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人事、政策、衆院選…岸田氏の“試金石”

2021年9月30日 11:02
人事、政策、衆院選…岸田氏の“試金石”

自民党の新総裁になった岸田文雄氏は、安倍政権や菅政権との違いをどう打ち出していくのか―。その試金石となるのが、派閥にとらわれない「人事」、所得倍増計画などの「政策」、自らが顔となる「衆院選」です。国民に届く政治を実行できるか、注目されます。

■人事で「支持だだ下がり」懸念ナゼ

有働由美子キャスター
「自民党の新総裁に選ばれた岸田氏は29日、自身の特技として『人の話をよく聞く』と語りました。安倍前首相や菅首相の時とは違う、という意思表示だと思いましたが、どう変わっていくのでしょうか」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「それを測る、3つの試金石があると思います。まずは、派閥にとらわれない思い切った人事ができるかです」

「例えば麻生副総理の処遇について、ある自民党の中堅議員は『岸田さんが麻生さんらを起用したら、支持率だだ下がりだと思う。党役員の任期制限を打ち出したのに、ずっと閣内にとどまっている麻生さんを切らないのは、筋が通らない』と話していました」

■安倍氏「意向」と河野氏の役職は?

小栗委員
「総裁選を共に戦った3人には、どんなポジションを提示するのでしょうか。決選投票で岸田氏は、安倍前首相が支援した高市早苗前総務相の陣営と連合を組んだだけに、安倍氏の意向を無視できないとの見方もあります」

「また、河野太郎ワクチン担当相について、ある自民党関係者は『安倍さんとそりが合わない河野さんをどういう役職に就けるか難しい』と話します」

「しがらみの中で、岸田カラーを出していけるのでしょうか。岸田氏が『(30日の)1日かかるのではないか』と話した党役員人事と来週の組閣は、併せて注目です」

有働
「『生まれ変わった自民党を見せる』と岸田氏は発言していたので、どういう顔ぶれにするのか注目ですね」

■大規模経済政策…「財源」どこに?

小栗
「2つ目の試金石は政策です。岸田氏は選挙戦を通じ、『令和版所得倍増計画』として、例えば新型コロナウイルスの中で苦労している看護師、介護士、保育士らの賃金アップや、子育て世帯の負担となっている住宅費や教育費の支援をしていくとうたっていました」

「さらに29日の会見では、年内に数十兆円規模の経済対策を講じるとしました」

有働
「財源はどこからなのか、気になります」

小栗
「消費税については、前回『news zero』に出演した際にも『当面引き上げない』と言っていましたので、国債の発行、つまり借金を増やして対応することになります。ただ元々、岸田氏は財政再建を重視するスタンスです」

有働
「そのあたり、国民が納得するようにどう説明するかが問われますね」

■衆院選の勝敗ライン「与党過半数」

小栗
「3つ目の試金石は、これから岸田氏が『自民党の顔』として戦う衆院選です」

有働
「いつでしょうか?」

小栗
「気になりますが、岸田氏は衆議院の解散について『しかるべき時期を判断していきたい』と話していました。現状のスケジュールを確認しましょう」

「臨時国会は10月4日に召集され、岸田氏が第100代の首相に選ばれる見通しですが、今、自民党の中では、『新首相が13日か14日に衆議院を解散するのでは』との見方があります。その場合、26日に公示、11月7日に投開票という衆院選の日程がささやかれています」

「衆議院の与党の議席数は現在、自民党275、公明党が29の合計304。過半数は233です。岸田氏は29日、『勝敗ラインは与党で過半数』と言いました。」

有働
「ずいぶん無難なラインですね」

小栗
「与党の自公で70議席減らしても大丈夫というレベルなので、堅実なラインですね。衆院選は岸田氏にとって、その後の求心力を高められるかどうかの大きな試金石となります」

■辻さん「リーダーの意志明確に」

有働
「事実上の次の首相となる岸田氏に求めることは何ですか?」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「岸田氏は選挙中、候補者4人の中でも特に、本人の意思がどこにあるのかが見えない印象でした。例えば選択的夫婦別姓と同性婚について、留保のスタンスでしたが『議論が必要』と言ったり、ジェンダーギャップの課題でもクオータ制に関して『反対』と言いつつ『努力は必要』としていて、結局どっちなんだろうと思うものが多かったです」

「議論も努力ももちろん必要だとは思いますが、リーダーの意志としては、具体的にどこを向いてどんなアクションをしてくれるのか、明確にしていただけたらと思います」

有働
「岸田氏が何度も強調したのが、『国民の声をしっかり聞き、国民に届く政治の説明をする』でした。それを実行する力を、しっかり見ていこうと思います」

(9月29日『news zero』より)