【全文】マスクの着用「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねる」官房長官会見(3/13午前)
松野官房長官は、13日午前、マスクの着用が個人の判断にゆだねられることになったことについて「個人の主体的な選択を尊重する」と述べました。
<会見トピックス>
▽北朝鮮情勢
▽マスクの着脱
▽アメリカのシリコンバレー銀行の破綻
▽中国指導部の新体制
▽中東情勢
▽国産の量子コンピュータ初号機
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――北朝鮮情勢について。北朝鮮の労働新聞は日本海で戦略巡航ミサイルを潜水艦から発射する訓練が行われ、1500キロ飛翔したと伝えた。見解を聞く。また米韓合同軍事演習が今日から始まるが、訓練に関する日本の立場と、北朝鮮が挑発に出る可能性についての認識、今後の対応を聞く。
○松野官房長官
北朝鮮の軍事動向については、政府として、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めていますが、事柄の性質上、個々の具体的な情報の内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。現時点において、我が国の排他的経済水域や領域への飛来は確認されておらず、また関係機関からの被害報告等の情報は確認されていません。その上で北朝鮮の発表によると、当該ミサイルは射程が1500キロメートルにも及ぶと承知しており、これが事実であるとすれば、地域の平和及び安全を脅かすものであり、我が国としても懸念を有しているところであります。また米国及び韓国は本日から合同軍事演習を実施していると承知しています。在韓米軍を含むアジア太平洋地域の米軍の抑止力は、地域の平和と安定に不可欠なものであり、また米韓の連携向上は、地域の平和と安定を確保していく上で重要であると認識しています。政府としては北朝鮮が今後、核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性はあるものと考えていますが、今般の米韓合同軍事演習の影響について予断を持ってお答えすることは差し控えます。引き続き米国、韓国とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析を行うとともに警戒監視に全力をあげていく考えであります。
――マスクの着脱についてうかがう。新型コロナウイルス感染対策のマスク着脱について、個人の判断に委ねるとの政府の新方針は本日から適用されます。業種によっては事業者が客や従業員に引き続き着用を求めるケースも想定されますが、マスク着脱を巡る混乱やトラブルを生じさせないための周知や広報のあり方について伺います。
○松野官房長官
本日以降のマスクの取り扱いについては、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねることを基本としています。その上で、政府は個人の判断に資するよう、感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面などを示しており、具体的には医療機関を受診するとき、高齢者と重症化リスクが高い方が多く入院、生活する医療機関や高齢者施設等を訪問するとき、通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗車するときにはマスクの着用を推奨しています。また事業活動におけるマスク着用の取り扱いについては、利用者とのトラブルや現場での混乱が生じる懸念があり、丁寧な対応が求められていることから、各業界団体において業種別ガイドラインを見直し、現場や利用者への周知を進めていただいているところであります。こうした見直しの趣旨や、マスクの着用をお願いする場合については、国民の皆様に不安や混乱が生じないよう、丁寧に周知を行っていく方針であります。既にわかりやすいリーフレットやウェブサイト、SNSを通じて広報を行っていますが、今後、テレビCM等も活用し、自治体や事業者とも連携しつつ、周知に努めてまいりたいと考えております。
――アメリカのシリコンバレー銀行が10日に破綻しました。銀行破綻としては全米史上2番目の規模とのことです。アメリカや欧州などで特にスタートアップ企業への悪影響の懸念が高まっておりますが、日本への影響をどう見ているか。
○松野官房長官
先週10日、米国当局がシリコンバレーバンクの経営破綻について公表したことは承知しています。現在日本の金融機関については、総じて充実した流動性と資本基盤を維持しており、現時点で今回の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は高くないと考えています。いずれにせよ、政府としては今後の国内外の経済金融市場の動向やそれが日本の金融機関に与える影響等について注視してまいりたいと考えております。
――中国指導部の新体制について伺います。本日閉幕する全人代では、習近平国家主席が再選され、新首相に選出された李強氏や、筆頭副首相に丁薛祥氏ら、国家の要職を自身の側近で固めた新たな体制がスタートします。習氏への権力集中が一層鮮明になった形ですが、受け止めと、新指導部とどう対峙していくか、今後の外交方針を伺います。
○松野官房長官
第14期全国人民代表大会において、習近平総書記が国家主席として選出され、李強国務院総理等が新たに選出されたものと承知しています。中国との間には、様々な可能性とともに数多くの課題や懸案が存在しています。同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。中国とは昨年11月の日中首脳会談で得られた、前向きなモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め、首脳間をはじめとする対応をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していく考えであります。
――中東情勢について伺う。サウジアラビアとイランが10日2016年以来の外交関係正常化で合意しました。中東情勢の緊張緩和につながるか注目されているが、政府の受け止めを。また、今回の正常化についてアメリカは直接関与せず、中国が仲介役を務めたことで、アメリカの退潮と中国の台頭が浮き彫りになったとの指摘があるが政府の見解を。
○松野官房長官
3月10日イランとサウジアラビアが今後2か月以内に外交関係を再開し、大使館及び代表部を再開することで合意したと承知しています。第3国間のやりとりであり、詳細にコメントすることは控えますが、両国が関係正常化に合意したことは、中東地域の平和と安定化に向けた前向きな動きとして歓迎します。また今般発表された両国の外交関係正常化に向けては、あらゆる外交努力が行われてきており、こうした国際社会の外交努力の積み重ねの結果、合意が実現したことを評価します。日本としても、中東地域諸国との長年の友好関係を生かし、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて積極的な外交努力を行ってきたところであります。今後もこうした取り組みを継続していくとともに、両国間の関係正常化に向けた今後の具体的な動きを注視していきます。
――松野官房長官が議長を務めていらっしゃる統合イノベーション戦略推進会議で方針を示していました国産の量子コンピュータ初号機が理科学研究所によって3月27日に稼働される予定です。改めてこの意義と、期待される効果についてお願いします。
○松野官房長官
昨年4月の統合イノベーション戦略推進会議で策定した量子未来社会ビジョンにおいて、今年度中に、国産量子コンピュータの初号機を整備することとしています。これに基づき、文部科学省の事業において、理科学研究所が初号機の開発を進め、本年3月末に整備、公開する予定であります。国産機は産学官において幅広く活用されることが期待され、将来の実用化に向けた大きな一歩となると考えています。なお、具体的な日程は調整中と聞いており、詳細については文部科学省にお尋ねをいただきたいと思います。