政府関係者「最大の援護射撃」 ゼレンスキー氏の広島訪問、日本政府の本音は?
ウクライナのゼレンスキー大統領が20日夕方、G7サミットに出席するため広島に到着しました。ゼレンスキー大統領の広島訪問を日本政府は本音ではどうみているのでしょうか? 政治部官邸キャップ・平本典昭記者の解説です。
今回のサミットの岸田首相の最大の目的は「核なき世界」に向けた強いメッセージを出すことでした。ある政府関係者は「最大の援護射撃となった」と話しています。
岸田首相は「強いメッセージ」実現に向け、2つの仕掛けにこだわりました。1つ目は「G7首脳による、原爆資料館訪問」。2つ目は核軍縮に向けて特別に用意した「広島ビジョン」です。
ある政府関係者は、この2つの効果は「想定内」だったと話しています。
――「想定内」とはどういうことでしょうか?
例えば、1つ目のG7首脳らによる資料館訪問は歴史上初のことで、G7リーダーが直接被爆の実相にふれるという成果があった一方で、「視察の中身が非公開なのは残念だ」という声もでています。
また、2つ目の「広島ビジョン」については、「核兵器の不使用の継続」「核戦力の透明性向上のためのデータ共有」などをG7で確認した意義がある一方、専門家からは「ビジョンと言いながら核軍縮の実質的な前進をもたらす中身になってない」という批判もでています。
つまり、最初用意した2つの「仕掛け」は成果も批判も「想定内」だったというわけです。
ここにひそかに狙ってはいたものの、ある意味「想定外」といえるゼレンスキー大統領の来日が実現したことで、核なき世界に向けたメッセージに「強さ」「説得力」が増し、「援護射撃」となったわけです。
――注目のゼレンスキー大統領の平和記念公園の訪問は、いつになりそうでしょうか?
最新情報によりますと、政府内には2つの選択肢が浮上しています。
1つ目は、21日午前に韓国・インドなど招待国と一緒に訪問するという案。2つ目はサミット閉幕後に岸田首相と2人で訪れるという案で、ギリギリの調整が続いています。