“統一教会”総裁は「マザームーン」……逃げ続ける“疑惑”議員に密着 記者が見た、2022年“取材の裏側”
印象に残る2022年の取材を特集。日本テレビ政治部で自民党を担当する野見山育実記者と、“統一教会”と政治をめぐる一連の問題を振り返ります。疑惑を持たれても説明責任を果たせない国会議員に密着するなど、追及を続けてきた取材の裏側に迫ります。
■銃撃事件から閣僚の「辞任ドミノ」へ
野見山育実記者
「私が今年のニュースに選んだのは、いわゆる“統一教会”と政治の関係についてです。今年7月、安部元首相が参議院選挙の応援演説中に銃撃され死亡したという衝撃的な事件がありました」
「自分の家庭を壊したという、旧統一教会に恨みを持つ山上徹也容疑者は、安倍元首相が教団と親しい関係にあると思い込み、犯行に及んだとみられています。この事件をきっかけに、教団と政治の関係について、さまざまな問題が浮上してきました」
疑惑を持たれた山際前経済再生担当相は「非常に申し訳ないんですが、このことそのものは覚えておらず」「うーん、ちょっとおぼつかないです」と話していましたが、教団との関わりが発覚したことで辞任しました。
その後も葉梨前法相、寺田前総務相と、閣僚の辞任ドミノが起きることになりました。
■カメラの前で説明せず…議員を追及
なかでも野見山記者が、深く教団と関わっていると感じたのが、8月に“統一教会”との問題が浮上した自民党の山本朋広議員です。
野見山記者
「山本議員は“統一教会”の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁をマザームーンと愛称で呼んだりしていて、『マザームーンに対しての感謝の思いがマザームーンに伝わる』などと、その様子が収められている映像と音声も出てきました」
「2017年には、統一教会から自民党に対して大きな支援をいただいている、などと発言したりして問題になっています」
山本議員はこの問題を質問する記者への対応で物議をかもしていました。
――何でマザームーンと呼ばれたんですか?
山本議員
「じ、じむ、事務所の方に…ご連絡…いただければ」
野見山記者
「事務所に問い合わせたんですけど、毎回同じ返事でして」
山本議員
「ちゃんとあの…」
――回答は控えるという話だったので答えていただければと
山本議員
「あの、事務所にきちっと、あのご連絡いただければ対応…」
記者の追及でしどろもどろになりました。別の日、記者たちの姿を見かけると、おもむろにスマートフォンを耳に当て、「もしもーし、もしもーし…もしもし?」と、電話で話し続けているような状況で階段を降りていき、記者の追及から逃れていきました。
■記者「救済法は実効性が問われる」
その後も報道各社が山本議員に何度も取材を試みたものの、カメラの前で教団との関係を話すことはありませんでした。
野見山記者
「説明を求められているのに逃げ続けるというのは、国会議員としての説明責任が果たされていないなと、疑問に感じました」
野見山記者は、教団と関係がある議員の取材では、国民が納得できるような発言を得られるよう心がけているといいます。
やがて山本議員ら数多くの議員が“統一教会”と接点を持っていたことが明らかになり、「組織的には関係ない」としていた自民党も、ようやく重い腰を上げて調査を行いました。
また当初は後ろ向きだった、被害者を救済するための法律も、野党との修正協議を経て可決され、12月10日に成立となりました。
野見山記者
「この法律で実際に被害者を救えるのかどうか、つまりこの法律の実効性が問われてくると思いますので、そこに注目していただきたいと思います」
忽滑谷こころアナウンサー
「教団との問題に対してどう向き合って取材していきますか?」
野見山記者
「自民党の幹部が行っていたとの証言もある、(選挙の際の)“統一教会”の票の割り振りや、自民党の政策決定の過程に本当に影響を与えていなかったのかなど、まだ明らかになっていない部分がたくさんありますので、続けて取材をしていきたいと思います」
(12月20日『Oha!4 NEWS LIVE』より)