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【籠池氏証人喚問】政治部長が発言検証

2017年3月23日 19:31
【籠池氏証人喚問】政治部長が発言検証

 国会で23日、大阪の学校法人・森友学園の籠池泰典理事長の証人喚問が行われた。籠池氏の証言を、日本テレビ政治部・伊佐治健部長が検証する。


――安倍首相が昭恵夫人を通して100万円寄付したかどうか、この点について首相側と籠池氏の証言は食い違っている

 籠池氏は「大変名誉な話なので、鮮明に覚えている」と話した。とはいえ、これまで以上に特別具体的なものはない。水掛け論に終わる印象だ。

 安倍首相としては「証人喚問をやっても何も出てこなかったという結論にできれば、一連の問題に一区切りつけられる。これで幕引きできるのでは」という安堵(あんど)のムードもあった。


■籠池氏の依頼、返答のFAX

 ところが、昭恵夫人をめぐって籠池氏が新たな内容を証言した。小学校の国有地の買い上げの条件について、「10年の定期借地契約を長くできないか」と昭恵夫人の携帯の留守番電話に依頼を残したという。

 すると、昭恵夫人担当の政府職員から「財務省本省に問い合わせ回答を得た」「大変恐縮ながら現状では希望に沿うことはできない。本件については昭恵夫人にも報告している」というFAXが届いたという。籠池氏は「この政府職員から財務省の方に多少の働きをかけていただいた」と述べている。


――このFAXはどう見ればいいのか

 このFAXに対し、菅官房長官は23日午後の会見で、「昭恵夫人担当の政府職員に対して送られた手紙に対する回答である」、つまり、「昭恵夫人個人が関わっているものではない」という説明をしている。

 ただ、野党側はこの部分に特に注目している。財務省側と結んでいた国有地の定期借地契約をめぐる部分の内容なので、「土地取引にも絡んでくる部分なのでは」としている。

 これが政府職員個人の判断だったとしても、財務省や国土交通省にも問い合わせをしていたということなら、「これは昭恵夫人が関わっていたということになるのではないか」という主張だ。

 安倍首相はこれまで、「私も妻も不当な働きかけ、売却、認可には一切関わってない」と答弁している。野党側は「この答弁と矛盾するのでは」と追及する構えだ。


――国有地の8億円減額については、籠池氏自身も「ちょっとびっくりした」と話していた

 今回の核心である「8億円減額」について、籠池氏は「弁護士に任せていた部分で、そのプロセスをあまり知らない」という立場を取っている。

 一方で金額が引き下げられた背景について、「その都度その都度の場所で、政治的な関与があったのではないか」と話している。ただ、何を根拠にそう話しているのかは、はっきりしない。


――籠池氏は、証言の中で政治家の名前を何人か挙げた

 籠池氏は小学校建設について相談した政治家として、自民党の鴻池祥肇元防災相のほか、自民党の柳本卓治参院議員、北川イッセイ前参院議員、日本維新の会の東徹参院議員の名前を挙げた。東議員とは昵懇(じっこん)の仲だという。

 ただ、東議員はこれを受けて会見し、「自分は不当な働きかけや、金銭の授受は一切ない」と発言している。


――3通の金額の違う契約書ついて

 籠池理事長は、工事契約書が3種類作成されたことなどについて、「不行き届きで反省すべきだ」と陳謝している。しかし、学校認可に関連した虚偽報告の疑いについて、「それ以上の内容になると刑事訴追の可能性がある」として証言を避けた。


――今後はどんなことが焦点になっていくか

 8億円減額の経緯については、籠池氏が「知らない」との立場なので、関係者である財務省の幹部らの話を聞く必要があり、当時の近畿財務局長らを参考人として24日に国会に呼ぶことになった。

 そして、昭恵夫人の関与が大きな焦点となってきた。野党側からは「本人の証人喚問を求めるべき」との声もある。

 籠池氏の言葉には勘違いや揺れがあるが、徹底解明を求める声は強まりそうな気配だ。