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核兵器廃絶めぐり 広島出身議員が岸田首相に「“理想”では困る」

2022年1月31日 21:24
核兵器廃絶めぐり 広島出身議員が岸田首相に「“理想”では困る」

被爆地広島が地元の岸田首相と日本維新の会の空本誠喜議員が、核兵器廃絶について議論しました。「理想主義では困る。現実でなければだめだ」と迫った空本議員に岸田首相は…。

31日、衆議院予算委員会で行われた核兵器廃絶をめぐる日本維新の会の空本議員と岸田首相とのやりとり(概要)は以下の通り。

維新・空本誠喜議員
「それでは核兵器廃絶についてお聞きしたいと思います。1枚目のパネルをお願いします。先ほど来、総理も私もですね、広島出身でございます。私の家族も親戚もですね。被爆者がおりまして、直接被爆、直爆で死んだ親戚もおります」

「これまでパネル通り核兵器廃絶、総理は、ライフワークとおっしゃっております」

「しかしながら、核兵器禁止条約のオブザーバー参加に関して、総理はまだまだ後ろ向き、否定的で広島の皆さんは、まだがっかりしています」

「総理の本、読ませていただきました。2冊見ました。73ページに『私は理想を掲げ続けます』とありました。でも、理想主義じゃ困るんですよ。現実じゃなきゃだめなんですよ」

「2016年にオバマ大統領に外務大臣時代に、広島を訪問していただいた。でも世界は逆に全く動かなくなってしまった。このぐらいでは、何も変わらないのかもしれません」

「実際に核兵器を総理は、いつまでに解体し、配布し、そして、なくすのか。核兵器廃絶をいつごろまでにする。広島から首相が輩出されたこと、すごくみんな誇りに思っています。ならば具体的な行動、これが、広島の声であります」

「来年サミットがあります。ぜひ広島で、もし広島じゃなくても。首脳会談、また広島で開いていただいて、そこで核兵器廃絶をいつまでに行うか、総理としての目的、ゴールを示していただきたい」

岸田総理
「委員の核兵器のない世界を目指す、そして広島の人間としての思い、これはもう、大変すばらしい思いであり、しっかり受けとめさせていただきたいと思います」

「そして私も核兵器のない世界に向けて、理想を掲げて、掲げ続けていきたいと思っています」

「そして、核兵器禁止条約との関係で言うのならば、核兵器禁止条約、これは核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる、もう少し注文をつけるとしたら、検証方法等ですね」

「こういったものがあれば、もっとすばらしいと思いますが。少なくとも出口に当たる、大変重要な条約だと思います」

「しかし、私も4年8か月、外務大臣に務める中で、核兵器核軍縮核廃絶を考える場合に、核兵器を持っているのは核兵器国です。核兵器国が変わらないと、これは、現実は変わらない。こうした厳しい壁に何度となくぶちあたりました。核兵器国を変えなければならない」

「そして今、核兵器国が参画している大きな国際的な核軍縮不拡散の枠組みはNPT(=核拡散防止条約)であります」

「このNPTをどうやって、核禁条約までつなげていくのか、ロードマップを書くことが、この具体的な理想に向けて前進するために重要であるということを申し上げています」

「そのためにこそ、核兵器国との信頼関係が重要であるということを申し上げ、そして、最近議論が低調になってしまいましたが、NPTの議論の延長線上に、今までCTBT核実験禁止条約、あるいはFMCT核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、こういった議論があったわけであります」

「こうした議論を進めることによって、ぜひ現実的に核兵器禁止条約までたどり着いていこうというのが、私が本に書いた思いでありました」

「ぜひこうした、現実的な取り組みを進めるためにも、日本の唯一の同盟国であるアメリカとの信頼関係をしっかり大事にしなければならないということで、バイデン大統領との本格的なテレビ会談においても、この問題を取り上げて、信頼関係で一歩を踏み出したと」

「今のこの核軍縮不拡散の国際的な状況を見るときに、最大の問題点は、核兵器国と非核兵器国、そして非核兵器国の中にあっても核禁条約を重視する非核兵器国と。そうじゃなくて、NPTを重視する非核兵器国と、これみんなばらばらになっていると。これ全く対話の道筋が見えない」

「だからこそ、NPT運用検討会議、前回の会議においても、あれだけ大議論をしながら、合意文書ひとつまとめられなかった、この厳しい現実の中で、核兵器国、非核兵器国、NPT派、核禁派、これがともにテーブルについて、立場は違うけれど、同じ目指す方向は一緒ではないかという議論ができないかというのが、賢人会議の意味であり、そして私が外務大臣ときに、有識者会議から始めましたが、今は1.5トラック、政府の関係者も、この会議に参加するところまで来ました」

「それに政治リーダー、元現職も含めてですね、政治リーダーも参加するような、賢人会議ができないだろうか、これを申し上げています。意味がないとは私は思っていません」

「そして最後のお答えで、いつまでにということでありますが、これはいつまでにということを具体的に言えるほど、核軍縮不拡散の世界は甘くないと思っています」

「私もこれまで、取り組んできた、さまざまな経験の中で、決して簡単に期限をいうことができない、オバマ大統領の広島訪問の話もおっしゃいましたが、オバマ大統領も、この大きな理想に向けて、自分たちが生きている間に、これ解決できるというような甘いものではないと、厳しい見方もしていました」

「しかし、ぜひこの理想の日は、掲げ続けていかなければいけない。そういった思いで私は努力をしていきたいと思います」