【解説】“次の首相”は誰に? 過去最多9人の総裁選 きょう告示、選挙戦スタート
事実上、次の総理大臣を決める自民党総裁選挙が12日、告示され、過去最多となる9人が立候補を届け出ました。選挙戦の初日、候補者はどのようなビジョンを訴えたのでしょうか。総裁選の展望について、以下の3つのギモンを中心に、日本テレビ政治部官邸キャップ・平本典昭記者が解説します。
1. 9人乱立…出陣式での裏話
2. 「演説会」で見えた“違い”
3. 乱立総裁選…今後の展開は?
鈴江奈々キャスター
「まずは、総裁選の仕組みについて整理します。自民党の総裁選は『国会議員票』と全国の『党員・党友票』、それぞれ『367票』で争われます。過半数を得ることができれば、総裁に選出されます。ただ、1回目の投票で過半数に届かない場合は、上位2人で決選投票が行われます」
「決選投票は、国会議員が改めて1人1票を投じるのに加え、各都道府県連にも1票ずつ割りふられ、最も多く得票した人が総裁に選出されます」
鈴江キャスター
「ここからは政治部官邸キャップ・平本典昭記者に話を聞きます。まず1つ目のギモン『9人乱立…出陣式での裏話』ということですが、出陣式を取材して、気になった点を教えてください」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「はい、9陣営を現場で取材した記者から裏話が集まっています。まず、高市経済安保相の陣営。高市大臣が12日に選んだ青いジャケットは『冬物』だったそうです。12日の永田町の気温は34℃。私も取材で汗だくになりましたが、現場記者によると、実は、前回の総裁選で負けた時に着ていた服だと。その時に、次は勝ってやると再チャレンジの意味で、今回、同じ冬服を着たそうです」
「続いて、河野デジタル相の陣営。こちらの特徴は昼食メニューです。これは“永田町あるある”ですが『選挙での勝利のゲン担ぎでカツカレー』を用意した、と。陣営によると、約70食を用意したそうなのですが、国会議員の参加人数が予想よりちょっと少なく、余ってしまったそうです」
鈴江キャスター
「では2つ目のギモンについて。12日に『演説会』も行われましたが、そこで見えた“違い”、何かありましたか?」
平本記者
「前回は4人で1人の時間は20分でしたが、今回は9人で、1人10分という短い時間でした。終了後、演説を聞いた議員の1人は『人が多すぎて、1人あたりの時間が少なく、新しい話はなかった』と話していました」
「多くの候補者が重点政策、総裁選に臨む決意を訴えました。新しい発信がほとんどない中、小泉元環境相は自身の家族のエピソードを初めて明かしました。小泉議員は両親が幼い頃に離婚した後、今年初めてその母親に会ったといいます。こうした自身の経験から『選択肢をひろげる政治家として生きていく』と訴えました」
「また、石破元幹事長は、自衛隊の処遇を改善するための関係閣僚会議を設置する考えを、新たに打ち出しました」
平本記者
「もう1つ、今回初めて総裁選に挑む候補を多かったことからか、原稿に目を落とす場面が多い印象の中、ぐっと前を見て演説してるなという印象だった1人が加藤元官房長官です。実は、記者が取材した裏話だと『原稿を見ると説得力がないから』と、深夜1時まで陣営議員と暗記するまで練習を積んでいたそうです」
鈴江キャスター
「それぞれ力を入れたポイントが見えてきました。そして、3つ目のギモン。どうなる?『乱立の総裁選』です。今後の展開はどうなりそうでしょうか?」
平本記者
「まず、12日から党員向けの『投票はがき』が発送されました。取材に基づいて作った『サンプル』には『自民党総裁選挙投票用紙』と書いてあります。候補者氏名の記名式になっています。投票締め切りは、議員票と合わせて、投開票が行われる27日の1日前(9月26日)と書いてあるんですが、同時にはがきの左上には『お早めに投函してください』と書いてあります。実はこれが1つのポイントで、自民党のベテラン職員は『多くの党員がすぐに返送してくる』と話しています」
鈴江キャスター
「早く返送してくることが、今後の選挙戦にどんな影響を与えるのでしょうか?」
平本記者
「選挙戦は今回、最長の15日間となりますが、ある自民党の幹部は『党員票に討論などが影響するのは、この週末くらいまで』と話しています。ある陣営幹部も『割と早く投票するので、まずは党員向けの戦略が重要』と話しています」
鈴江キャスター
「早い対策が必要になるということですね。そういった中で、党員票獲得は、現時点でどの候補が優位なのでしょうか?」
平本記者
「日本テレビが独自で行った党員・党友に対する調査で、トップ3を占めたのは石破氏、小泉氏、高市氏の3人です」
「今回の総裁選は過去最多9人の乱立です。そのため2つの特徴が出ています。1つ目は、票が分散するため1回では決着がつかず、1位と2位との決選投票になるだろうという点です。2つ目は、その決選投票に進むためには議員票が分散するため、党員票がカギを握る、という点です。ですから、各陣営には、先に投票行動を決める、まずは党員の投票行動に響く戦略が問われることになります」