×

【解説】まもなく開幕“コロナ禍”のG20

2020年11月19日 22:06
【解説】まもなく開幕“コロナ禍”のG20

11月21日から、サウジアラビアのリヤドでG20サミットが始まります。コロナ禍で開催される異例のG20サミットについて、政治部・外務省担当の前野記者の解説です。

■G20の「G」なんの略?

G20、G7、G8といった、ニュースでよく耳にする言葉。この「G」って何の略だか分かるでしょうか。

これは「グループ」の「G」で、意外と単純な言葉。G20は「Group of 20」の略語です。

■G20のメンバーは?

G7サミット=主要(先進)7か国首脳会議のメンバーは、日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダの7か国。

これに対して、G20はこのG7にロシア・中国・韓国・インド・ブラジルなどを加えた20か国が参加して行われます。

■G20開催のきっかけは「リーマンショック」

G7の枠組みは割と古く、その起源がおよそ半世紀前の1970年代までさかのぼるのに対して、G20サミットが初めて行われたのは今から12年前の2008年と割と最近のことです。

実はG20は、2008年に発生し世界経済を揺るがした、ある出来事をきっかけに開催されるようになりました。リーマンショックです。
G20サミットはリーマンショックをきっかけに 始まった国際会議で、正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」です。

加盟国のGDPは世界の約8割以上を占め、その名の通り「経済」を中心に議論します。経済面で存在感を増す中国も参加しているので、近年はG7よりもG20サミットの方が重視される傾向にあるんです。

■「密」となるため今年はオンライン開催

このG20サミットですが、記憶に新しいところだと去年は大阪で開かれ、日本が初めての議長国をつとめました。

狭い会議室に当時の安倍首相やトランプ大統領、習近平国家主席といった世界各国の首脳が一堂に会しました。

ただ、かなりの「密」状態になりますので、コロナ禍の今年は、サウジアラビア・リヤドに首脳が集まるのではなく、オンラインのテレビ会議方式で行われることになりました。

■画面は25分割?実は20か国より多くが参加

今年の3月に開かれ、安倍前首相が出席したG20サミットの緊急テレビ会議の様子を見てみると、テレビ画面が細かく分割されています。

5×5=25の画面があって、20より多いんです。これは、20か国以外にも、国際機関や招待国が参加しているからなんです。

■テレビ会議ゆえの課題

これだけ参加国が多いと、挨拶だけでもかなり時間がかかります。テレビ会議方式だと、各国首脳が用意した原稿を順番に読み上げる予定調和の進行になりがちです。

また、画面の向こう側に首脳以外の誰がいるのか分からないですし、専用の秘匿回線ではなく通常のネット回線を使うので、盗聴の危険性もあります。

さらに、テレビ会議外交の問題点として指摘されるのが、対面外交と違い、会議と会議の間に「バイ」つまり、1対1で首脳同士の会談など「二国間外交」ができないこと。会議中に外に出て話したり、重要な立ち話ができないという点です。

■外務省幹部「政治決断がすべて」

ある外務省幹部は「外交は最後は首脳レベルのトップ交渉、政治決断が全てだ」と指摘しています。

たとえば2019年のG20大阪サミットでは、環境問題をめぐりアメリカのトランプ大統領とフランス・マクロン大統領やドイツ・メルケル首相が対立しました。このとき安倍首相は議長役を麻生副首相に交代してもらい、首脳たちの間を行き来して直談判し、首脳宣言に結びつけました。

テレビ会議だとこうした首脳外交は難しいんですが、コロナ禍で世界経済は待ったなしの 課題だらけの状態です。

こうした中、G20サミットで経済回復やワクチンの普及などについて、国際社会が一致したメッセージを出せるのか注目が集まります。


日本テレビ報道局「政治イチから解説」