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日中韓会談“非核化具体策”触れず…背景は

2018年5月10日 1:10

北朝鮮情勢が大きく動く中、日中韓3か国首脳会談が約2年半ぶりに開かれた。3首脳は北朝鮮の完全な非核化に向けて連携していくことで一致したが、共同記者会見では、3か国ともに非核化の具体策に触れることはなかった。その背景には何があるのか、政治部の佐藤正樹記者が解説。

■共同記者会見で非核化の具体策に触れず…背景は?

外務省の関係者は、「非核化の具体策は、米朝首脳会談でしか話すことができない」と話している。

そもそも北朝鮮の最終目標は、アメリカと交渉して国の体制を保証してもらうことなので、北朝鮮はアメリカ以外とは非核化の話をする気はないということだ。

ある外務省幹部は、「日中韓サミットは3か国で話し合いをすること自体に意味がある」と話していて、非核化の具体的な方法を話すよりも、長く中断していた3か国の会談を再開させたことに意味を感じているようだ。

■「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」という言葉が記者会見で触れられなかったことについて、日本政府内の受け止めは?

政権幹部は、同じ趣旨の言葉が盛り込まれた「安保理制裁決議を各国が守るという内容で一致しているのだから、実質的には同じだ」と話している。

しかし一方で、別の外務省幹部は「すべてが日本の思い通りにいくわけではない」と話していて、日本が目指したとおりの結果にはならなかったこともうかがえる。

■日中韓首脳会談の共同文書は?

共同文書については、9日午後10時現在ではまだ3か国の調整が続いているが、入ってきている情報では、焦点だった北朝鮮の非核化を巡っては「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」という言葉は盛り込まれず、「完全な非核化」という表現や「国連決議を履行する」という表現に落ち着くようだ。

この理由は、言葉にこだわって合意文書の作成に支障が出るよりも、各国が納得できる表現で北朝鮮に一致したメッセージを出すことを重視したという理由のようだ。

■拉致問題について今回の会談ではどのような話があったか

拉致問題について安倍首相は、「両首脳に支援と協力を呼びかけ、日本の立場に理解を得た」と述べた。その上で安倍首相は、「北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す」という認識を示した。

今の融和ムードが拉致問題の解決に結びつくのか引き続き大きな焦点となる。