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注目の政治塾、中央政界からは厳しい声も?

2012年2月14日 19:57
注目の政治塾、中央政界からは厳しい声も?

 国会が始まってから3週間が経過したものの、“消費税増税”をめぐる法案提出前の与野党協議はメドがたたないままです。そんな中、大阪市・橋下市長率いる維新の会の政治塾には、入塾申請が相次ぎました…中央政界は、この動きをどう見ているのでしょうか。

 自民党・山本一太参議院議員が13日の会見で、机の上に取り出したのは“こけし”。山本議員と言えば紙芝居会見でおなじみですが、こけしを使った人形劇もかつて見せてくれたことがありました。さて、今回はどんな展開に?山本議員は、「野田総理は頭の形がほとんどこけし…今のは失言でした、こけしとして作りやすい雰囲気だというのが作ってみてわかった」と、まずは冗談交じりに切り出します。ちなみに、山本議員の地元である群馬県こけし共同組合が作った野田首相のこけし。確かに似ているような…。さて、山本議員が続けて取り出したのは、“内閣支持率2割台”の意味を示すフリップボード。山本議員は、「野田内閣の支持率が2割台に突入しました。支持率2割台となるのは、総理の求心力がさらに低下することを意味する」と指摘。政権の維持に向け、厳しさが増していることを強調しました。

 そんな中、昨年の大阪ダブル選挙の勝利後も、何かと注目されているのが大阪市・橋下市長。橋下市長は13日、記者団の前で「うれしいですよ」「3300名もの方がちょっとやってやろうかという気になってくださっているのは。日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと思いましたね」と、なにやら上機嫌の様子。これ何のことかと言いますと、実は、大阪維新の会が来月開講する「維新政治塾」への応募者が、当初の予想よりもはるかに多い3326人となったことについてのコメントなのです。

 「維新政治塾」の応募者の中には、官僚経験者や大学教授以外にこんな人物も…民主党・高橋昭一衆議院議員です。高橋議員は、「政権交代前の熱気というものが、今は民主党にはなく、その思い自体は完全に維新にいっています」と期待を寄せる発言も。ただし、大阪維新の会は、現職の国会議員の入塾は認めない方針です。

 政治塾への関心が高まっているのは大阪だけではありません。名古屋市・河村たかし市長が2月24日に開催する予定の「プレ河村たかし政治塾」は、受け付け開始から一日あまりで定員の250名を突破。急きょ、3月に2回目の講義を行うことになりました。まさに、乱立の様相をみせる政治塾。さて、その「政治塾」とはいったいどんなところなのでしょうか?

 そもそも政治塾とは、政治家を目指す人や政策を学びたい人のための塾。中でも有名なのが松下電器産業(現在のパナソニック)の創業者である松下幸之助によって設立された「松下政経塾」です。今から27年前の1985年、一期生の卒業式の映像を検証してみると…最前列には、自民党・逢沢一郎議員が映っていました。そして、野田首相の姿も。松下政経塾は全寮制。寝食を共にしながら政策や指導者の資質などについて4年間の研修を行います。野田首相をはじめ、前原政調会長、玄葉外相など、77人(※2012年2月14日現在)の国会議員や地方議員などが誕生しています。

 これに対し、維新政治塾は3月から月に2回程度の授業を行うとのことですが、そのカリキュラムや講師など、具体的な中身は発表されていません。また、卒業しても選挙での推薦や公認などが約束されるわけではないといいます。自民党・石原幹事長からは「(応募者が)全員すばらしい人なら、すばらしいことなんだけど、どんな人が応募しているのかもわからない」「やっぱり数じゃなくて人だと思う」と、指摘する声も。

 そして13日、橋下市長は大阪維新の会の全体会議で、次期衆院選に向けたマニフェスト「船中八策」の骨格を明らかにしました。首相を国民投票で選ぶ公選制の導入や、参議院の廃止などが盛り込まれましたが、これらはいずれも憲法の改正が必要となります。これに対して、民主党・輿石幹事長は、「二院制は必要と考える。憲法改正が必要。そう簡単にいかない」と発言。公明党・山口代表からも「制度として首相公選制、参院の廃止というなら憲法改正せよという主張と同義」「いさかか性急な印象を受ける」と、大阪維新の会をけん制する声も聞かれました。

 その政策の実現には高いハードルがあるにもかかわらず注目される大阪維新の会。今後の中央政界にとって、無視できない存在であることだけは間違いないようです。