吉村山形県知事の任期満了まで半年 次期知事選出馬は「既定路線」との見方 自民は「不戦敗」ムードも
吉村美栄子山形県知事の任期満了まで13日であと半年となりました。注目される次期知事選挙への対応について、吉村知事は現在も態度を明らかにしていません。選挙への出馬は「既定路線」との見方が広がる一方で、自民党県連の対抗馬擁立は難航していて、自民党の「不戦敗」ムードも漂い始めています。
8日に開かれた定例の記者会見。記者から次期知事選に向けた考えを問われた吉村知事は。
吉村知事「この度の豪雨災害が発生してからは全容把握と復旧復興に当面私は全力をかけていかなくてはならないと思っている。自分のことは今ちょっと考えている暇がない状況」
現在4期目の吉村知事。7月下旬に庄内・最上地方を中心に発生した記録的大雨の被害把握や復旧を優先させたいとして、次期知事選への対応については明らかにしませんでした。
次期知事選を巡っては、4年前の前回知事選で大敗した自民党県連の対抗馬擁立作業は難航しています。候補者の選定では、これまで複数人に声をかけ、現在も検討を続けている人が1人いるものの、知事選まで半年を切った現在でも、出馬の意向を示す人がいない状況です。
背景には、吉村知事への支持の厚さに加え、派閥の裏金問題などによる自民党への強い「逆風」があるとされています。
自民党県連・遠藤利明会長「知事の支援組織、支援の皆さんが大変強いという話もあって、簡単に「私やります」という方がなかなか出てこない」
こうした中、県政の課題をめぐり、吉村知事と自民党県連が接近する動きも見られています。
7月の自民党県連大会では、吉村知事が山形新幹線の福島県境での新たなトンネルの整備について、遠藤利明県連会長に協力を呼び掛けました。
吉村知事「遠藤先生が大変熱心に活動してくださっているので私も心強く思っている。遠藤先生とタッグを組んで新しいトンネルが実現することを全力で進めていきたい。遠藤先生、この場をお借りして、どうかどうか引き続きよろしくお願いいたします」
そうした中で発生した今回の記録的な大雨の被害。
吉村知事は6日、大雨被害の復旧に向け、国からの支援などを求める緊急の要望書を岸田総理に手渡しました。知事のそばには自民党の県選出衆議院議員の姿が。知事選を控える一方で、甚大な被害への対応について党派を超えて連携して取り組む姿勢が垣間見えました。
吉村知事「様々な支援をいただけるということなので、本当に力強く思った。政府の力添えをいただきながらしっかり取り組んでいきたい」
自民党県連の幹部の1人は、知事選を巡る現在の状況について「対抗馬擁立に向けた作業は続けているが、大雨への対応を優先している」と話しています。また、別の自民党関係者からは「9月の総裁選で状況が上向けばいいが、今の自民党からは出馬したくないという声も聞かれている」と「逆風」の厳しさによる「不戦敗」ムードも漂っています。
一方、吉村知事の選挙への対応について、知事周辺は「知事から出馬するかどうかは聞いていない」としていますが、支援者らが公約づくりに向けた準備など出馬に向けた動きを進めているということです。周辺では、知事の5期目に向けた出馬は「既定路線」という見方が広がっています。
今回の記録的な大雨への対応で自民党県連の次期知事選へ向けた動きも一時的にストップせざるを得ない状況です。選挙まで半年を切る中、吉村知事、自民党県連それぞれの対応、決断が注目されます。