菅総理“退陣表明”小泉氏の進言が後押し?
次の自民党総裁選への立候補を2日に二階幹事長に伝えていた菅首相が、翌3日、一転、立候補しないと表明しました。菅総理はなぜ、いつ決断したのか。次を決める総裁選の行方は。小栗泉解説委員が、詳しく解説します。
■菅総理は、なぜ辞めると決断したのでしょうか?
1つには、小泉環境大臣が後押ししたという面もあるようです。小泉大臣は、2日まで4日連続で官邸で菅総理と会談。党内若手の厳しい声をあえて菅総理の耳に入れてきました。官邸関係者によれば、2日、「小泉さんは総理に対し、総裁選に出ない方が良いと進言していた」ということです。
■小泉大臣は3日、菅総理でなければできないことが多くあったと涙を浮かべていました。それほど支えていたのに?
支えていればこそだと思いますが、総裁選で勝てる見込みがあるのか、もし厳しいなら、あえて選挙戦を戦う必要があるのか、と現職の総理総裁の立場を慮ったのかもしれません。
小泉大臣は安倍前総理とも意見交換した上で、今回は派閥がまとまって菅総理を応援する形になっていないということなども伝え、菅総理周辺によると「菅総理は自信をなくした」ということです。
そしてもう一つ大きかったのは、来週予定していた党役員人事・内閣改造で、菅総理が考える思い切った人事ができなかったのではないかということです。
今月半ばに解散し総裁選を先送りにするという「禁じ手」を封じられた菅総理としては、今回の人事で党内の空気を一新することが、総裁選を戦う上では不可欠でした。でも、幹事長など要職への起用を検討していた石破元幹事長については、かねて安倍前総理や麻生副総理が快く思っていませんでした。
また、党内からは総裁選直前の人事には冷ややかな見方が多く、思い通りにはならない可能性が高まっていました。
■となると、次は誰かという話になりますが。
まだ顔ぶれが固まっていませんから分かりませんが、今のところは、岸田前政調会長と河野ワクチン担当大臣の2人を軸にした戦いになるかと思います。
岸田前政調会長は今回、真っ先に出馬を表明。二階幹事長を念頭に、党役員人事の任期を制限する改革案を提示して、安倍・麻生両氏からも一定の評価を受けていました。また新型コロナウイルス対策を2日に発表するなど、選挙戦をリードしてきました。
一方の河野大臣は、次の総理にふさわしい人は誰かという世論調査で、常に上位に名を連ねています。今回の総裁選というのは、党員党友票と議員票が同じ数なので、人気が高いということは大きな強みです。総裁選のあとに控える衆院選を考えても、人気の高い河野大臣で戦いたいと考える自民党の若手議員は多いようです。
ただ、河野大臣の政治手法というと、行政改革などでも見られたように、「異端児」「バランスを欠く」という評価が多く、特にベテラン議員を中心に「総理総裁としてはふさわしくない」という声も多く、どこまで議員の間に支持が広がるかが焦点です。
(9月3日放送『news zero』より)