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【全文】官房副長官会見 中国の偵察気球「必要な場合には緊急発進も」(2/6午前)

2023年2月6日 14:13
【全文】官房副長官会見 中国の偵察気球「必要な場合には緊急発進も」(2/6午前)

磯崎官房副長官は6日午前、中国の偵察気球をめぐり「我が国の許可なく上空に侵入すれば領空侵犯となり、必要な場合には緊急発進(スクランブル)を含めた措置を取ることは当然」と述べた上で、日本上空の警戒監視を行う考えを示しました。

<会見トピックス>
▽性的指向などをめぐる法整備
▽荒井前秘書官の発言について
▽日銀の総裁人事
▽世論調査
▽北九州市長選挙
▽中国の偵察気球

〇磯崎官房副長官
おはようございます。冒頭、私の方から特に申し上げることはございません。

――性的指向などをめぐる法整備について伺います。総理秘書官の同性婚に関する発言を受けまして、LGBT法連合会は、声明で、性的指向や性自認を巡る差別を禁止する法律の今国会での制定を求めました。受け止めと、こうした差別の法整備の必要性についての認識、今後の対応を伺います。

〇磯崎官房副長官
性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないというふうに考えております。ご指摘の法案につきましては、議員立法として議論があるというふうに承知をしております。国会において、議論いただくものという風に考えておりまして、政府としてはその動き、注視してまいりたい、そのように考えております。

――今回の荒井秘書官の発言が政権運営や政府が目指す多様性を認める社会を目指す政策に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

〇磯崎官房副長官
荒井元総理秘書官でございますが、2月3日金曜日の夜にオフレコを前提にした記者団の取材に応じた際に、発言を行ったというふうに聞いております。荒井元秘書官の発言につきましては、オフレコの場での発言でございますので、その詳細を承知はしておりませんけども、「見たらどう思うか」「隣に住んでいたらどう思うか」。また、「同性婚を認めたら、国を捨てる人が出てくる」「他の秘書官も同じ考えではないか」といった発言につきましては、荒井元秘書官自身が「総理秘書官の職にある者としてふさわしくないものである」との理由から撤回したものというふうに承知をしております。これらの発言につきましては、不当な差別と受け取られても仕方がないものでありまして、また政府の方針と全く相いれず、言語道断であり、遺憾であるというふうに認識をしております。このため、岸田総理が総理秘書官としての職務を解くという判断を行ったものであります。

――今回の件が政権運営に与える影響についてはいかがでしょうか。

〇磯崎官房副長官
国会の場でしっかりと政府としての立場を説明をしていくということで、丁寧な説明に心がけてまいりたいというふうに考えております。

――今も言及ありましたけども、岸田総理は丁寧に内閣としての姿勢を説明していくとしていますが、今日の予算委員会では野党が退室するなど、この件を巡り、早速国会にも支障が出始めています。改めて聞きますが、政府としてこうした場でどのような姿勢で説明していくのかうかがいます。

〇磯崎官房副長官
政府としてのこの問題についての立場ということをしっかりと説明をして、政府一丸となって取り組んでいく、そのことをしっかりと丁寧に説明してまいりたいというふうに思っております。

――岸田首相は1日の予算委員会で、「同性婚に関して、家族観、価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁した。その答弁の作成段階で荒井氏は文言調整や内容の事前共有なども含めて何らかの関わりがあったのか。

〇磯崎官房副長官
同性婚制度の導入につきましては、親族の範囲、またそこに含まれる方の間にどのような権利義務関係等を認めていくのかといった国民生活の基本に関わる問題でございまして、国民1人1人の家族観とも密接に関わるものというふうに認識をしております。お尋ねの通りの答弁につきましては、質疑者とのやり取りの中での発言というふうに承知をしております。具体的には、質疑者から通告のあった質問に対する答弁案につきましては、法務省が作成したものでございますが、質疑者と質疑応答を繰り返す中の一部にお尋ねの発言があったというふうに承知をしております。総理のご発言は同性婚制度の導入につきましては、我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであるので、社会各層の様々なご意見を受けとめることが大切だという趣旨だと、このように認識をしております。

――秘書官の関わりはなかったのか

〇磯崎官房副長官
答弁につきましては法務省が作成したということでございますので、そういうことでご理解いただければと思います。

――関連で。確認なんですけど、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」というふうに総理が答弁された文言は、法務省が作成した答弁の中にはいっていたのか?それとも、質疑の中で総理がいわゆるアドリブでの発言だったのか分かりますでしょうか。

〇磯崎官房副長官
法務省の答弁の中に入っていた文言ということでございます。それをベースとしてですね、先ほど答弁させていただきましたが、お尋ねの総理の答弁は、質疑者とのやりとりの中での発言というふうに承知をしておりまして、質問通告に対する答弁につきましては、法務省が作成したものでございますけども、それをベースに質疑のやりとりの中で総理が答弁をしたという内容でご理解をいただければと思います。

――日銀の総裁人事について伺います。政府は日銀の黒田総裁の後任として、雨宮副総裁の就任を打診したとの一部報道がありますけれども、事実関係や現在の調整状況についてうかがいます。

〇磯崎官房副長官
ご指摘のような報道があったことは承知をしておりますけども、そのような事実はございません。黒田総裁の任期は令和5年4月の8日までとなっておりまして、その後、その後任人事につきましては、その時点で日銀総裁に最もふさわしいと判断する方を任命することが基本であるというふうに考えております。

