【解説】安倍派“キックバック”問題 裏金作り“最後の温床”構図は…【バンキシャ!】
自民党の最大派閥・安倍派。政治資金パーティーを開いた際、パーティー券収入の一部を所属議員側にキックバックし、その総額が5年間で1億円を超えるとみられることがわかりました。日本の政治を根幹から揺るがすことになりかねない問題について、日本テレビ政治部・与党担当キャップ 前野全範記者の解説です。(真相報道バンキシャ!)
◇◇◇
──政治家のパーティーというと、あまりなじみがないですが、どんなものなのでしょうか?日本テレビが1997年に撮影した派閥パーティーの映像では、パーティー券の値段が2万円であることや参加者の数に比べて食べ物が少ない様子がわかります。
前野記者
「派閥にとってはパーティー券の売り上げがほぼ唯一の独自の収入源です。販売したパーティー券代から飲食代・ホテルの場所代などを引いた派閥の『利益』になるので、飲食物をケチればケチるほど利益率が上がるんです」
──安倍派のパーティーをめぐっては、5年間で1億円を超えるキックバックが行われていたとみられていますが、どういう構図だったんでしょうか?
前野記者
「派閥のパーティーは、『政界の裏金作りの最後の温床』とも言われています。まず、自民党の派閥が開く『政治資金パーティー』の『パーティー券』は通常1枚2万円。これを派閥に所属している議員や秘書が企業・団体・個人をまわって販売します。パーティー券の販売にはノルマがあります。安倍派の場合、ノルマが一番重い人で750万円、つまり375枚を売る必要がある」
──1枚2万円もするチケットを300枚以上(750万円分)売るのは簡単ではないですよね?
前野記者
「実際、ノルマを達成できないケースも多く、その場合、所属議員は不足分を自腹を切って派閥におさめなければならないシステムになっています。今回、問題になっている安倍派では、ノルマを超えてパーティー券を売り上げた議員には一部がキックバックされ、それが政治資金収支報告書に派閥側の『支出』にも、所属議員側の『収入』にも記載されていなかった。
政治資金収支報告書とは、政治団体の収入やお金の使い道を国民に明らかにするために年1回提出するもの。報告書に記載されてないということは、パーティーで集めた『政治資金』の一部がどこに行ったのか、何に使われたのか分からないチェック不能の事実上の『裏金』になった疑いが出ているということです」
──買った人が何百人といるわけで、これはバレないものなんですか?
前野記者
「政治資金パーティーというものは、20万円以下は購入者の名前を明らかにする必要がないんです。誰が支払ったか分からない形でカネを集められるため、裏金作りに利用しやすいんです。また、今後、事態をさらに深刻化させるとみられるのが、パーティー券の売り上げを議員や秘書が自らの懐に入れて着服するパターンの『裏金』作り疑惑です。複数の安倍派関係者によると、議員や秘書がノルマを超えた売り上げの一部を派閥側におさめず、そのまま自らのポケットに入れて裏金にするやり方があるといいます」
──政治資金収支報告書に記載しないでキックバックももちろん問題ですが、これはもっと問題ではないですか?
前野記者
「これは事実、横領ではないかという指摘も出ています。派閥側からすれば、ノルマ分さえ派閥に収めてもらえれば問題はないと考えがちなこともあり、議員や秘書が自らのポケットに入れて裏金にするということが常態化していて、違法だと認識しつつも私的に使うカネを確保するために、この手法が広く行われているということです」
◇
──もし全容が解明されてこの手法が広く行われているとわかった場合、今後どういった展開が考えられるんでしょうか?
前野記者
「複数の自民党幹部に取材すると、『安倍派の幹部議員は総崩れになる危険性がある』、『他の派閥にも飛び火する危険性は大いにあり、問題の底は全く見えていない』など、極めて厳しい見方が広がっています。岸田首相も2日夜、『党として対応を考える』と述べていて、自民党という党全体の問題になるのは避けられない情勢です」
(12月3日放送『真相報道バンキシャ!』より)
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──政治家のパーティーというと、あまりなじみがないですが、どんなものなのでしょうか?日本テレビが1997年に撮影した派閥パーティーの映像では、パーティー券の値段が2万円であることや参加者の数に比べて食べ物が少ない様子がわかります。
前野記者
「派閥にとってはパーティー券の売り上げがほぼ唯一の独自の収入源です。販売したパーティー券代から飲食代・ホテルの場所代などを引いた派閥の『利益』になるので、飲食物をケチればケチるほど利益率が上がるんです」
──安倍派のパーティーをめぐっては、5年間で1億円を超えるキックバックが行われていたとみられていますが、どういう構図だったんでしょうか?
前野記者
「派閥のパーティーは、『政界の裏金作りの最後の温床』とも言われています。まず、自民党の派閥が開く『政治資金パーティー』の『パーティー券』は通常1枚2万円。これを派閥に所属している議員や秘書が企業・団体・個人をまわって販売します。パーティー券の販売にはノルマがあります。安倍派の場合、ノルマが一番重い人で750万円、つまり375枚を売る必要がある」
──1枚2万円もするチケットを300枚以上(750万円分)売るのは簡単ではないですよね?
前野記者
「実際、ノルマを達成できないケースも多く、その場合、所属議員は不足分を自腹を切って派閥におさめなければならないシステムになっています。今回、問題になっている安倍派では、ノルマを超えてパーティー券を売り上げた議員には一部がキックバックされ、それが政治資金収支報告書に派閥側の『支出』にも、所属議員側の『収入』にも記載されていなかった。
政治資金収支報告書とは、政治団体の収入やお金の使い道を国民に明らかにするために年1回提出するもの。報告書に記載されてないということは、パーティーで集めた『政治資金』の一部がどこに行ったのか、何に使われたのか分からないチェック不能の事実上の『裏金』になった疑いが出ているということです」
──買った人が何百人といるわけで、これはバレないものなんですか?
前野記者
「政治資金パーティーというものは、20万円以下は購入者の名前を明らかにする必要がないんです。誰が支払ったか分からない形でカネを集められるため、裏金作りに利用しやすいんです。また、今後、事態をさらに深刻化させるとみられるのが、パーティー券の売り上げを議員や秘書が自らの懐に入れて着服するパターンの『裏金』作り疑惑です。複数の安倍派関係者によると、議員や秘書がノルマを超えた売り上げの一部を派閥側におさめず、そのまま自らのポケットに入れて裏金にするやり方があるといいます」
──政治資金収支報告書に記載しないでキックバックももちろん問題ですが、これはもっと問題ではないですか?
前野記者
「これは事実、横領ではないかという指摘も出ています。派閥側からすれば、ノルマ分さえ派閥に収めてもらえれば問題はないと考えがちなこともあり、議員や秘書が自らのポケットに入れて裏金にするということが常態化していて、違法だと認識しつつも私的に使うカネを確保するために、この手法が広く行われているということです」
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──もし全容が解明されてこの手法が広く行われているとわかった場合、今後どういった展開が考えられるんでしょうか?
前野記者
「複数の自民党幹部に取材すると、『安倍派の幹部議員は総崩れになる危険性がある』、『他の派閥にも飛び火する危険性は大いにあり、問題の底は全く見えていない』など、極めて厳しい見方が広がっています。岸田首相も2日夜、『党として対応を考える』と述べていて、自民党という党全体の問題になるのは避けられない情勢です」
(12月3日放送『真相報道バンキシャ!』より)