【自民総裁選】候補者表す「暗号」が──裏に“脱派閥”、決選投票にらんだ作戦か 三つ巴の戦いに?…議員票獲得へ「籠城」も
自民党総裁選の投開票が2日後に迫った25日。今回の出馬を“最後の戦い”とした石破茂元幹事長は、視察で学童クラブを訪れました。子どもたちを前に「この辺(年代)になるとさすがに分からないか…」と笑みを浮かべ、記念撮影に臨みました。
小泉進次郎元環境相は、支持集めに奔走しました。報道陣を前に「あとは残り2日。一人ひとりの議員のみなさん、みなさんの気持ちに心に届くように、誠心誠意私の思いを訴えていきたい」と語りました。
関係者によると、24日に麻生太郎副総裁や、自民党を離党したものの参議院安倍派の事実上のトップである世耕弘成前参院幹事長ら有力者と相次いで会談。支援を求めたものとみられています。
埼玉・坂戸市の自宅に届いた投票用紙を見せてくれたのは、自民党員歴が約10年の水村義篤さんです。水村さんは「なんとしても(立候補者の)数が多いですよね。9人出るとなると、迷う方も大勢いると思いますし」と言います。
ただ、応援する候補者は既に決まっているといいます。投票用紙を投函し、「自民党の党員として責任が果たせたな」と語りました。党員投票は基本的に郵送で行われ、24日までの投函が推奨されているため、事実上締め切りを迎えたことになります。
こうした中、大事になってくるのが議員票です。各候補が、あらゆる手で議員へ働きかけています。
25日の日中、報道陣の前に姿を見せなかった高市経済安保大臣は、宿舎にこもって議員に対して支持を呼びかけました。いわば“籠城電話作戦”で、議員支持の拡大に力を入れているということです。
小泉候補、石破候補、高市候補による三つ巴(どもえ)の戦いが予想される総裁選。誰が勝利を手にするのでしょうか。
藤井貴彦キャスター
「自民党内では今、『5123』『148』『378』という暗号が飛び交っています。表しているのは、それぞれ『こいずみ』『いしば』『(高市)さなえ』という3人の候補です」
加藤清史郎さん(俳優・『news zero』水曜パートナー)
「名前を数字にする遊びや文字遊びもするので面白いと思いますが、一体なぜこの暗号が出たのでしょうか?」
「総裁選の決選投票に向けた作戦だということです。総裁選は、国会議員票と党員・党友票(ともに368票)の過半数を獲得した人が当選となります。ただ過半数を獲得できた人がいなかった場合には、上位2人での決選投票が行われます」
「その間、議員たちは会場の指定された席で待機しないといけないルールになっているため、各陣営がどちらに投票するのか相談するチャンスがありません」
「特に今回は候補者が乱立したこともあって接戦となり、誰が決選投票に残るか分からない状況です。事前に投票先を絞れないので、みなさん困っています」
小栗委員長
「ある自民党議員は、『アプリでグループを作ってそこに暗号を使い、誰に投票するか送ることを検討している。おじさんだと打ち間違えることがあるから若手が代わりに送る』と言います」
「別の議員は『決選投票に進んだ2人の候補者の演説も検討されている。演説があれば、その間に各陣営のメールが飛びまくるんだろうね』と話していました」
藤井キャスター
「暗号にせず、それぞれの名前でやり取りをしたらダメなのでしょうか?」
小栗委員長
「ダメではなく、それでもいいのではと思うのですが、ある関係者は『陣営の人しか中身が分からないようにするため』と語ります」
「今回の総裁選では『脱派閥』がテーマなので、派閥などが指示を出すこと自体が批判を受ける可能性があり、より慎重になっている面もあるようです。ただ脱派閥とは言え、やはり現実には数の力がものを言う権力闘争の世界だ、という声も聞かれます」
「決選投票に残れなかった陣営などが、最後誰に投票するのか。まとまった形で投票した候補者が当選すれば恩を売る形になり、その後の人事などで有利に働くかもしれませんし、その陣営のリーダーは“キングメーカー”として今後発言力を増せるかもしれません」
藤井キャスター
「ただ無記名なので、誰が誰に投票したかは分からないのではないでしょうか?」
小栗委員長
「ただ、メディアとしても誰が誰に投票したのかは取材しますし、過去には報道カメラに、記入した投票用紙が映ったこともありました。また、投票用紙に記入する後ろ姿から、腕の動きがどういう書き順をたどったのかなど、議員の間でも自ずと分かっていくものです」
加藤さん
「権力闘争ということですが、本来であれば投票は個人個人で決めてするものではないのかなと思います。国を良くしようと集まった人たちのはずが、権力やしがらみなどに振り回されてしまうと、『何のためにやっているんだろう』と思ってしまいます」
「国に夢が持てなくなってしまう、若者の政治離れにもつながるのではないでしょうか。『脱派閥』とありましたが、信頼できる組織づくりをしてもらえたらなと思います」
(9月25日『news zero』より)