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ポスト安倍3候補の「コロナ対策」を比較

2020年9月1日 20:34
ポスト安倍3候補の「コロナ対策」を比較

9月1日に開かれた自民党の総務会で、総裁選は党員投票を行わず、両院議員総会の形で行うことが決まりました。総裁候補たちに求められるのは、いま目の前にある新型コロナをどうするのか、具体的な対策や政策です。それぞれの「コロナ対策」を解説します。

■9月1日の感染者数

9月1日、東京では新たに170人の感染が確認されました。8月31日が100人ですから、少し増えています。重症者は8月31日から3人減り、29人でした。

では、全国の感染状況を見てみます。

8月31日の新規感染者数は、東京で100人、大阪で53人など、全国合計で437人でした。8月の前半には1500人を超えた時期もあったため、それに比べるとだいぶ落ち着いてきた印象です。

■自民党総裁候補の「コロナ対策」

次の日本のリーダーがどんなコロナ対策を取るのかが非常に重要です。そこで、いま名前が上がっている自民党総裁候補の「コロナ対策」をチェックしたいと思います。

まずは、岸田政調会長。

感染症も経済も人の命に関わる問題だとして、感染症対策と経済対策の両立を目指すとしています。

具体的には、検査の実数を上げることの重要性を強調しています。PCR検査や抗原検査など様々な検査の実数を上げ、それらをしっかり使うシステムを作るのが、感染症と経済対策両立のポイントとしています。

次に、石破元幹事長。

お店などの営業時間の短縮や休業について、現在は「要請」ですが、お願いよりも強い形にするとしています。その代わり、補償のあり方についても議論すべきと主張しているのです。

いま新型コロナ対策に使われている特別措置法には補償のあり方などが明記されていないため、特措法を改正すべきとの考えを示しています。

そして、現在党内の支持を広げている、菅官房長官。

基本的には安倍総理が退陣表明と同時に発表した、コロナ対策の新パッケージを継承するとみられています。

具体的には、高齢者など重症化リスクの高い人たちに重点を置いた対策への転換。そして、検査体制の拡充です。冬までに1日20万件の検査体制を目指すとしています。

さらに、現在「2類以上」となっている新型コロナの感染症法上の運用の見直し。軽症や無症状の人は宿泊施設や自宅療養を徹底し、保健所や医療機関の負担を減らすということです。

■新しい総裁の「選び方」が決定

そして、これらの候補の中から誰が選ばれるのか、9月1日、自民党の総務会でその「選び方」が正式に決まりました。

総裁選は8日に告示され、14日に次の総裁を選出する見通しとなりました。党員投票を省く、「両院議員総会」で選ぶことになりました。「政治空白を作るべきではない」というのがその理由です。

しかし、これに対し若手議員らは150人以上の署名を集め、開かれた手続きで総裁選を行うべきだ、と抵抗しました。小泉進次郎環境大臣も総務会に乗り込みこんな意見を述べています。

「フルスペックで総裁公選をやるべきだと。約150人の国会議員、全国の自民党の地方組織のみなさん、約400人が(開かれた総裁選を)やるべきだと」

このような若手の声もありましたが、二階幹事長ら執行部が議論を押し切った形となりました。

自民党の総裁選は、通常だと国会議員だけではなく全国にいる自民党員も投票できます。しかし、この方法だと今回は手続きに約2か月かかる、と党の執行部は説明しています。

そこで、今回は「両院議員総会」を行います。地方の票は各都道府県の支部に割り振られ、党員票は394票から141票に激減します。短期間で総裁を決めるスピード重視の方法が取られます。

■総裁選 過去の例では

票数が激減し、地方の声が反映されないのではないか、という部分が問題です。実際、過去の総裁選ではこんなこともありました。

2012年に行われた自民党総裁選。この時は5人が立候補し通常の総裁選挙が行われました。1回目の投票では、石破さんが議員票34票と党員票165票で、合計199票を取りました。安倍さんは党員票が半分ほどで、石破さんが1位という結果になりました。しかし、両者とも過半数に届かなかったということで決選投票になり、この決選投票は国会議員のみで行われました。

その結果、108票を取った安倍さんが逆転し、新総裁に決まったわけです。

ここでわかるのは、この時、1回目は石破さんが党員投票で圧勝していたということです。つまり、石破さんの地方での人気の高さが印象づけられました。

今回決まった「両院議員総会」の方式では、党内の支持が広がる菅官房長官が有利で、石破元幹事長が不利なることは確実です。そのため党内からは「石破つぶし」という声や、政権幹部や派閥の領袖らが菅長官有利の流れを作ったことに「密室談合」との批判の声が上がっているのです。

今回「政治空白を作らない」という理由で党員投票を行わないことになりましたが、本当に党員投票で政治空白が生まれるのでしょうか。全国の党員の意向が反映できないほどの緊急事態なのでしょうか。総裁選挙を一任された二階幹事長がいち早く菅氏支持を打ち出していることも「密室談合」と言われる一因です。

この総裁選は次の総理を選ぶ手続きでもあります。国民全員のリーダーを選ぶのに疑念を持たれないようにしてほしいと思います。

(2020年9月1日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)