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基地反対派の勝利、政府判断への影響は

2010年1月24日 21:51
基地反対派の勝利、政府判断への影響は

 アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題を争点とした沖縄・名護市の市長選挙は24日に投開票が行われ、名護市辺野古への移設反対派の新人・稲嶺進氏(64)が、現職で2期目を目指した移設容認派の島袋吉和氏(63)との激しい選挙戦を制し、当選を確実にした。反対派の稲嶺氏の勝利は今後の政府の判断にどう影響するのか、政治部・中丸由子記者が解説する。

 普天間基地の移設に反対という民意が示されたことは、鳩山政権にとって、現行の辺野古移設案での決着が極めて難しくなったことを意味している。

 鳩山首相はこれまで「市長選の結果を見て方向性を見定めていくこともある」と述べるなど、今回の市長選で示される地元の民意を移設先選定の考慮に入れる考えを示していた。これに従えば、辺野古への移設は断念することになる。

 また、今回の結果を受け、連立を組む社民党は現行案や沖縄県内への移設に反対する姿勢を一層強めている。

 しかし、鳩山首相が明言している5月末の期限内に国内に新たな移設先を見つけ、地元やアメリカ政府の了解を取り付けることは、事実上、不可能とみられる。そのため、関係閣僚からも「現行案で決着させる以外はない」との声が出ている。

 一方、自民党・石破政調会長は「今回の結果で、現行案を直ちに選択肢から排除するのではなく、実現可能なものを早急に提示してアメリカや沖縄の人々に全力で理解を求めるべきである」と述べ、現行案での決着を求めた。

 鳩山政権としては、地元の民意が示されたことで、現行案にかじを切るきっかけを失ったとも言える。しかし、新しい移設先の選定には全くメドが立っておらず、普天間基地の移設問題は5月末の期限に向け、ますます混迷の度を深めることになる。