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「折り鶴再生紙」など“環境”意識のサミットバッグ 一方で海外メディアが指摘する「プラスチック」【G7広島サミット】

2023年5月19日 7:00
「折り鶴再生紙」など“環境”意識のサミットバッグ 一方で海外メディアが指摘する「プラスチック」【G7広島サミット】

5月19日から3日間、広島で開催される「G7広島サミット」。各国の代表者や報道関係者に配られる記念品「サミットバッグ」の中には、全国から平和記念公園に送られる千羽鶴を再利用して作られたメモ帳などが入っています。海外メディアからは広島の原爆の歴史を伝えるのに「いいきっかけになる」との声が聞かれました。一方で、国際メディアセンターで使われている“あるモノ”に厳しい指摘も。

■広島に送られてきた千羽鶴がメモ帳などに

5月19日から3日間開催される「G7広島サミット」。開催地の広島で各国の代表団や報道関係者に配られるのが、記念品が入った「サミットバッグ」です。

サミットでは慣例として、毎回開催地にまつわる記念品が配られます。今回はデニムの産地である広島・福山市の「備後デニム」を使ったバッグに、SDGsを意識した間伐材を使ったタンブラーなどのグッズが採用されました。それぞれに「G7広島サミット」のロゴが入っています。こうした記念品の中には、平和記念公園に送られてきた千羽鶴を再利用して作られたメモ帳などもあります。

【サミットバッグ】

①メモ帳
「折り鶴再生紙」を使用した正方形のメモ帳で、折り鶴の折り方付き。お好み焼きの「コテ」や「鯉」など広島をイメージした柄がプリントされています。

②ノート
紙やプラスチックの代替素材である「ライメックス」を使用。

③ペン
バイオマスプラスチックを使った消せるボールペン。

④タンブラー
広島の間伐材など半分ほどが植物由来の素材で作られ、折り鶴再生紙を使用した箱に入っている。国際メディアセンターには各所にウォーターサーバーが置かれていて、“マイボトル”として使って貰う狙い。

⑤タオル
平和のハトの形に固められ、折り鶴再生紙を使用した封筒の中に入っている。

⑥サッカーボール(※代表団のみ配布)
広島の企業が制作。

⑦バッグ
広島・福山市の備後デニムを使用。

■年間1000万羽届く折り鶴

平和記念公園には年間で約1000万羽、重さにして約10トンの千羽鶴が送られてくるといいます。広島市では長年、こうした折り鶴を再生紙に生まれ変わらせる取り組みを続けてきました。

私たちが取材した企業では、各地から届いた大量の折り鶴を手作業で一つ一つバラバラにし、大きな水槽の中に投入してドロドロに。一般的な再生紙と違い、折り鶴再生紙はあえて折り紙の色を残した風合いの紙となっています。

折り鶴再生紙は、メモ帳やノート、ふせんなどに加工されるほか、広島の小中学校の卒業証書に使われるなど、広島ではとても“メジャー”な存在だと言います。

■海外メディア「素晴らしい取り組みだと思う」その一方で…

会場で配られたサミットバッグ。折り鶴再生紙をはじめとした記念品に対して、海外メディアなどからは「メモ帳を通してサダコの物語を伝えられると思う」「きれいなので家でも使うと思う」といった声がありました。

「サダコ」とは、広島市の平和公園にある「原爆の子の像」のモデルで、病床で折り鶴を折り続けた佐々木禎子さんのこと。

「日本に来る前にサダコと千羽鶴の話について聞いた。とても悲しい物語だが、このメモ帳を通して世界にこの物語を伝えるのにいいきっかけになると思う(メディア関係者)」

「ノートやメモ帳を買うときは再生紙かどうかを気にして購入しているので、家でも使います(NGO職員)」

一方で、国際メディアセンターの設備については厳しい声も。

「食事用のスプーンやフォークがプラスチックでできていることが気になった。容器も使い捨てなので食事の後はゴミがたくさん出ている。サミットバッグでは環境に配慮していることがわかるので、その差が気になった(NGO職員)」

今回のサミットバッグに「折り鶴再生紙」を使ったメモ帳などを採用した理由について、外務省G7広島サミット事務局サミットバッグ担当・鈴木純佳さんは、「私はサミットをきっかけに折り鶴再生紙について知ったのですが、同じように初めて知った海外の方にも、そこに込められた思いが伝わればいいと考えています」「平和への願いが込められた折り鶴が世界中から送られてくること。たくさんの折り鶴が再利用されていることを知っていただく機会にしたいと考えました」と話しています。

平和への祈りを込め、各国から送られてきた折り鶴。再生され、新しい姿となって、再び世界へとかえっていきます。