【解説】「危機感の表れ」か 岸田首相…派閥パーティー「自粛」求める…忘年会や新年会も
■“派閥パーティー”自粛は「危機感の表れ」?
「岸田首相も、ようやく重い腰をあげて指示を出したわけですが…」
小栗泉 日本テレビ解説委員長(日米の政治・外交に精通)
「これまでは『各派閥に指示をした』などと、どこか他人事で、派閥任せだった岸田首相ですが、6日の会合は党幹部にも5日夕方に伝えられたということで、自民党関係者は『きわめて異例』、そして『危機感の表れ』だと話していました」
有働キャスター
「派閥の政治資金パーティーを自粛ということですが、そもそもそれを開くこと自体は問題はないんですね?」
小栗解説委員長
「これは、法的にも認められています」
小栗解説委員長
「実際のパーティー券(の一例)を見てみると…(たとえば)会費は2万円と書かれています。これを1人何口も買うケースもありますし、参加者は数千人規模になることもあるんです」
「そのため、自民党の6つの派閥の収入総額の約8割をこのパーティー券収入が占めているといわれています。こうしたパーティー券を購入することで、有権者は、その派閥や政治家を応援する。集めた側は、それを派閥の運営資金としたり、議員の研修費用にしたり、あるいは選挙の際にかかる費用などとして候補者などに配って支える、といった仕組みになっています」
「ただ、政治資金規正法では、『1回の政治資金パーティーで、同じ人や団体から20万円を超える支払いを受けた場合には、名前や金額を収支報告書に記載しなければならない』と定められているのですが、これを正しく記載しなかったり、あるいは記載が間違っているだけではなくて、“組織的な裏金作り”が行われていたのでは、という指摘がされているのです」
「そこで、透明性が高められる対策がとられるまでの間、『自粛』…ということになったわけなのです」
有働キャスター
「ただ、自粛だけでは、透明性は高まらないですよね」
小栗解説委員長
「それだけに、一部では、二度とこういったことが起きないために、“政治資金規正法を改正するべきだ”、という声もあるのですが、野党・立憲民主党の安住国対委員長は、『法改正の前にやることがあるのではないか。実態解明をしないまま、いわば蓋をするために、法改正だとか、自粛の話をしているんじゃないか』というふうに指摘していました」
■自粛すれば“ちゃら”ではない 目の前の“疑惑”…逃げずに説明を
有働キャスター
「辻さんは、これについてはどう思いますか」
辻愛沙子さん クリエイティブディレクター(SNSを活用したヒット企画多数)
「“組織的な裏金作り”が、安倍派という自民党の最大派閥で行われていた可能性がある、と…これが本当だとすれば、本当にあり得ないことだと思います」
「だけど、なんとなく周りを見ていても、温度感が低いように感じるんですよね。どうせ変わらないんだろう、と国民が諦めてしまっているところもあるとは思うんですけれども…。でも、それは政治家の不祥事がこれだけあまりにも常態化し続けている、今の政治の問題でもあると思います」
「パーティーの自粛は、この状況を考えると、それは“やらない以外の選択肢はないでしょ”と思うんですけど、今後の話をする前に、まず目の前の疑惑を逃げずに説明するべきかなと思います。自粛すれば、過去のことが“ちゃら”になると思ったら大間違いだよ、というのはありますね」
■来週・臨時国会閉会後、議員『本人』いっせい聴取へ
有働キャスター
「『裏金』疑惑の捜査は、これから山場を迎えます」
「東京地検特捜部は、“キックバック”を受けていた疑いのある安倍派所属議員の『秘書』に対し、任意の事情聴取を始めたことが関係者への取材で新たにわかりました」
「さらに、臨時国会閉会後、つまり来週にも議員『本人』に対して、いっせいに聴取を始め、全容解明を進めるものとみられます」
(12月6日放送『news zero』より)