“衆院解散”に前向き? 首相「情勢をよく見極めたい」発言に……政府関係者「結構言ったな」、自民幹部「明らかに前のめり」
岸田首相は13日の会見で、少子化対策の財源について「追加の国民負担は実質ゼロ」と理解を求めましたが、新たな負担を持ち出せない背景には、衆院の解散総選挙がありそうです。その可能性について前向きな姿勢を見せた首相。どう受け止めるべきでしょうか?
有働由美子キャスター
「(岸田首相の会見で)少子化を反転できるかのラストチャンス、『これをやる!』というのは分かりました。一番聞きたかったのは、『財源はどこに?』ということです」
「首相が13日に言ったのは『徹底した歳出改革などで確保します』『国民に実質的な追加負担を求めません』ということです。追加の国民負担が実質ゼロと言われると、『実質』はつまりゼロなのか、ゼロでないのか…」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「なぜ『実質ゼロ』と言うのか、よく分かりません。改革します、軽減します、といった言葉は並んでいますが、具体的ではないからです」
「(少子化対策を)どう進めるのか。少なくとも消費税などの増税はしない。検討しているのは少子化対策の『支援金』を集めることです」
「これは社会保険料の上乗せで集めることを想定しているので、ここではお金を負担することになります。ただ一方で社会保障費として出ていくお金を改革して、国民の負担を減らすということです。だから実質ゼロに、という考え方のようです」
有働キャスター
「『少子化対策のために国民の皆さんに新たに負担を』と、はっきりとは言えないということですね?」
小野委員
「首相の胸の内としては、衆院の解散総選挙があり、選挙を考えたら国民負担は今持ち出せない、ということなのではないでしょうか」
有働キャスター
「その解散総選挙について岸田首相(の発言)は(以前の)『現時点では考えていない』から、(13日の会見で)『情勢をよく見極めたい』に変わりました。どう受け止めればいいのでしょうか?」
小野委員
「(首相の発言について)記者も『おっ!』と思って聞くと、政府関係者は『結構言ったな、言いぶりが変わったな、という印象を受けた』と話しました。自民党幹部は『明らかに前のめりになっているように見える』と語りました」
「ただ、首相が前向きな姿勢を見せているのは、内閣不信任案を検討している野党をけん制する狙いもありそうです」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「歳出改革で1兆円ほどは減らせるかなと思いますが、足りない分は国債で解決する方法もあるかなと思いますね」
「なぜなら、未来の国民を増やすことによって未来の問題を解決しようというのが基本的な考え方だとするならば、未来からお金を調達するのはそれほど悪くないかなと思います」
「そもそも、子育て支援に国がお金を出すということは、その業界や従事する人たちに対しての経済政策としての意味合いも強いと思うので、純粋な出費として捉えるのも少し違うと僕は思います」
有働キャスター
「それで少子化は実際に改善できるのでしょうか?」
落合さん
「ナイストライというか、この場合はやってみないと分からないですね」
有働キャスター
「岸田首相は『負担は増やさない』『歳出改革で』と言っていますが、それは結果的にどこかを削るということになります。そこを具体的に示さないまま、もし選挙で信を問うと言われても、『何をどう判断すれば?』となってしまいます」
(6月13日『news zero』より)