【全文】2030年冬季五輪の開催地決定の先送り「動き見守る」 官房長官会見(12/7午後)
松野官房長官は、7日午後の会見で、IOCが開催地を正式決定する時期を2024年以降とすると発表したことを受け「政府としては引き続き、JOCと札幌市の動きを見守っていきたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽“統一教会”被害者救済法案の修正案
▽札幌五輪誘致
▽春闘
▽電気料金値上げ申請
▽防衛費43兆円の中身
▽北海道新幹線延伸
会見の概要は以下の通りです。
〇松野官房長官
冒頭発言はございません。
――救済法案について伺います。旧統一教会問題を巡る被害者救済法案に関し、立憲の安住国対委員長は自民との間で合意した配慮義務規定を十分な配慮とより強い表現に改める修正案を評価した上で、残された会期内で参院で与野党合意して日程を決めてほしいとして、会期内に成立させる意向を示しました。この間の与野党協議を経て、会期内成立の見通しとなったことの受け止めと修正案の実効性についてご所見を伺います。
〇松野官房長官
これまでも申し上げている通り、国会の運営に関することについて政府としてお答えする立場にはありません。その上で、ご指摘の新法案は、現在の我が国の法体系の中で許される限り最大限実効的な法案とすべく禁止行為、取消権、配慮義務、行政措置や刑事罰など様々な規定を組み合わせて立法作業を行った上で提出しており、実効的なものとなったと考えています。さらなる実効性向上に関し、与野党で様々なご意見があると承知していますが、政府としてはそうしたご意見も伺いつつ、引き続き、本法案の早期成立を図ってまいりたいと考えています。
――札幌市が招致を決める2030年冬季五輪について伺います。IOCはスイス・ローザンヌで開いた理事会で、2030年冬季五輪の開催地決定を来年秋の総会から先送りとすることを決めました。2030年34年大会の開催地同時決定の可能性もあり、戦略の練り直しを求められますが、政府として札幌市の五輪招致にどう協力する考えか伺います。
〇松野官房長官
札幌市とJOCが招致を目指している2030年冬季五輪・パラリンピックに関し、IOCが開催地を正式決定する時期を2024年以降とすると発表したことは承知しています。2030年の冬季大会の招致については現在、招致活動の主体である札幌市とJOCが共同して、IOCと継続的な対話を行っている段階であり、政府としては引き続き、JOCと札幌市の動きを見守っていきたいと考えております。
――来年の春闘について伺います。今日、金属労協が前年の2倍の引き上げを求める方針を決めるなど、労働組合側が高い水準の賃上げを求める動きが広がっています。政府は構造的な賃上げを掲げていますが、こうした動きについての見解と来年の春闘に期待することを伺います。
〇松野官房長官
現在、消費者物価の上昇により実質賃金の低下が続いており、また価格転嫁が十分にできない中小企業も厳しい状況に置かれています。このため官民が連携して現下の物価上昇に見合う賃上げに取り組むとともに、リスキリングや労働移動の円滑化を通じて高い賃金を提供できる企業が高いスキルの人材を惹き付けて生産性を向上させて、さらなる賃上げを生むという好循環により経済そのものを成長させていく必要があります。政府としては短期的には来春の賃金交渉に向けて物価上昇を特に重視すべき要素として掲げ、これに負けない対応を労使の皆様にお願いするとともに、その取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。また具体的な賃上げ率については、賃上げ自体は各企業の支払能力を踏まえながら個別に労使が交渉し、合意した上で決定されるべきものでありますので、そうした中での最大限の賃上げを期待したいと考えてます。
――電力料金について伺います。経産省の電力・ガス取引監視等委員会は本日から大手電力会社から申請のあった来年4月からの電気料金の値上げについて審査をスタートさせます。既に北陸電力や沖縄電力など5社が値上げを申請する他、東京電力も申請を検討しています。電力各社の値上げ申請への受け止めをお願いします。
また政府は総合経済対策で、高騰対策を打ち出していますが、今後さらなる対策などを検討する可能性はあるのでしょうか?
〇松野官房長官
ウクライナ情勢等に伴う燃料価格の高騰により、大手電力会社の経営状況が厳しくなったことから、大手電力5社が規制料金の値上げを申請し、本日から経済産業省の公開の審議会で審査が開始されると承知をしています。
審査の詳細については、経済産業省にお尋ねをいただきたいと思いますが、値上げの主要な要因である燃料調達の費用見込みなどは、厳格に審査されるときいています。最終的な値上げ幅は、今後の審査によって確定しますが、まずは先週成立した補正予算において措置した電気料金の負担軽減策について、1月使用分から支援を開始できるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
――防衛費の関係で伺います。来年度から5年間の防衛費として43兆円という方向性が示された。総理はこれまで必要なものを積み上げていくというふうに説明されていたが、どういった項目に、どれぐらいの費用が必要で、43兆円という結論になったのか。その内訳があれば教えてください。
〇松野官房長官
12月5日に総理から防衛大臣と財務大臣に対し、調整中の次期5年間の中期防の規模については、抜本的強化を進めるための必要な内容をしっかり確保するため、与党とも協議しつつ、積み上げで約43兆円とすること等の指示がありました。
これは防衛省において、防衛力の抜本的強化のため、スタンドオフ防衛能力等のいわゆる7本柱の分野を重視して、必要な内容の積み上げを行っており、こうした積み上げを踏まえて、約43兆円とする方針を示されたものであります。
引き続き、内容、規模、財源について、年末に一体的に決定すべく、与党とも十分連携しながら、調整を図っていきます。
――北海道新幹線の札幌延伸について伺います。国交省の有識者会議が、北海道新幹線の新函館北斗・札幌間の事業費について、6400億円の追加費用が必要との試算結果をまとめました。整備新幹線の建設費用に関しては公共事業費は3分の2は国、3分の1は道や札幌市など地元自治体が負担する仕組みですが、追加費用の発生に伴い地元負担はどう変わるのか、政府としての方針を伺います。
〇松野官房長官
北海道新幹線の新函館北斗・札幌間の整備に関しては、自然条件への対応や資材価格の高騰などの諸課題に対応するため、国土交通省において有識者会議を開催し、本日、工事費の増加の資産を含め取りまとめがなされたものと承知しています。これを踏まえ、今後、国土交通省において適切な対応を検討していく中で、お尋ねの地元負担の取り扱いをはじめ、追加的に必要となる財源についても関係者と相談し、検討していくことになるものと考えています。