――弊社(TBS)が週末に実施した世論調査について伺います。内閣支持率は先月から1.9ポイント下落の35.5%で過去2番目に低い結果となりました。受け止めをお願いします。またマスク着用については屋内外を問わず外すと答えた人はわずか10%でした。感染対策への意識が依然高い結果となっていますが、改めてどのように平時への移行を進めていくのか伺います。

〇磯崎官房副長官
まず世論調査の数字でございますけれども、これにつきましては一喜一憂はしないわけでございますが、一般論として申し上げれば、世論調査に表れた国民の皆様の声を真摯に受け止めて、政府としての対応に生かしていくことが重要であるというふうに考えております。また、マスクの着用につきましては、個人のそれぞれのご判断に委ねるということを基本とするとともに、政府は着用が効果的な場面を周知をしていく。こういう方向で検討を進めることとしております。ウィズコロナの取り組みをさらに含め、あらゆる場面で日常生活を取り戻すことができるように着実に歩みを進めてまいりたいというふうに考えております。

――昨日投開票された北九州市長選挙でお伺いします。選挙では自民、公明両党や立憲民主党などが推薦した候補が敗れ、政党の支援がない新人候補が当選しました。相乗りの候補が敗れた背景として、既存政党への不信感を指摘する声もあります。政権運営や統一地方選挙への影響についてお聞かせください。

〇磯崎官房副長官
地方自治体の市長選挙に関することでございまして、政府としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。その上で一般論で申し上げれば、地域経済の発展また住民生活の向上などそれぞれの候補者の皆さんが、今後の取り組み等訴えて、それに対して地元の皆さんが判断をされるものというふうに承知をいたしております。

――米国本土の上空を飛行し米軍のF22戦闘機が撃墜しました中国の偵察気球についてお聞きします。2020年6月に仙台市上空、2021年9月に八戸市上空で確認されたものと酷似していますが、政府としてはどう見ているんでしょうか。また、米国国防総省は気球の下部に据えられていた物体の長さは 約90フィート、日本で言うと 27.4m だったとの分析結果を明らかにしています。気球自体のサイズは直径 30m との見方もありますが、仙台市上空、八戸市上空で確認された物体の大きさはどれぐらいだったのか教えてください。

〇磯崎官房副長官
気球の飛行なども含めた我が国周辺の情勢につきましては、米国をはじめ、同盟国、同志国と平素から緊密に連携をし、情報共有を行っているところであります。令和2年6月や令和3年9月に我が国上空で飛行物体が目撃されたことは承知をしております。ただ、その詳細につきましては、今般の米国における事案との関連性も含めまして、引き続き分析を進めているところでございます。いずれにしましても政府としては、引き続き関連の動向等を注視していくとともに、警戒監視、切れ目なく行って対応に万全を期していく考えであります。

――防衛省の報道官なんですけれども、3日の記者会見でですね、米国の事案と同様のケースが過去に日本であったかを問われまして、これまで気球による領空侵犯について確認して公表した事実はないと述べたと伝えられています。仙台市、八戸市上空で確認された物体は当時、テレビニュースでも頻繁に報道されていて、国民も非常に関心がありました。当時の政府はなぜ、他国による領空侵犯と認定しなかったのか教えていただきたいのと、改めて先ほどのご回答と重なるかもしれませんが、改めてですね。3年前の事実確認と政府対応の調査と、その調査結果を公表する必要性について教えてください。

〇磯崎官房副長官
ご指摘の令和2年6月や令和3年9月に飛行物体が目撃された際の自衛隊の対応の詳細につきましては、我が方の手の内を明らかにする恐れがあるということから、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、政府として公表すべき事象は確認されておりません。防衛省におきましては、領空侵犯の恐れのある飛行機の探知などのため、24時間365日、全国のレーダーサイトによる警戒監視を行っておりまして、その中で領空侵犯事案を含め、外国軍の動向などにつきましては、様々な要素を考案をして必要な公表の判断を行っているところでございます。

――米国が撃墜したものと、日本上空で当時確認された気球を同じものかどうか調査するお考えについて、また調査するお考えがなければその理由を教えてください。

〇磯崎官房副長官
先ほどの答弁と重複するところがあるかと思いますが、令和2年6月、あるいはその令和3年9月に我が国上空で飛行物体が目撃されたことは承知をしておりますが、その詳細につきましては、今般の米国における事案の関連とも含めて引き続き分析を進めさせていただきたいというふうに思います。

――最後になりますが、 仙台、八戸で気球が確認された当時、自衛隊は対領空侵犯措置を行っていないと思います。当時、なぜそうしなかったのか理由を教えていただきたい。今後同種の事案が発生しても、対領空侵犯措置は取らないんでしょうか。

〇磯崎官房副長官
一部重複しますが、具体的な自衛隊の対応の詳細につきましては、わが方の手の内を明らかにする恐れがあるということから、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、当時、政府として公表すべき事象は確認をされておりません。いずれにしましても、外国の気球でありましても、我が国の許可なく、上空に侵入すれば、領空侵犯となり、必要な場合には、緊急発進を含めた措置を取ることは当然でございます。引き続き、防衛省自衛隊におきまして、我が国及び、その周辺の上空につきまして、警戒監視を切れ目なく行い、適切に対応に万全を期していく考え方でございます。