NHK「過剰演出だった」総務省が行政指導
NHKの報道番組で「やらせ」があったと指摘された問題で、NHKは「やらせではなく、過剰な演出だった」などとする最終報告と関係者の処分を発表した。
調査委員会のトップ・NHK堂元副会長は会見で、「視聴者の期待に反する取材・制作が行われた」として、視聴者に対し謝罪した。最終報告では、番組でブローカーと紹介した男性について、「ブローカーと断定するだけの裏付けはなく、断定的に伝えたことは不適切だった」とした。
また、記者の知り合いだった多重債務者に、初対面であるかのようにマイクを向ける場面は、「決定的なシーンを撮ったように印象づけることを優先し、過剰な演出を行った」などと指摘しつつも、事実のねつ造につながるいわゆる「やらせ」はなかったとした。
NHKは取材記者を停職3か月、報道局長ら14人をけん責または減給とした。籾井会長ら4人は役員報酬を自主的に返納する。
最終報告について、ブローカーと報じられた男性はNNNの取材に対し、「形だけの調査であり、非常に残念です」とコメントしている。
NHKは、クローズアップ現代の放送予定を変更し、最終報告について報じた。番組キャスターは、「22年間、番組を支えた視聴者の信頼を損ねてしまった。これからの一本一本の番組を真摯(しんし)な姿勢で制作し続けていくしかない」と、番組を続ける方針を示した。
総務省は28日夜、高市総務相の名前でNHKを厳重注意する行政指導を行った。NHK側は、趣旨がわからないとして約5時間半にわたり文書の受け取りを拒否したものの、結局、受け取った。
NHKの番組に対する行政指導は22年ぶりのこと。