“忖度道路”面会メモに「総理、副総理」
安倍首相と麻生副総理の地元を結ぶ道路の整備計画をめぐって辞任した副大臣が「忖度(そんたく)した」と発言した問題が波紋を広げている。
副大臣と自民党幹部が去年、面会した際のメモが明らかになり、そこには「総理、副総理」の言葉が書かれていた。
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9日の国会で野党側が新たに取り上げたのは、政府が提出したメール。
立憲民主党・初鹿明博議員「忖度してくれということを暗ににおわせて発言している。(安倍首相らへの忖度を求める)趣旨の発言はございませんでしたじゃなく、趣旨の発言はあったんですよ」
メールのタイトルには「下関北九州道路」、安倍首相と麻生副総理の地元を結ぶ道路整備計画を話し合った面会の記録だ。
出席したのは、この道路の整備を求める議員連盟会長の吉田参議院幹事長、そして道路を所管する国土交通省の副大臣だった塚田議員。
そのやりとりは…
吉田参議院幹事長「総理、副総理の地元とは関係なく、中国・九州の経済や後世のためオールジャパンで必要な道路。はやく国で引き取って施工に向けて進めてほしい」
塚田副大臣「前向きに検討していきたい」
「マスコミ退席」とされた後、吉田氏は…
吉田参議院幹事長「総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう。与党、公明党、野党で協力して進めていく」
「関係ない」としつつも面会記録の中で繰り返される「総理」という言葉。そこに込められた意味はあるのか。
その後、塚田氏は…
塚田副大臣(4月1日の発言)「吉田さんが私の顔を見て、塚田、わかっているな。これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよと。俺が何で来たと思うかって言うんですね。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度します」
安倍首相らに忖度して事業を動かしたと発言。その後、塚田氏は発言は事実と異なるとして撤回し、副大臣を辞任した。
しかし、野党は9日、面会のおよそ2か月前、安倍首相と吉田氏が会談していた、と指摘した。
野党が見つけたのは同席した議員のホームページでの発信。同席議員によるとこの時、安倍首相は道路についてこう話したという。
「早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように」
安倍首相と吉田氏、そして吉田氏と塚田氏の面会を経て、事業は動き出したのか。
9日、野党側は首相の指示があったのではと追及した。
立憲民主党・初鹿明博議員「この下関北九州道路は、総理案件、安倍案件になったんじゃないですか。任命権者である総理からの要望、これは私からすると指示に当たるんじゃないかと思いますが」
石井国交相「総理からの指示があったとは、まったく思っておりません」
一方、吉田氏は首相、副総理を挙げた自らの発言の意図について「候補地における誤解を生まぬようにという考えを表したものに過ぎません」と忖度を否定した。
一体、真実はどこにあるのか。野党側は「新たな総理案件」としてさらに追及する構え。