マイナンバー「総点検」…ミスは減る? “コロナ対策並み” 首相…選挙へのリスク敏感に?
有働由美子キャスター
「マイナンバーカードをめぐって、つい20日も大分・佐伯市で起きたミスが公表されました。夫婦で申請に行ったところ、後日、届いたマイナンバーカードを見たら、顔写真が夫婦で入れ替わっていたというのです」
「こうした中、21日、政府は河野デジタル相を司令塔に省庁横断型の『マイナンバー情報総点検本部』を新たに立ち上げました。具体的に、どのように総点検するんでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「まず、これまでのミスを見てみます。デジタル庁の最新のまとめによると、『マイナポイントを別人に付与』が172件、公金受取口座をめぐり『別人の口座を誤ってひも付け』などが748件、マイナ保険証では『入力ミスなどによる誤登録』が7372件確認されています」
有働キャスター
「つまり、ほとんどが人為的ミスだということですかね」
小栗解説委員
「はい。そのため、対策としては、ひも付け作業を行う自治体などが今の作業手順に問題がないか、改めて7月中に確認します。その際に、自治体との連絡調整役として総務省に職員を置き、トラブル情報を集約できる体制を整えるということです。必要であれば、ここで総点検を行い、ミスがみつかれば原則、秋までにデータの修正などを実施するとしています」
「岸田首相は、政府を挙げてコロナ対策並みの臨戦態勢をとり、1日も早く信頼回復するとしています」
有働キャスター
「これでうまくいくのかという点ですが…」
小栗解説委員
「野党議員などからは『総点検の間にも被害は拡大する。トラブルが起きている分野については、システムを一旦止めるべき』という声も上がっています。ただ、河野大臣の周辺は『アナログでのミスを原因に日本のデジタル化全体を遅らせるのはよくない』と話しています」
「また、与党・公明党の幹部は、『マイナンバーカードは高齢者など、制度からこぼれ落ちる人を拾い上げないといけない。そういう人たちをおろそかにすると、選挙でしっぺ返しが来る』と話していて、岸田首相としては、次の衆議院解散のタイミングを探る中、対応を誤れば選挙結果にも響くリスクがあるとして、今回、敏感に対応しているとみられています」
有働キャスター
「辻さんは、これについてどう思いますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「医療をはじめデジタル化が必要な領域はもちろんありますし、ミスがあったからといって、一気に全部中止にすべきとは思わないです。ただ、今の状況を見ると実質義務化にも近い保険証廃止の時期を先に決定したのは時期尚早だったのではないかと思います。すでに起こったトラブルへの対処と、原因の究明と対策をとにかくしっかりやって、発信してほしいです」
有働キャスター
「『0.006%』…デジタル庁が発表した5月22日までの保険証とマイナンバーカードのひも付けミスの確率です。これだけ見ると、『10万人に6人』ということになるわけですけど、この6人にとっては『大事な個人情報が見られたかも…』と非常に不安になります。もし、マイナンバーに対する不安があったら、『総合フリーダイヤル』などに相談してほしいとしています」
【マイナンバー総合フリーダイヤル】
0120-95-0178 (平日)午前9時半~午後8時、(土日祝)午前9時半~午後5時半
(6月21日放送『news zero』より)