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「自公関係、演説のポイント」政治部長解説

2017年1月20日 17:34
「自公関係、演説のポイント」政治部長解説

 第193通常国会が20日、召集され、安倍首相は施政方針演説を行った。今国会の注目点や、施政方針演説のポイントを政治部・伊佐治健部長が解説する。


【自民党と公明党の関係】

 この国会で注目されるのが、与党・自民党と公明党の関係だ。キッカケは、去年成立した「カジノ解禁法」。慎重姿勢の公明党を押し切る形で政府・自民党が成立を急ぐため、臨時国会の会期を延長。

 これらの対応について、公明党幹部からは「禍根が残った」と批判の声が出るなど自公の足並みが乱れた。

 また、東京都議会では先月、公明党が自民党との協力関係の解消を宣言。夏の都議会議員選挙をにらみ、都議会自民党と全面対決が予想される小池都知事に協力する可能性もささやかれている。


――自民・公明両党の緊張関係は今国会でも続くのか。

 安倍首相は演説で、公明党が自民党とギクシャクした『カジノ解禁法案』については全く触れなかった。これは配慮したとも考えられる。


【今年の演説の特徴】

 「外交」を前面に立てた。中国、ロシア、アメリカといずれも手ごわい大国と向き合っていかなければならない。特にトランプ次期大統領に対しては、間もなく就任とあって安倍首相の意気込みもひとしおだった。トランプ氏とどう向き合っていくかが、今年最大のテーマと言ってもいいだろう。

 安倍首相は去年、アメリカ大統領選後に、各国の首脳に先駆けてトランプ氏と会った。そのかいあってか、トランプ氏の日本批判がその後、減ったとの評価もある。

 一方で今後の行動が読めないトランプ氏を「信頼出来る指導者」と一気に持ち上げたのは、身内の自民党内にも「もっと客観的に言うべきだった」との声もくすぶっている。

 トランプ氏の言動には国際社会の批判があり、特に外国人嫌悪、人種差別など人権面で批判を受けている。

 安倍首相は演説で、「自由、民主主義、人権、法の支配、基本的価値を共有する国々と連携する」と述べているが、「オバマ大統領のアメリカ」とは、これまで真珠湾や広島で確認してきた。

 今後、「トランプ氏のアメリカ」とも、お互い民主主義社会をリードする国として価値観をちゃんと共有できるかが問われる。

 安倍首相に近いある政党幹部は「結局は日本は誰であれ、アメリカ大統領についていくしかないんだろうか」と、ため息混じりに語った。

 安倍首相としては、日米同盟を良好にしていくのは当然のことと割り切る気配だが、言うべき事はちゃんと言えるか、安倍外交の真価が問われる。