【ひと目で分かる政策比較】自民党総裁選の争点「防衛増税」 各候補の主張は?
自民党の総裁選は投開票まであと8日です。「news every.」では「ひと目で分かる政策比較」と題して、各候補の主張を整理してお伝えしています。19日は、日本を守る防衛力を強化するため岸田政権で決まった「防衛増税」についてです。
「防衛増税」とは、防衛力強化に必要な財源を確保するため、法人税・所得税・たばこ税を増税する方針です。これにより2027年度までに1兆円を超える財源を確保しようというものです。2年前に方針を決めたものの増税の開始時期が先送りされていて、早くても2025年度から開始となる見通しです。
この「防衛増税」について、賛成か反対か「ひと目で分かる政策比較」。日本テレビ政治部・与党担当の西山直輝記者が解説します。
日本テレビ政治部 与党担当・西山直輝記者
「防衛増税には反対、つまり増税は必要ないとの考えを明確に示したのは、茂木幹事長と高市経済安保相です。争点化のきっかけを作ったのは、茂木氏でした。茂木氏は総裁選の公約に突如『増税ゼロ』政策を掲げました。その柱の1つが岸田政権で決めた『防衛増税』をやめるというものでした」
鈴江奈々キャスター
「茂木氏は、岸田政権で幹事長として防衛増税を決めた側でもありました。急に方針転換したようにも思えるのですが?」
西山記者
「茂木氏はその理由について『防衛増税を決めた時よりも経済がよくなっている』『経済成長で税収が増えれば増税は必要ない』と主張しています。ただ、党内からは『自身も決定に関わった方針を、ちゃぶ台返しするのはおかしい』といった批判が出ています」
「また、高市氏も反対です。『経済をよくするのが大前提』『今は増税については反対だ』と明言しています。高市氏も閣僚なので、茂木氏と同じく整合性が問われています」
森圭介キャスター
「では賛成の候補者は、どういった意見なんでしょうか?」
西山記者
「林官房長官、加藤元官房長官、小泉元環境相、上川外相、河野デジタル相の5人は賛成です。主な理由は、岸田政権での決定は重いという考え方です。その中でも林氏、加藤氏は『経済成長による税収アップ』をあてにしている茂木氏を批判しています。林氏は『景気が悪くなると防衛費の財源がなくなるのか』、加藤氏は『税収のプラス分だけをみた議論には慎重であるべき』と言っています」
「河野氏は『決めた通りにやらせてもらう』『何にどう使うかの説明が重要だ』と主張しています。上川氏は『党内で議論を重ねて決着した。それを守るのが責任』、小泉氏は『岸田政権が相当な政治エネルギーを費やした。決定は引き継ぐ』としています」
「この5人と比較して、増税には基本賛成な中、慎重な面もあるのが小林前経済安保相、石破元幹事長です」
「小林氏は増税自体は賛成とする一方、開始時期は慎重に判断すべきという立場です。決定は『重いもの』としつつ、開始時期については『今後の経済情勢をみて判断するのがいい』と言っています」
「また、石破氏も増税自体は賛成とする一方、『立派な船や飛行機、車両を買っても、乗る人がいなければどうするのか』と言っています。つまり、防衛費の増額自体はいいが、使い道について武器購入などだけでなく、自衛官の育成などにも使うべきでは、という主張です」
「この防衛増税は、スタートすればその財源はわたしたちも負担することになります。なぜ必要なのか、そして、増税するならいつが適切なのか。痛みを伴う議論だからこそ、それぞれ候補者が逃げずに議論をしてもらいたいと思います」