“子ども記者”が外交官に質問「一番大変な外交問題は?」「日本は気候変動で何ができる?」
外務省では7日、子どもたちの夏休み期間中に行われる「こども霞が関見学デー」にあわせて、子どもたちが参加する記者会見が開催されました。“子ども記者”たちは緊張の面持ちを浮かべながらも、外務省の北村俊博報道官に鋭い質問を投げかけました。
中学2年生の女の子
「一番解決するのが大変だった外交問題はなんですか?」
北村報道官
「いまニュースで一番流れているのはオリンピックですが、その裏では中東で戦争のようなことが起きています。長い歴史のなかで、いろいろな人がいろいろな思いを持って、相手を憎んだり恨んだりしている。そういった感情の積み重ねが簡単には解決できない、すぐに戦争がなくせないというのが、一番難しい問題かなと思います」
「もうひとつは、気候変動です。日本を含む先進国はこれまでの経済発展のなかで、二酸化炭素や温室効果ガスをたくさん出してきました。一方、世界全体の取り組みのなかで、これから成長していきたい発展途上国にも排出を抑えるお願いをしています。これは、不公平じゃないかという声もあるでしょう。富んだ国と貧しい国の格差をどう乗り越えていくのかも、大きな問題だと思います」
中学2年生の男の子
「外務省で働く魅力や、外務省に入ってよかったことはなんですか?」
北村報道官
「いろいろな国を見てみたいという思いで外務省に入ったのですが、実際にこれまでの32年間で七十数か国を訪問して、地球10周ぐらいは飛行機に乗っていると思います。それでも七十数か国というのは、日本が認めている195か国の半分も超えていないんですね。世界にはまだまだ知らない国がたくさんあって、そういうところに全部行きたいなというのが、私の夢です」
「同時に、世界にはいろいろな問題があります。中東の戦争、気候変動、新型コロナウイルス、そうした問題ひとつひとつに外務省は取り組んでいて、仕事の幅は非常に広いです。それが、外務省の仕事の魅力だと思います」
小学5年生の男の子
「気候変動など、日本以外での問題について、外務省はどのように関わっているんですか?」
北村報道官
「外務省が他国に対して、気候変動の分野でどのような支援ができるか、ひとつの手段としてODA(=政府開発援助)があります。いろいろな取り組みがあるのですが、たとえば発展途上国の工場から出る二酸化炭素を減らすために、日本の優れた技術を提供するなどの支援を行っています」
「また、太平洋やカリブ海にはたくさんの島国がありますが、地球温暖化に伴って海面が上昇すると国が沈んでなくなってしまうかもしれないというニュースを、皆さんも聞いたことがあると思います。日本としては、気候変動の影響による高潮の被害を減らすために、海外沿いに防波堤をつくるなどの支援を行っているところです」
北村報道官は会見後、「日本を背負っていくのは皆さんの世代なので、ぜひ外交や世界の出来事に関心を持って勉強を頑張ってほしい」と強調しました。
会見で気候変動に関する質問をした男の子(小学5年生)は、「最近日本でも夕立が多くなったので、そういうことに外交官の仕事も関係あるのかなと思って質問した」と話しました。質問に対する報道官の回答は「分かりやすかった」ということで、「将来の夢は、いろいろあるけど(外交官も)その候補に入った」と笑顔を見せました。