“裏金”根絶できる?……自民党案の中身 議員への“罰則”は限定的に 「献金」「政活費」は先送り…党幹部「格好つかない」
自民党は23日、政治資金規正法改正に向けた案を取りまとめました。焦点の1つが「議員本人の責任」で、連座制に踏み込むか注目されていました。野党が廃止や禁止を訴えていた献金や政策活動費も検討課題でしたが、自民党案ではどうなったのでしょうか?
藤井貴彦キャスター
「これで裏金は根絶できるのでしょうか? 自民党は23日夕方、政治資金規正法の改正に向けた自民党案を取りまとめました。三本柱には『政治家の責任の強化』『外部監査の強化』『オンライン化による透明性の向上』が挙げられています」
「1つ目の議員本人の責任をどうするか、いわゆる連座制に踏み込むかどうかが一番注目されていましたよね?」
「その通りです。一部の野党が訴えていたのが連座制の導入です。例えば会計責任者など事務方の秘書らがウソの報告書などを作ったとして罰金刑に問われて刑が確定した場合、議員本人が何も関わっていなくても、責任を問われて失職します」
「そして、公民権が停止されて一定期間選挙にも出られないというものです。秘書がアウトなら自動的に議員もアウトになるという、厳しい仕組みです」
「一方、今回の自民党案ではたとえ秘書がアウトだったとしても、議員が監督責任を果たしていればセーフです」
藤井キャスター
「監督責任を果たすとは、どういう状態のことでしょうか?」
小栗委員長
「今は、秘書がまとめる収支報告書に議員本人の署名は必要なく、たとえ中身を見ていなかったとしても罪に問われません」
「これに対し今回の自民党案では、新たに議員に『確認書』というものを提出させることにしています。秘書が報告書を適正に作っているか議員が確認することで、監督責任を強化するというものです」
「ただ、議員が罰則に問われるのは、議員が確認をせずに確認書を作っていた場合のみです。この場合には失職し、公民権を停止するとしています」
藤井キャスター
「確認せずに確認書を作るということは、あるのでしょうか?」
小栗委員長
「極めて考えづらいですよね。罰則が適用されるケースがかなり限定的なので、そこが今後公明党と協議して与党案を作る上でのポイントとなりそうです」
藤井キャスター
「今は案の状態ですが、一番大切なのは、裏金や政治とカネの問題としっかり切り離すことができるのかということですよね」
小栗委員長
「そうですね。(1つ目の柱の)『議員本人の責任』の他にも、今は使い道を明らかにする必要がなく政党から議員個人に渡される政策活動費や、企業や団体から政党などに行う献金も検討課題でした」
「野党各党は『なくすべき』『禁止すべき』などとしていますが、23 日の段階で自民党は、いずれも結論を先送り。しかも企業・団体献金については検討項目にも入れず、政治団体の収入について透明性やプライバシー、バランスなどに配慮すると記すにとどめました」
「野党や公明党が対応を求めている課題については結論を先送りした格好で、ある自民党の幹部からも『柱となる課題についてすべて“引き続き検討”じゃ、格好がつかない』という声が上がっています」
藤井キャスター
「どんな案を出すかでその党の姿勢が見えてくると思いますが、その姿勢を私たち国民は見ています。多くの票を集めた国会議員の皆さんがそれに気づかないはずはありません。さすが国会議員だな、さすが政権与党だなというところを見せてほしいところです」
(4月23日『news zero』より)