尾身会長、独自提言へ 政府関係者は不快感
東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、政府分科会の尾身会長は、政府などが観客の上限について決定する前に、独自に専門家による提言を発表する考えを示しました。
政府は尾身会長らの提言を「自主的な研究成果の発表」と位置づけていて、政府と専門家の溝が深まっています。
政府は、五輪のコロナ対策については、東京都や組織委員会との調整会議で専門家も含めて議論しているとして、尾身氏が会長を務める政府の分科会には、感染リスクの評価について諮問しない方針です。
政府は観客の上限について、20日以降に決定する方針ですが、尾身会長は4日、その決定の前に、独自に提言を発表する考えを示し、「政府から要請はないが、我々の考えを表明するのがプロとしての責任だ」と述べました。
しかし、こうした尾身会長の動きに対し、政府関係者は一様に不快感を示していて、政権幹部が「オリンピックは尾身会長の所管ではない」、別の政府関係者も「尾身会長の立場では五輪をやめろという提言しかできない」などと話しています。
菅首相はこれまで、新型コロナ対応については、「専門家の意見を聞いた上で判断する」と繰り返し、会見にも尾身会長を同席させてきました。菅首相には、調整会議の議論だけで十分だと判断し尾身会長に意見を求めない理由について、国民が納得する丁寧な説明が求められます。