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首相訪米「慰安婦問題」 政治部長が解説

2015年5月3日 21:40

 安倍首相は、先月26日から1週間の日程でアメリカを公式訪問した。アメリカ議会で行った演説の内容について、政治部・伊佐治健部長が解説する。

 安倍首相は、ワシントンでオバマ大統領とともにリンカーン元大統領の記念碑を見学したほか、ボストンではハーバード大学で研究者らと意見交換を行った。サンフランシスコのシリコンバレーでは、テスラ・モーターズやフェイスブックといった最先端企業を視察した。

 ハイライトはアメリカ議会で行った演説。注目された歴史認識について、安倍首相は「戦後の日本は、先の大戦に対する“痛切な反省”を胸に歩みを刻んだ」と述べた。

 Q:「痛切な反省」。その言葉から読み取れる安倍首相の思惑とは?

 A:今回、安倍首相は演説にかなり力をいれていたようだ。アメリカの新聞に載った写真には、手元に用意した原稿に「顔上げ拍手促す」といった文字があった。また、「拍手を促す。収まるのを待つ」との細かい指示もあり、周到な準備が伺えた。毎晩寝る前まで練習するので昭恵夫人がうんざりして寝室を別にしてしまったと、安倍首相がスピーチのネタにもしていた。

 Q:演説の一番のポイントは?

 A:一番重要なテーマは「世界」に貢献する日米同盟だったが、やはり歴史認識に関心が集まった。20年前の村山談話と同じ「痛切な反省」を示したが、「侵略」「おわび」の言葉はなかった。

 一方で、「安倍オリジナル」の表現にこだわった。日本がアジア諸国民に苦しみを与えた事実から「目を背けてはならない」との表現。過去の首相談話では「謙虚に受け止める」あるいは「直視する」だった。歴史修正主義者のレッテルをはね返したいとの思いもにじむ。

 ■慰安婦問題について

 いわゆる従軍慰安婦演説には触れなかったが、代わりに「紛争下の女性の人権」に触れた。実は今年初め、演説に関わる政府幹部が「慰安婦問題に直接触れなくても、韓国が文句を言いにくい中身を」と意気込んでいた。慰安婦問題で日本政府は国際社会の温度に鈍感とも言われてきたので、高みから発信した形を今回は意識した。韓国は納得していない。

 ■戦後70年談話について

 戦後70年談話は、今回の演説がベースになるといわれている。「侵略」や「おわび」の言葉は使わない姿勢がはっきりしてきた。反発は避けられないが、中国は今回、直接の批判は避けた。日米同盟の結束を見せつけたことで、圧力、抑止力が働いたとの見方もある。

 歴史認識も外交戦、外交ゲームの激しい駆け引きの中にある。

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