、在留邦人の支援に尽力しています。中国側の査証発給制限措置については、我が国が新型コロナ対策を目的として、国際的な人の往来を止めるものとならないよう水際措置を実施している一方で、中国が新型コロナ対策とは関係がないと思われる査証発給の制限を一方的に行ったということについては極めて遺憾であり、中国側に対して外交ルートで抗議するとともに、かかる措置の撤廃を求めているところであります。我が国としては、中国の感染状況や中国側による情報開示のあり方などを見つつ適切に対応していきます。また、中国側の措置の影響について注視しつつ、邦人や日本企業等への支援をしっかりと行っていく考えであります。